エピローグ
「終わった──のか?」
ポツリとガウリイがそうつぶやいたのは、シャブラニグドゥの体が完全に消失して、かなり
「──ええ」
あたしはきっぱりと言った。
「レゾのおかげで、ね」
「レゾの?」
あれが
「あれの中に、まだレゾの
「……いやしかし、お前さんも全くたいしたもん……」
あたしの方に目をやって、ガウリイは絶句した。
そして、ゼルガディスもまた──
あたしの、銀色に
生体エネルギーの使いすぎによって引き起こされる現象である。
「リ……リナ……その髪……」
「だいじょーぶよ。ちっとばかり力を使いすぎただけ」
あたしはにこりと笑ってみせた。
「疲れてはいるけどね──それよりあなたたちは?」
「オレは──平気さ──」
言いながら、ガウリイはかなりヨタヨタしながら身を起こした。
「おれの方も──少なくともまだ死んじやいねえよ」
ゼルガディスの方は、ガウリイよりはほんの少しだけしっかりとしている。
「そう──よかった」
あたしはほほえんでそうつぶやくと、そのまま大の字に
心地よい
数日の後──
三人はアトラス・シティの目前まで来ていた。
「やー、これで今夜はおいしいものが食べられて、ふかふかのベッドでゆっくり眠れるってもんね」
あたしは遠くに見える町並みに目をやりながら声を上げた。
さすがに
「えらく長い旅になっちまったな」
ガウリイが言う。
「さて──それじゃあおれはそろそろこのへんで退散させてもらうとするぜ」
「──え?」
あたしとガウリイの声がハモる。
「おれは今までにもいろんなことをやらかしてきてるしな。顔もそこそこ知られている。ああいう大きな町はヤバいんだ。──こーいう目立つ
「そっか……じゃあ、どうすんの? あなたこれから」
あたしは尋ねた。
「ま、一人で気ままにやっていくさ。
あんたたちにはいろいろと
彼は照れ臭そうに、鼻の頭を指で
「お互い、生きていたら、またいつかどこかで会いたいもんだな……ま、あんたたちには迷惑かもしれんが……」
その前に、あたしは右手を差し出した。
「またいつか──ね」
「──またいつか──」
ゼルガディスはそれを優しくにぎり返す。
石でできているはずの
「達者でな」
ガウリイが軽く手を上げる。
「ああ。お前さんも──」
ゼルガディスはそう言うとそっと手を放し、そのまま背中を向けた。
「──しかしリナよ──」
もと来た方へと去って行くゼルガディスを見送りながら、ガウリイは言った。魔王との戦い以来、あたしへの呼称が『
「あいつに
「ばかなこと言わないの」
あたしは笑って受け流した。
「──ところでさ、お前、アトラス・シティに着いたあとはどうするつもりなんだ?」
「んー、そーねぇ……」
あたしはしばし考えた。
「そだ。それよりガウリイの〝光の剣〟あたしにくれるって話、あれどうなったの?」
「
「あ……くんないんだ……」
「当り前だ」
「残念だなー。それがあればあたしはほとんど無敵だし、
「だめなものはだめ」
「──うん、わかった」
あっさりとうなずいた。
「……え?」
ガウリイが面食らう。
「これで決まったわ。当面の旅の行き先が、ね」
「──どこだい?」
「あなたの行くところ、よ」
「……はぁ?」
「光の剣を
ウインク一つ。
「とにかく──さ、行きましょ」
言って、あたしは歩き出した。
アトラス・シティヘと──
スレイヤーズ 神坂一 @HajimeKanzaka
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