ヘン
青空野光
私の彼は少しだけ変わっている。
この前の日曜日。
デートで行った動物園で、彼はずっとマンホールの写真を撮っていた。
「ねえほら、これ見てよ。マンホールのレリーフがここで飼われてる動物になってるよ」
その前の日曜日。
夜のショッピングセンターの屋上駐車場で、彼は腕を組んで何やら『うんうん』と言いながら首を縦に振っていた。
「ここから見える夜景ってさ、下手なスポットよりも全然綺麗くない?」
そのもう一つ前の日曜日。
駅前の横断歩道を渡っている時、彼は目の前を歩くお年寄りを追い抜かないように歩く速度を緩めていた。
「青のうちに渡りきれないかもって思って」
そして今日。
彼は心底申し訳無さそうな顔をするとこう言った。
「あの……ごめん。俺と一緒にいてもつまらないよね」
「え? なに言ってるの? 私、あなたといるとメチャクチャ楽しいんだけど」
私と彼は少しだけ変わっている。
ヘン 青空野光 @aozorano
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます