幕間 どこかでフラグの折れる音がした。
アルルハートの街の中心部にあって、
そのつまらない部屋は図書館の最上階にあった。昼間でも暗い小さな部屋。本棚の本たちはどれも古びていて、
部屋には誰もいない、部屋には誰も入れないはず──が、部屋の中で誰かが笑っていた。
笑っているのは一冊の本だった。分厚いだけの普通の本から、高音と低音の混じる不気味な声が発せられているのである。
笑い声の主──彼は、
だからこそ、笑う。
「くくく、向こうの世界では蹴り飛ばしたりダイ○ンで吸ったりと好き放題やってくれたな、あの女。しかし貴様がここに来れば、その自由奔放な振る舞いもできなくなる。俺は貴様の体を乗っ取り、そして貴様の体に眠る
彼は不気味に笑い続ける。約束された未来。確定した勝利。こんな楽しいモノ──笑うしかないだろう。
しかし彼は知らなかった。彼の求める
彼は不気味に笑い続ける。いつまでも、いつまでも、最期のときまで……。
***
「うーん、おばけこわい。としょかんはおばけのすみかなんだ。かべからわらいごえがきこえてくるしこわすぎる。こんなところもうこない。ほんをよみたくなったらイーリスにたのんでかりてきてもらう……」
「うーん、おねえさま。ラスボスのふっかつフラグをへしおってはいけません……」
異世界の正しい壊し方 〜水月姉妹の破滅的な天然ボケは人も建物もセオリーも王道冒険譚も容赦なくぶち壊します〜 猫とホウキ @tsu9neko
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