第20話 エピローグ
あれから、数か月が過ぎた。
私達はなんとか学院に戻ることができた。
当然、<外奉会>には処分が下り、私と槙島先輩以外のメンバーは停学処分になったという。
仁科先生は<錬成術協会>とつながっていたこと、学院への各種報告を意図的に怠ったことの責任をとり、辞職することとなった。
こうして、<外奉会>は解体となった。
しかし――。
「ここに、新生クラブ<(仮称)ボランティアクラブ>の設立を宣言します!」
そう音頭を取るのはユノ先輩。
私とユノ先輩で新しいクラブ活動を作ったのだ。
専属のメンバーは現状ふたりだけだが――。
「私達も入れていただけて嬉しいです」
「困ったときはお互い様だよね!」
イクヨとヨーコも兼部という形で関わってもらうこととなった。
さらに――。
「私が護衛としてついていけば、安心よ」
ヒトミが外に出るときには護衛としてついていってくれるという約束をしてくれた。
「でも、あんなことがあったのに、また外に出る許可が取れるとは思いませんでした」
私がそういうと、ユノ先輩がふふふと笑う。
「それはこの、顧問の清浦先生のおかげなんだよね!」
「なんでわたしが……。まあ、キミたちを危険にさらすのは本意ではないし、私の同伴のもとでしか活動できないっていう縛り付きで許可がおりました~」
しぶしぶといった感じで、清浦先生は話す。
「さてさて、本日のお題は第一回の活動何するかという話なんですが……。意見ある人はいるかな?」
ユノ先輩は楽しそうに話す。
「……リンちゃん、アレですね」
「うん。アレしかない。先輩、私からいいでしょうか」
イクヨとひそひそと打ち合わせをし、挙手する。
「はい! リンちゃん!」
「実はイクヨは絵本を作っているんです。その絵本を孤児院などに持っていって読み聞かせをしたいと思っているんですが、いかがでしょうか」
私は、かねてよりイクヨと約束していた話を持ち出す。
その話をユノ先輩はうんうんと頷きながら聞いてくれる。
「それはいいね! うん! 実にいいよ! 初めての活動にぴったり」
彼女は目を輝かしながらそう言ってくれる。
「それってさ、結局どういう話になったの?」
ヨーコが聞くと、イクヨは少し恥ずかしそうに、でもためらわずに答える。
「これはですね、あるお姫様のお話なんですけど――」
楽しい会議は続いた。
学院での日々は、きっとこれからも私を変えてくれる。
あの日を境に、私の能力は明らかに変わった。まだまだイメージ力不足で、できることは限られているが……。
でも、かつて悲観していたような醜いだけの能力ではない。なぜなら、そうではないと信じているから。
私は空を見上げる。
切り取られた空だ。
でも、私が生まれ育った場所の空。
いつか私もこの空にきれいな花火を打ち上げることすら、できてしまうのかもしれない。
可能性はゼロじゃないんだ。
そう、私の行く道は――。
錬成術師の行く道は T-大塚 @Otuka-T
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