第25話
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追記
新作出しました
底辺冒険者の俺、実は白髪美少女なんですけど恥ずかしいので正体隠そうと思います
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https://kakuyomu.jp/works/16818093077147591623
本気でプロットから書いた作品です。
かなり面白いと思うので、一読してくださるととてもありがたいです。
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突然尋常じゃない魔力を俺の検知網が検知し、嫌な予感がしたからこちらへ来た。
そして、来てみたらこうなっていた。
ブライトネスさんは腹を貫かれ、乗宮さんは全身から血を噴き出している。
どうしてこうなった?
そう思い観察してみると気持ち悪い人間の女の形をした魔物が居た。
恐らく、奴なのだろう。ブライトネスさんたちをやったのは。
ならばアイツこそが今回の討伐対象である
という訳で、奴を睥睨していると……
「グギ、ギギャ!」
顔が縦に割れ、数多もの触手が放たれた。
それに対して、魔力を纏わせた斧を振り上げ、切り落とす。
斬!と凄まじい音が響き触手が叩ききられる。
が、叩ききったはずの触手は瞬時に傷口から泡が噴き出し、再生した。
「は?」
異常な再生速度だ。
普通、こんな速度で回復するにと、相応の魔力量、魔力出力が必要という問題に直面する。
なんで分かるのかって?
実際に試したことがあるからね。
しかし、コイツはそれらの問題をクリアしてやってのけているのだろう。
これがコイツの能力なのか?
まあ、実際どうなのかは分からないが恐らく特殊な能力を持っているに違いない。
普通に戦っては勝てない。
なぜならば、俺は持たざるものだから。
S級の様な便利で理不尽なスキルなど生憎持ち合わせていない。
なればこそ、と笑って見せる。
「その回復性能、攻略してやるよ」
地を蹴り、高速移動で相手を翻弄。
見たところヤツは回復性能に優れているようだが本体は鈍そうに見える。
いかに触手が強力な力を持ち、手数に富み、最高の攻撃手段だとしても本体は別なのだ。
が、斧を振りかぶり下ろしたところで相手の抜いた剣に止められる。
ガイイイイィィィィン!!!
凄まじい金属音が鳴る。
マジか!
剣まで扱うのかよ!?
コイツ、本体が弱点なタイプかと思ったら近接もいける口か……。
厄介だな。
今度は止められた斧を視点に蹴りを放つ。
それに対し相手も同じ蹴りを放って相殺してきた。
脚が痺れる。
「グッ!」
この体は年端もゆかぬ少女なのだ。
例え魔力で強化していようとも痛いものは痛い。
奥歯を噛みしめ痛みに耐える。
距離を取り、再度別の切りかかる。
やはり今度も止められる。
だが、それでも何度も何度も斬撃を試みる。
あらゆる角度から、相手の弱点を探るように。
そして、気づく。
俺は弱い、と。
そもそも俺は持たざる人間なのだ。
ブライトネスさんや乗宮さんみたいにS級スキルを持ちえないのだ。
だから、小手先で工夫するしかない。
クルリ、と相手の周りを駆ける。
それに伴い触手が追いかけてくる。
数多もの触手がこちらに向かって迫る。
が、向かってくるにつれて収束した。
「ここっ!」
ターンし、迫る触手に向かって走る。
すると、触手は予測通りに腹を貫いた。
激痛が走る。
呻き声が漏れた。
だが、しかし、それでも走る。
収束した触手は俺の腹一点でまとまり、自由を失った。
痛い、
でも、勝つにはこれしかない。
「ギャ!ギャ!?」
ヤツは焦った表情を浮かべた。
どうやら気づいたらしい。
しかし、もう遅い。
触手は封じた。
なれば次に気を付けるはヤツの剣。
しかし、それはもう対策済みだ。
斧を全力で振り、受けに立てた剣を粉砕。
そのままヤツの首に迫る。
俺のゴミスキル【断頭】を乗せた一撃。
弱点を超弱点にするというゴミ効果。
しかし、今回に限っては別だ。
敵は切っても切っても回復する。
弱点が弱点として機能しない。
ならば、弱点を超弱点にしてしまえばいい。
ザシュ!
鈍い音がし、首が落ちる。
数刻が過ぎる。
もう、ヤツは動かない。
どうやら勝ったようだ。
でもなあ、腹がクソ痛え……。
出血多量だ。
これで、終わり、かな?
そのまま意識が暗闇に落ちる。
▼△▼△
「目が覚めましたか」
目が覚めた時、病室にいた。
ああ、そうか、俺は……。
「ブライトネスさん?」
「ええ、僕はブライトネスです」
そうか、
「本当に、本当にありがとうございました……」
俺はアイツを倒したんだな。
って事はブライトネスさんは目的を達した訳か。
「まあ、良かったですね」
「もう、なんと言えば……」
微妙な雰囲気が病室に流れる。
「こういうのも案外いいかもしれません」
気づいたらそんな言葉が出ていた。
人を助けるというのも案外いいかもしれないな。
《完》
【完結】おっさん、迷宮少女になる 絶対一般厳守マン @mikumiku100
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