七夕ラプソディー
菜月 夕
第1話
なんでこんなことに。
目の前には氾濫した天の川があった。
これではカササギ便も渡れない。
これでもう3日も雨で七夕は順延されている。
しかし、カササギ達は空に飛び石の様に並んでくれた。
人を乗せて飛ぶことは出来ないけれど、飛び石の代わりに一瞬だけなら僕を支えてくれると言うのだ。
僕は覚悟を決めて一羽目のカササギに向かって走り出し、駆けるように空にアーチを描くカササギ達を飛び石にしていく。
気分は某アクションゲームの様だ。
そしてもうすぐ向かい岸と気が緩んだのかつい、最後の一羽を踏み外してしまった。
当然暴れる天の川に飲み込まれる。と思ったら岸に立っていた織姫がその織り糸を僕に投げてくれたんだ。
からくもその糸を掴んで岸に這い上がる。
僕はずぶ濡れだ。
水も滴る良い男だろ!
僕が織姫に言うと「そんな泥だらけの彦星に言われてもそう思えないわね」
僕の心の中には今日の冒険が吟遊詩人に歌われそうなラプソディなのに。
そう考えたけれど風呂に連れて行って貰って身体を温めて欲しい、そう織姫に頼むのだった。
織姫は「身体を温めて欲しい」をどう勘違いしたのか、顔を赤らめていた。
七夕ラプソディー 菜月 夕 @kaicho_oba
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