本物のえんがわは希少部位
「我が盟友、もうすぐ目的地だ。準備するといい」
「作戦内容は覚えていらっしゃいますか?」
そう言って何やら運転席でボタンを操作している。いつぞやの兄妹...一体ここはどこなのか?ここは上空約六百メートルの大型輸送ヘリコプターの機内、地図で言うとクロユリ合衆国とイストワール共和国の国境付近。こんな所に何をしに来たのかそれは
「待ってください。私は厨二病ではありません」
なんか妹の方から抗議の声が聞こえたが気のせいだろう。というかこの厨二病兄妹なんでヘリコプター運転できるのだろうか?
「ハワイで親父に...」
「ん?」
「いや、なんでもない言ってみただけだ。それよりついたぞ盟友、
「あぁ」
「大丈夫です
そう言うとヘリコプターの扉が開く。それを見て
...目の前に広がる森林、木々の間を縫って山道が続いている。別に何か特別なものがあるわけではない。しかし...
「あそこの木を越えればイストワール共和国です」
そう、あの木を越えれば私達は不法入国者...見つかって捕まればそこで終わり。
「気を引き締めていくぞ」
「はい」
そう言って私達はイストワール共和国の国境を越えた。
その時、ピピピという音が無線から聞こえた。
「盟友、
「あぁ」「はい
「では先ずそこから北西に三キロ進んでくれ、そこに今は使われていない共和国軍の旧駐屯地があるはずだ。その駐屯地で
「了解」
「とはいえこの作戦は既に共和国に漏れている。更に追い打ちをかけるように二日前から
「...全滅した可能性もあるのか?」
「可能性は高い。故に合流地点に
「了解した」
「では検討を祈る!」
「健闘を祈れ」
そう言って無線を切る。...そうか今更だが兄の方は
「ところで今更だが自己紹介しないか?」
「え?あ、そういえばまだでしたね。私は
「お兄さんはなんて名前なんだ?」
「え、
「ん?」
「...ぁ...アルティメット・ジェネシス・ヴェルウェザー・クリムゾン・アイズ・ヘルハウンド・ドラグーン・エンペラーです...///」
「...ん?」
「...///」
「え、それが名前なのか?」
声にならない奇声を上げながら顔を真っ赤にしてお唯が悶えている。...名前のセンスはいかがなものかと思うがこの赤面顔を見せてくれたことには感謝しておこう。
「...我を呼んだか?」
「お前のせいで妹が死にかけてるぞ?」
「?」
全く分からんと言いたげな声を残して無線が切れる。
「そっ...それよりお姉さんの名前は何ですか?」
「私か、私は『信徒仇花 ガランサス=レニエッタ』」
「え?信徒なんですか!?」
「あぁ、そうか反神派だったな...気にするな信徒と言っても噂に名高いあの信徒仇花だ」
「あぁ、あの
『信徒仇花七反神』...ロキ・スイレーン・アーガペインに仕えない七人の使徒。そもそも信徒とは神に忠誠を誓い神の権能の一部を付与、譲渡、行使できる選ばれし存在。しかし、信徒仇花のみ扱いが少しだけ違う。信徒仇花に与えられた神の権能は『
「七反神の方々は普段何をされているんですか?」
「...あー?普段?神から仕事の依頼受けてお金貰ってるよ?」
「...信徒?」
「私達は信徒仇花なだけであって別に神に忠誠を誓ってるわけじゃないからな」
「変な集団ですね」
「否定はしない」
「...信徒仇花って本当に七人いるんですか?」
「...いるらしいぞ?私も全員とは会ったことないし」
そう、信徒仇花は各々神から仕事を受けている為、実は全員揃ったことがない。私もアオイ、マリゴルド、ロータス、コルチカムの四人にしか会ったことが無いのだ。他のメンバーは残念ながら名前すら知らない。
「...組織として大丈夫なんですかそれ?」
「少なくとも碌でもないことは確かだな...」
そんなどうでもいい話をしていると...
「...あれか」
「...はい」
前方に大きな塀で囲まれた施設が現れる。
「ここからは真面目に行くぞ」
「はい」
さていよいよだ、鬼が出るか蛇が出るか...私はとてつもなく嫌な予感がしながら旧駐屯地に向かって歩を進める。言うまでもないがこの予感は的中することになる。
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神殺しのミストルティン 秋ノ風紅葉 @Rokuon_Co_Ltd
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