有名侯爵騎士一族に転生したので実力を隠して一生親のスネかじって生きていこうとしたら魔法学園へ追放されちゃった。こうなったら学園生活を謳歌してやるって思っていたのにどうやらそうはいかないらしい
第86話 三章エピローグ〜魔法学園を学生らしく過ごしてないや。でも楽しいから良いか〜
第86話 三章エピローグ〜魔法学園を学生らしく過ごしてないや。でも楽しいから良いか〜
地下庭園での戦いは終わった。
全ての因縁に片が付いた。
ウルティムもエリスさんもどこかスッキリしているような顔をしていた。
「お父さま。お母さま。わたくしもいずれ会いに行きます。それまでお待ちくださいませ」
地下庭園の隠し扉を閉める時のホネコは悲しげに扉をソッと閉めた。
ダンジョンの入り口まで戻って来た時、ヴィエルジュが魔法の鞭で暗殺部隊のふたりを縛っており、フーラが火炙りで相手の情報を聞き出していた。
ロイヤル双子の所業ではないが、情報を引き出すのには成功したみたい。と言っても、大した情報は持ち合わせていなかった。
彼等は暗殺部隊といっても、金で雇われただけ。メインベルトとも関わりはないみたいだ。
身柄はアルバートにて拘束されるみたいで、後に駆けつけたカンセル先生の部隊が引き取ってくれた。
そういえば、カンセル先生から大目玉をくらってしまったな。
珍しく本気で怒られて、本気で心配してくれて、あー、この人はやっぱり良い先生だなぁと思った。
そして──。
「リオン様。ヴィエルジュ様。ご迷惑をおかけてして申し訳ございませんでした」
交換留学という名の潜入も終了し、アルバートに戻る日。
エリスさんが見送りに来てくれた。
フーラ、ウルティム、ホネコは地下庭園の戦いがあった日にアルバートに先に戻っている。俺達は一応、留学生扱いだったからね。満期になるまでは授業に参加していたよ。
「エリスさんはこれからどうするのですか?」
「私は……」
天を見上げ、ハニカムエリスさん。
「わかりませんが、なんとかなると思います」
随分と前向きな回答にエリスさんらしくないと思ってしまうが、あれだけ色々なことがあったんだ。エリスさんならなんとかするだろう。
「もし、王位継承問題や遺産問題、それから政治に帝王学。悩み事がありましたらご主人様へ申してください」
「おい待てヴィエルジュ。なんで俺なんだよ」
「あら? ご主人様もいずれ王族になられるのでしょ?」
私と共に。なんてアイコンタクトを送ってきて、含みのある笑みを見せてくる。
「ご主人様のことだから将来を見据えてそれらのことを勉強していると思いますので」
「俺が引きこもり希望って知ってるよね?」
「はい。私との愛の巣で引きこもり希望ですよね♡」
そんな俺達の会話にエリスさんは笑顔で答えてくる。
「困ったことがあればリオンさんに連絡しますね」
エリスさんも空気が読めるようになったこって。
「ありがとうございました。またお会いしましょう」
馬車に乗り込んだ俺達を見えなくなるまで見送ってくれたエリスさんに、こちらも見えなくなるまで手を振ってお別れをした。
「──さて、ご主人様」
「なんだよ、改まって」
「もうすぐなにが始まると思います?」
「なにって……。またなにかイベントがあるのか?」
「ええ。それはもう、学生様なら誰もが大好きなイベントです」
「学生なら誰でも……?」
「わかりませんか?」
「わからんな」
「では、コホン」
ドゥルルルルルルルとお手製のドラムロールで発表を焦らしてくる。
「夏休みです」
「あー。ね」
そういえばそうか。もう夏休みの時期か。
「──ぷっ。結局、俺は魔法学園を学生らしくなく過ごして夏を過ごすことになるんだな」
「そうですね。ご主人様は学生らしくない学生生活です。ですが、夏を楽しむのにそんなものは関係ありません!」
「おお。テンション高いな」
「ご主人様。夏休み。うんと、楽しみましょう♪」
「だな」
魔法学園に入り、様々な出会いがあった。仲間ができた。
そいつらと過ごす夏は特別になりそうだ。
有名侯爵騎士一族に転生したので実力を隠して一生親のスネかじって生きていこうとしたら魔法学園へ追放されちゃった。こうなったら学園生活を謳歌してやるって思っていたのにどうやらそうはいかないらしい すずと @suzuto777
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