第19話 ラクとハル

 ラク=フレアはほとんどである。

 一応物理的武器黒炎の槍はあるが、基本的に仲間の行動サポートなどに向いている。

 そして情報が武器のラクには、学校の内装、誰が何時、何処で何をするのかがわかる。


「右から4番目。」


 ラクは既にミントが作業している部屋の眼の前にいた。

 ミントの部屋を開ける。だが―――――


「...居ないんだけど。」


 ミントの部屋はどことなく生活感が無いただきれいな部屋で、机には紙とペンが置いてあった。


「...」


 ラクは無言で紙を持ち上げ、その下の紙を見つけた。

 そこには手紙らしき物が置かれてある。


 内容は「お姉ちゃん誤解しているよ。もう少し過去について更に考察しよ...?」

 その下には「スシより」と書かれてあった。


「...はぁ、やっぱ妹の方が頭がキレるって...どうかしてるんじゃない...?まぁ、自分の誤解が解けたしいっか...」


 その意味を一瞬で理解した彼女は、過去について考えを巡らせた後、結論を見出す。エンアを探そうと考えた。だが、


「どちらにせよ、ミント...彼女と関わる事になってしまうでしょうね。...そして、エンアという少女を殺すのを邪魔してくる。...じゃあ、今殺して、彼女が持っているテラニウムを使えば...エンアという少女を殺す手がかりが見つかるかもしれないわ。あ、無駄な殺生をすると依頼のお金が減るかも。」


 彼女は被害の少ない、あまり騒ぎにならないように仕事をするのが売りである。


「じゃあ、殺生は諦めてテラニウムを奪いましょうか。」


 どちらにせよ、邪魔者は排除すべきだと彼女は判断した。


 ◯―――――◯


 ラクはどうにかしてテラニウムの場所を突き止めようと思ったが、以外にもすぐ近くにあった。


「ここの扉...?」


 扉を開け、入ろうとすると電気の柵が出現した。


「...どうやら、テラニウムが使われているだけみたいね。しかも1カラット分。テラニウムって1カラットで1つの願い事が叶えられるってどっかの本で見たね。でも。20とか100とか一斉に込めることは出来ない...って。このテラニウムはいらないね。もっとまとまっているのは無いのかな?」


 探していると、生徒に遭遇してしまった。

 出会ってしまった生徒は―――――ハルだった。


「え、誰ですか?貴方はここの学校の生徒...先生でも無いですよね。」

「あっははぁ...君、芝居下手すぎない?」

「あー流石にバレますよね。」


 後ろからバキバキと音がして、ラクの下半身は氷に埋もれる。


「まぁでも、囮作戦は強いね。後ろの...氷属性の子は気配を消すのが上手みたい。」

「敵なのに褒めてくれるんだ...」


 そう言いながら現れたのは、ニコーンだった。


「でもざんねーん!の属性知らなかったみたいね!」


 ラクの周りが黒い炎で覆い尽くされる。

 その影響で氷がどんどん溶けて水になるが、水になった瞬間蒸発してしまった。


「俺はな!闇と炎を司る情報の悪魔、ラク=フレアだ!!」

「闇と...炎!?僕と相性が悪い...」

「ニコーン下がって皆を呼んできて!その間は僕が時間を稼ぐよ!」

「わかった、光か水の生徒を連れてくる!」


 ニコーンは誰も居ない廊下の地面を凍らせて、その上をスケートのように滑っていった。


「(応援を呼ばれるのは苦しいなぁ...依頼だから殺しちゃいけないし...)」

「(僕一人で行けるか...?いや、ニコーンに信用してもらったんだ。絶対時間を稼ぐよ!!)」


 二人がそう意気込んだ瞬間―――――


 コト...


「え?」

「え?」


 試験管が転がってきた。

 そしてラクとハルの間をすり抜けた後、壁にぶつかって...


 ドッカーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「うぁ!?」

「キャー!?」


 二人は吹っ飛ばされたのだった。


 ◯―――――◯

「あーぁ、また威力調整ミスっちゃった〜...」


 試験管が転がってきた真っ暗闇の廊下から人が出てきた。


「だ...誰!?」

「あれ、もしかして被害にあっちゃった...?ごめんね〜」


 見た目は紺色の髪の毛に猫耳が生えていて、薄オレンジのYシャツとオレンジのネクタイに白衣をくしゃくしゃになったまま着ている。スボンは少しダボダボだがずれ落ちるほど大きく無い大きさの、とてもでかい男の猫おとこのねこだった。


「おい俺との戦闘中に何勝手に...って、あー」

「いやまた誰!?」

「って、貴方はイチ!?行方不明じゃなかったっけ!?」


 続いて後ろから出てきたのはをしていて、肌より明るめの髪の毛と青色の服、そして青い羽と紺色のズボンを穿いて、手は尖った三本の指が特徴的な、先に出てきた研究者らしき者より頭ひとつ分背が低い男の悪魔おとこのあくまだった。


「あぁ、誰だったっけ...あ、スシだっけか?」

「それは妹!私は姉のラクよ!」

「あー腐女子のラクか...」

「覚え方おかしくない!?」

「え、君腐女子なの?僕と同じじゃん、僕も腐男子だよ!」

「...????」(困惑のハル)


「あ、僕はノース!ついさっきの試験管も僕のなんだ!僕とイチはここの学校に先生として配属することになったんだけど、途中でイチと喧嘩になって戦闘してたんだよね〜。」

「け、喧嘩!?イチ!?あんた大事な取引先とも言える人との関係をそう安々と切ろうとしないでくれる!?」

「いや...こいつとは前々からよく喧嘩してるし別にいいだろ!俺は悪くない!!」

「えっと!僕のこと忘れないでくれませんか!?」(ハル)

「あっ...」(ラク)

「ごめんごめん...えっと、君の名前は?」

「本名はダサいからハルと呼べよな!...いや冷静に考えたら今敵(らしきもの)が沢山いるんだよな...」


 中々にカオスな状態である。

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極寒の地の中、真実を見極めろ 空野 猫 @soranoneko

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