35、エピローグ

 エボル王国が建国され、キオウが王となってからも何も変わっていないと言えば変わっておらず、変わったと言えば当然変わってもいた。


 キオウは王となったが、当然政治や統治が出来るワケでもなく、これまでどおりに領の運営はゴドリックが摂政として行った。単語の扱いは間違ってはない。何せキオウはまだ未成年どころではなかったのだから。


 そして領ではなく国になったことで、他国とのやり取りも出てきた。王国とも、臣下としてではなく対等に渡り合うのである。


 帝国はまだまだ何やら画策していたのだが、その都度丁寧にご対応をしてやっていれば、ようやく停戦の提案を行ってきた。その際にもまた一悶着あったのであったが、停戦はとてもとてもエボル王国側が有利な条件で結ぶことが出来たのだ。

 キオウとシルヴィアの武力があってこそであった。


 これまで通りに領――国のために尽力し、これまで通りにゴドリックたちが政治運営を行う。そして、


「ふふっ、蹴りました。キオウに似て元気な子ですよ」

「はははっ、大分膨らんで来たな」


 シルヴィアのお腹の中には誰かがいた。流石にゴブリンが生まれてくることはないとは信じたいのだが、すでにゴブリンが生まれる筈の日数は過ぎているからそこについてはひとまず安心していた。だが、安心できないことと言えば、


「あら、シルヴィアの妹がお腹を蹴ったわ」


 ――お義母さん……。……ところでどうして妹だって分かるんでしょうね? 魔力や魔術的なあれだよな? 決して種族的なアレではないと信じたいッ!


『こ、これで……しばらくは搾られないで済むだろうか……』

『お義父さん……ぶわっ』


 悟ったような貌をしたお義父さんには涙が出た。


「凄いな、うちの女性陣が皆身重だとは」


 そう言うのは兄貴だ。

 彼の伴侶であるマリアンも身重となっていた。だが女性陣のパワーに頬が痩けたようになるキオウとゴドリックを他所に、彼はその妻同様に艶々としていた。


 ――あれか? 鬼人も精力は強いけど、彼はインキュバスでその間には越えられない壁があるのか!?


 スワン一族の不思議であった。


「ふふっ、キオウ、私幸せですよ」

「シルヴィア……」


 ウットリとした様子でキオウへとしな垂れかかる最愛の妻シルヴィア。

 キオウは彼女の肩を抱くと、


「ああ、俺も、幸せだ」


 二人は、本当に幸せそうに、お互いに微笑むのであった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました!

これにて完となります!


――ええ、第二章は私としても早足感はありました。ただ長々しくなるのもなぁ、と思いつつ、こうした塩梅となりました。精進したいものなのです。

(まあ、二章はノクターンでのエロに比重が置かれていたとも言う……)


これからも様々な作品を描いていきたいと画策しておりますので、新しくアップした際はまた改めてお付き合いをよろしくお願いいたします。

ありがとうございました!

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絶対に襲いかかりたくない転生者ゴブリンと、それはプライドが許さない残念女騎士の不毛な攻防 ルピナス・ルーナーガイスト @lupinus_luna

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