第50話 平穏

 その後捕まったデミアンが、ベイル侯爵家の支援を受けていたと発言したため。国はベイル侯爵家を調べることになった。

 デミアンは支援を受けていただけでベイル侯爵に忠誠を誓っている訳ではなく、今回の件もデミアンの独断だったようだ。

 しかし、一歩遅かったのだろう、侯爵が関与したという証拠は見つからなかった。代わりに側妃の別荘からデミアンを匿っていた証拠が見つかり、側妃は死罪となった。

 僕は話を聞いて恐ろしくなった。侯爵は恐らく、すべての罪を娘に擦り付けたのだ。侯爵家は身内から犯罪者を出したことで伯爵家に格下げとなり、領地の一部を没収された。国はこれを機に、捕まえられなかったとしても力を削いでおきたかったんだろう。

 デミアンの呪いの研究成果は全て国が回収したが、ベイル伯爵はその研究成果を知っている可能性が高い。今後同じ事件が起きるかもしれない。

 僕は呪い感知の魔法具の感度を上げる研究をしようと思った。

 

 

 

「なあ、大きな事件も片付いたことだし、前に言ってたピザパーティーしようぜ」

 アイヴァンは僕が拠点にピザ窯を作ってもらったのを気にしていたらしい。楽しみにしていたのかもしれない。

 僕も気分転換したかったので丁度いい。早速準備に取り掛かった。

 

 生地は小さめに作って、みんなで好きな具を乗せて色んな種類を食べられるようにする。

 具材とソースは思い着く限り用意した。そうしたら軽く三十種類を超えてしまった。

 今回はファミリアが食べられるピザも用意しよう。ミミだけはちょっと無理かもしれないが、肉食組なら大丈夫だろう。

 

 僕らはピザ窯に火を入れると、みんなに説明した。

「はい、まず生地にソースを塗ります。これは二種類まぜても大丈夫です。そしてお好きな具を乗せます。そして最後にチーズをたっぷり乗せます。そして焼きます。ちなみに今作っているのはテリヤキソースにマヨネーズソース、具はたっぷりの鶏肉と玉ねぎです」

 まずはみんなが好んでいた照り焼き味のピザを作る。定番から作れよと言われるかもしれないが、確実にみんなが好きなものを作ることを優先したのだ。決して僕が食べたかったからでは無い。

 

 窯にピザを入れると歓声が起こる。火力が高いからすぐ焼けて、美味しそうな匂いが充満してきた。僕は焼きあがったピザを窯から取り出すと手早く切る。ピザカッターが存在しないのが悔やまれる。

「なんだこれ、最高に美味しいぞ!」

 早速食べたアイヴァンが大興奮している。ふふ、そうだろうそうだろう。ピザには魔性の魅力があるのだ。

 

「早速他のも作ろう」

 みんな好きな具材を並べ始めた。

 ウィレミナはホワイトソースにジャガイモやにんじん、玉ねぎをたっぷりと入れている。

 オフィーリアは僕が教えたスタンダードなトマトとバジルのピザを、ルシアはガーリックソースに牛肉を大量に入れていた。

 アイヴァンはまたもテリヤキソースに今度は肉を色んな種類入れている。

 僕はコーンとツナとマヨネーズのピザを作った。

 

 みんなでシェアしながら食べたがどれも美味しい。僕らは夢中になってピザを作った。

 

 途中ルークとキャロット用にピザを作ったら気にいったらしく、食べ終わったお皿をくわえてもう一枚と催促にきた。

 シュガーとティアは最初から僕らとシェアして食べているのでもうお腹が一杯のようだ。二人でのんびり寝そべっている。

 ミミは毎回可哀想な思いをさせてしまうので、窯で焼きリンゴを作ってあげた。普通に焼くより美味しかったらしく、珍しくおかわりを要求されてしまった。

 

 

 

 こうしていると、やっぱり平和が一番だと思う。今後はなるべく今回のようなことに巻き込まれないといいなと強く思った。僕は食べすぎて重くなったお腹を擦りながら、次は何を作ろうかと考えていた。

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もふもふファミリアと最強冒険計画 はにかえむ @hnika

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