狂人

Reka

第1話 過去の記憶

最近昔の事を思い出す事が多い。

その理由のひとつに両親が事故で死んだ事が関係している。運がなかった、不運だった、そういうしかなかった。

車の運転中地震でバランスを崩し、崖から飛び出した。誰が悪い?誰も予想できなかった、誰かのせいでもない。そんな両親の遺品整理をしていたら、僕の知らないアルバムを発見した。それも結構な量。

最近は高校から帰って食事もせずアルバムを読み漁っている、そのせいで遺品整理が全く進まない。

話が逸れた。

で、その中に「僕って思ったより自分に正直だな」と思う記憶があった。


小学生3~4年の頃だったと思う

その時モンスターをハントする系のゲームにハマっていて、モンスターを倒すたびに思っていた事がある。

「本当に生き物が死ぬ時ってどんな感じなんだろうか」と、何日か経って学校の帰りの会が終わり、誰もいなくなった教室で僕は欲望のまま動いた。

メダカが入った水槽から一匹を手ですくい上げ、そのまま床に落とした。そのままメダカはビチビチと跳ね、少しして動かなくなった。

それを見て僕はこう思った

「なんか、違う」

思っていた結果と違う

望んでいた結果と違う

本当はこう、「死にたくない」「怖い」「助けてくれ」といった表情、行動、言動をするはずだ。

なのにこれはなんだ?

少し跳ねて、終わり、訳がわからない。

当時の僕はそのあと死骸を捨て、帰った、今考えると魚は水中の生物だ、地上で生きて行ける体の構造をしていない。つまり何もできないんだ、何もできない物に何かを求めるのはどうなんだろうか。




僕は今また同じ感想を抱いている

「なんか、違う」

四階はある学校の屋上から飛び降りようとしているが、何も感じない。

僕は人間だ、それ以前に生物だ、今、『死』に対して恐怖を抱かずにいる。怖じ気づいたっていいはずだ、引き返したっていいはずだ、なのに何も感じない、どうしようとも思わない。

ふと、下を見てみると人が多くいた。人の死に様を見ようなんて悪趣味な奴等だ。誰かが警察を呼んだらしい、サイレンが聞こえる。

さっさと降りよう

そう思い、一歩踏み出した

その一歩は重くもなく、軽くもなかった。

____________________________________


「はい、分かりました。出動します」


電話を切ると今、タッグを組んでいる、よほど公務員とは思えない派手な金髪にピアス、逆に捕まりそうなそのヤンキーの手にはゲーム機が握られており、質問してくる。


「どうしたんすか、事故すか?」


「いいや、事件だ、回収に向かうぞ」


「ははっ、久しぶりですね、っあ、死んだー」


そう言い、だらりと椅子にもたれ掛かり首だけをこちらに向け


「加村さんが声かけたからだー」


と言ってくる。


「業務中のはずだが?これを報告すれば減給は避けられんぞ、木島」


そう言うと、バツの悪い顔をして、仕方なくー、という感じで立ち上がる。


「ヘイヘイ、さっさと行きましょ、か む ら さん」


「言われなくとも」


白と黒が特徴的な車に乗り、サイレンを鳴らし、現場へ向かう


「にしても凄いっすよね、『犯抑』2050年からこの5年間全くって言っていいほど事件無くなりましたよね」


「そのお陰で俺たちは町のよろず屋扱いだけどな」


対犯罪者抑制装置。略して犯抑。

2020年位から研究を初め、2050年に実装開始。

名前の通りこの装置は、特殊な電磁波を発し、その電磁波に当てられた人間は、法律に記されている犯罪、迷惑行為を無意識下にしなくなる。らしい、

この事実は市民に知らされる事はなく、政府だけが知り、管理する。

俺が知っているのはこのくらいだ、というより、この位しか知らされていないし、曖昧だ。

そんな俺の仕事は、その犯抑様でも抑えられない犯罪者、『狂人』を捕獲。又は殺害、回収する事。

なんでも、狂人の脳を解析し、アップグレードするらしい。


「っていうか、どこ向かってるんすか、これ?」


「高校だ。男子生徒が屋上から飛び下り。通報者によるとまだ息はあるらしく意識はないらしい」


「ちっぇ、今回は出番無しかぁ」


結構残念だったのか、いつも有り余っている元気がなくなっている。

そして、数分車を走らすと東京都立東京学校が見えてくる。


「着いたぞ」


そう言い、車から出る。


「待ってまーす」


出番がないからーと言い、背もたれを倒す。


「いいや、駄目だ。」


そう言い脱力しきった木島の胸ぐらを掴んで引っ張り、木島を少し浮かせる。


「なんで?」


「減給するぞ」


「なんでぇ!?」


訳がわからないと言いたげな顔がこちらに向いたが、そのまま置いて先に行く。

これで来なかったら減給だな。


「オイオイ、待ってくれよ。なんでそんなに急ぐんだ?」


駆け寄りながら話しかけてくる。


「はぁ、我々が最初に到着したんだ、人払いをして、救急隊員が到着するまでの間狂人を確保する。必要とあらば狂人を殺害し、回収、搬送する義務がある。そういう仕事だ。わかったら行くぞ」


「...はぁーい」






「あちゃー、これはこれは」


「...っやられた」


そこにあったのは、簡易的な立ち入りを禁止するテープで囲われ、ブルーシートで覆われた現場。

そこには血痕はあれど、目的の回収対象が居なかった。




______________

由緒正しきあとがき


これはボツネタ供養です。

これ以降は気が向けば書くかもしれませんし、人気が高く、「早く続きを見せろ!」という声が多かったら、連載するかもしれません。

というかこれがボツネタになった理由が『亜人』というめちゃくちゃおもしろい漫画に影響されまくって、対立の構図とか話の展開が似たからなんですね、

そのくせして、伏線とか奇抜な作戦とか思いつかないし、それを文章に組み込めないんです。

つまり、書くのがめちゃくちゃ遅くなるし、話が多分どっかで見たことある話になるな〜、それって面白いのか?ってなってボツにしました。

連載することになったら、遅くなっても、頑張って書きたいと思います。

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狂人 Reka @kagareka

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