小柄な子の足裏を掻いたりして弄んだら無様にぶっ倒されたヤンキー達

フチ

一話完結

12:22--屋上

  弁当を懐中に抱えた2人が、初めて屋上の入口に立つ時、目に入ったものは2人を佇ませた。

  生徒がいっぱい。

  ーーとは言いすぎたが、確かに人のない中等部の頃の屋上よりは生徒が多くなっている。

  「賑やかだな。」

  和祁が呟いた。

  「うん。」

  スイカはベンチを見つけて、そこに歩き出した。

  和祁の言葉を聞いて、スイカはここを見回し始める。

  本を読む生徒も、勉強する生徒もいる。ここが広いから、バレーボールをやる生徒さえいる。

  そしてスイカがベンチに座って、入口の建物に振り向いたらーーイチャイチャお互いを求めるカップルもいる。

  「カツケ、そこ見ないで。見ちゃダメ!」

  顔が真っ赤になったスイカは早く和祁の方を見て、忠告した。

  「うん。」

  実際和祁もそのところのカップルを気付けた。もちろん一目だけ見た。

  (今の生徒が大胆だな、屋上とはいえ、ここ生徒多いんだよ!)

  2人とも、こう思っている。

  それで、スイカは再び見回すと、誰もそのカップルを気にしていなさそうだった。

  (このところこそすごいな。)

  と、スイカは思った。

  「今の時代とはなぁ、、やばいなぁ、こんなところでエッチなことしても、普通と思われるなぁ。」

  ほかの人の声が出てきた。それはちょっと浮ついた男の子の声だった。

  「そうだな。」

  和祁は勝手に答えた。

  「座りがないので、ここに座っていい?」

  その男の子が訪ねた。


  (ナンパかよ!?)

  と、スイカがちょっと不快にその男の子の方を見たらーー彼は和祁の傍に綻びて立っている。

  「いいよ。」

  和祁も微笑んで同意した。

  (良くねぇ!)

  スイカは心の中で突っ込んだ。どうせこの男の子は彼女に近付くために来たのだろ。

  「ありがとうございます!」

  スイカはーーこの男の子はてっきり自分の傍にすわるーーと思っていたら、彼は和祁の傍に座って続けて話そうとするみたい。

 

  (そうだね、普通に考えばそうだね。)

  ナンパじゃなさそうだけど、スイカの気持ちは複雑になってしまっている。

  確かに基本的には勝手に知らない女の子の傍に座ってくる人はいない。この男の子は自分の傍に座ると思ったスイカは恥じらっている。しかも、1度もナンパされたことのない自分はそう考えるなんて、なんておかしいんだーーとスイカは苦笑しながら思っている。

 

  「おや、この嬢さんは怖い目で見ないでよぉ!」

  そしてスイカの視線を感じたその男の子はスイカに話をかけた。

  「えっ?ごめんなさい。」

  スイカは目付きを直した。

  「なんだ、元々目付きが悪いだけだと思ったら、わざとじろりと見てくれたわけかよぉ!?俺をナンパしに来たキモ男に思っていたかい?」

  見破られて、スイカはさらに恥ずかしくなってきた。それでも、答えるしかない。

  「そうですけど。」

  「男がいる女にナンパするやつなかなかいねぇんだよぉ。しかも、君の目付きは、正直良くないなぁ。」

 

  (喧嘩しに来たのか、てめぇ!)

  スイカの心の中の、この男の子のイメージが再び深淵に落ちる。

  「ですから、あなたは誰ですか?」

  「俺は2年E組の久保竜。お前らは新入生かなぁ?」

  竜は和祁に手を伸ばし、握手した。

  「うん、僕は東雲和祁と申します、こいつは白鷺スイカ。」

  「東雲と白鷺、おふたりの苗字は素晴らしくて、ふさわしいなぁ~」

  「まぁな。」

  和祁が勝手に答えた。

  一方、苗字が褒められたせいで、スイカの竜に対するイメージが少し良くなった。

  (一応センスがあるね。)

 

  「おい!退いていろ!俺達の席だろ!てめぇら」

  一つの叱り声はすべてを抑えるように響き渡った。

  (不良か?!)

  スイカは声の源に振り向いたら、叱られるのは彼女じゃないということに気づいた。

  和祁と竜の視線もそこに集まる。そこに石のテーブルと椅子がある、こんな休みの席はこの屋上では2つ目がなさそうだから、不良達がそれを奪うわけだ。

  先に席に付いた男子生徒達は1人しか全部大人しくしりぞき、席を譲ろうとする。1人しかだな。

  彼は不良の兄貴と口喧嘩し始めたら、仲間は彼を阻止しようとする。

  仲間達の忠告を余所見した挙句、彼はワンパンチで倒され、仲間達に運ばれていく。

  最後、4人の不良が成功に席を取って、食事を始める。


  「スイカ?」

  スイカがずっとそこを見ているのに気づいて、和祁は関心に訪ねてみた。彼女も以前学校でいじめられたことあるから、同情しすぎて余計なことをするかもしれない。

  「ううん。アノコは自業自得よ、大人しく逃げれば良かったのに。」

  スイカは落ち着いた顔して、普通に答えた。彼女は和祁と同じくトラブル無し派である。彼女をからかわない限り、スイカは余計なことをしない。

  「抗ったのは新入生だろなぁ、そいつらは学校で有名な不良達で、彼らを相手にできる生徒はなかなかいないよぉ。」

  「なんで?あんまり強く見えないし。」

  和祁は一目で不良達を睨んだら、疑問を言い出した。

  トップレベルのスイカの傍にいて、一緒にたくさんの危ないクエストをやり遂げた和祁は大体人の戦闘力を判断できる。こいつらは全員の力を重ねても、スイカにははるかに劣っている、と。

  一方、スイカはやり取りを聞きながら、昼ごはんを食べるつもりなので、話に割り込んでいない。

 

  「悠長なこと言っちゃったなぁ。お前、まさか格闘技など上手?優等生なんとか?みえないなぁ、繊細な見た目してんのに。」

  「ええっ、一応優等生、だけど、情報科だ。」

 

  和祁は食べながら答えた。


  「えっ?情報科?そっか、だから彼らの強さに気づいてないわけかぁ。」

  「どういうこと?」

  なめられた。和祁は明らかになめられている。でも彼はこだわるつもりがなくて、ただ状況について訪ねた。その不良達はきっとほかの何かを持っている、でないとこんなに有名になれないはず。いや、有名になる前に倒されるだろ。

  「あの一番太く見えるのは兄貴としての山田隆、戦闘科のAランク。力の大きさでもって、簡単な格闘技を使っても強い。二年生の中ではなかなか相手が見つからないんだぜ。彼に勝てる生徒も、こんな狂うように見えるやつに関わりたがらなくて。これだけでなく、彼はこんなに生意気でいられる本当にの原因は、彼はディス家に寄りかかった日元財閥の長子で、親にメチャあまやかされてて、自分の会社もあって、よく運営してる。」

  「そんな奴で?会社よく運営?」

  「まなぁ、代理されてるけどなぁ。でも彼は紛れもなく、権勢の持ち主だ。」

  「坊ちゃまってわけか。あっ、スイカ?」

  和祁が呟く途中で、またスイカに振り向いた。スイカはデイス家に流放されたお嬢様だから、嫉妬して何かをしでかすかもしれない。

  でもスイカは落ち着いたままに弁当を食べている。


「だからさ、いくら文句あってもあいつらを怒らせるなよぉ。やばくなるぞぉ。」

竜は本当に心配しそうに手を和祁の肩において、まるで和祁の隣のスイカのことを忘れてしまっている。

でも実際この目立たなくて、目付きの悪いチビ子(スイカ)は生まれつきの怪力を持ち、近接戦スキルに精通した天才。ただ15歳でいくつかの、緊急事件を処理できたSランク中のSランクである。

そして流放されても、デイス家はメンツのためにもスイカを保つ。




「眠いな。」

食事が終わって、和祁は弁当箱を床に置いて、腰掛けに寄りかかった。

「じゃ、寝ない?ここで。」

スイカはベンチから立ち上がって、和祁に向いた。

「ここ?」

「ベンチだよ。長さちょうど良いじゃん。」

「でもスイカが譲っても空間が足りないよ。」

和祁は優しそうに微笑みながら答える。

ベンチの長さは元和祁の身長とは同じくらいだが、竜は一部分の空間を占めている。ーー故に、スイカは笑顔を収めて、竜をじーと見つめていく。

「たっていろ。」

「この嬢ちゃん、上級生の俺に尊敬して。」

竜はまだ席の暖かさり諦めていない。彼はスイカのことをよく知っていないから、余裕ありそうな顔を保てるのだろ。

「たってください。」

言い方が変わったが、口調に込められた殺意が増えている。

「はいはい、譲るってば、そんなひどい目付き見せてくれないでよぉ!」

竜はなんとなく怖さを感じてぞくとしたけど、口では負けを認めなかった。


「カツケ、横になっていい。」

スイカは和祁に向いて再び綻びた。

でも和祁の方は嬉しがれない。先輩から席を奪ってから大勢の前で横になる、というのはとても恥ずかしいこと。

「えっ…」

和祁はベンチを見てはスイカを見る。彼はベンチで寝たがるけど、気まずさが邪魔している。

「大丈夫、カツっち、ほかの人一人もいないよぉ。」

「目が壊れたか、見回すと生徒いっぱいじゃないか。」

和祁は滅多に兄貴みたいな口調を作り出して突っ込んだ。

「へへぇ、他人の存在を無とするのが、ここのしきたりよぉ。屋上に来たみんなも邪魔されたがらないから。」

「なるほどな。」

和祁は一応納得して、ベンチで横になっていく。

「ちょっと、硬いから、膝枕でいいよ。」

スイカは和祁を止めて、先にベンチに座った。

(恥ずかしいけど、今は私の優しさを見せるの)

スイカは心の中で自分を慰めながら、恥ずかしがって床を見下ろす。


(座りたいだけだろな、でも、誘惑的!)

和祁の視線は自然にスイカの太ももに落ちた。繊細な膝はとても美しくて、座ることによってふにゃりに見える。肉も太ももの可愛さを増やした。それに、軽く足を覆ったニーハイの布のような質感も素晴らしい。

和祁はそれにひれふす寸前。

(そこで寝たいわけじゃなく、足をいじりたくなった!いやいや、好意で膝枕してくれるのに、僕は一体何考えてんの。)

と思っていて、和祁は横になろうとする。近付くほど、鼓動が激しくなったーー聞かれると心配するくらい。

膝枕なら、以前も何回スイカからもらったけど、単なる日常的なリラックスとするのはなかった。


一方、スイカは赤い頬で冷静な表情を見せている。好感度をあげるためなら、恥ずかしさを堪えられるわけだ。

(来る、来てる!)

彼女の瞳さえ月影のように揺らぎ始める。

新しい世界の扉が開きそうな感じ。

この1歩さえを踏み出せば、二人の関係ないはどんどんと変わっていくのだろ。


「おい、食べ終わったら、このベンチをもらっていいかな?」

脅かしみたいな口調だった。この声が和祁の動きを止めてきた。

和祁が振り向いたら、四人の不良達がテーブルからここに近づいている。

「はい!」

竜は一番先に反応ができて逃げようとした。そしてその前、和祁の腕を掴んで、連れていくつもりである。ここで少しためらっても、挑発と思われ殴られてしまうかもしれない。

和祁も大人しく竜に付いている。もう大丈夫らしいと、竜が思っていたら、スイカを一人そこに残したことに気づき、肝を潰そうだった。


でも彼女は女の子ということを考えれば、不良達だとしても、彼女を見逃すのだろ、と、竜は自分を慰めて安心した。

「ジロジロ見てんじゃねぇよ!」

不良達の兄貴、山田隆の声がまたこの屋上に響き渡る。

これを聞いた竜はびっくりして、あしも重くなって歩けなくなってしまった。

「早く尻尾巻いて逃げればいい!」

「この嬢ちゃん、世の中はいろいろな危険があるんだぜ。」

「そうそう。ひどい目に会わないように、気をつけてね、はははぁ!」

ほかの不良達からの嘲笑の声も続々と上げられていく。


(やべぇ!もう言語で白鷺ちゃんをいじめてる!今すぐ逃げたら大丈夫かもしれないけど、強気な子だったよなっ。彼女は奴らに文句を言ったら、酷い目に会うんじゃないか!)

竜もなかなかいい人なので、一人だけで逃げたりしない。故に彼は和祁を耳打ちして、相談に乗ろうとする。

「カツっち、なんとかしないとね。」

「確かに、大変だな。」

今、和祁は余裕ありそうな顔をしている。もし竜が緊張しすぎなくてこれに気づいたら、きっと状況を改めて察してみるのだろ。ただし、和祁は完全に心配しないわけでもないのだ。

(このままじゃ、酷い目に会うに決まってる、彼らが。すっきりするけど、彼らにトラウマができて、戦闘や生活を邪魔したらどうする!?僕らの方は何も無いが、だって不良なので教師チクリもできないし。)

ようやく、スイカは動き始めた。彼女は黙ったままで、足を上げて普通に和祁達の方へ歩いていく。


「俺様に逆らう勇気を持つと思っていたら、ははは。」

「やめろよ、兄貴、新入生の女の子だし、逃げた方が普通だろ。」

「それを放っといて、兄貴、早く寝ようか。」

ある不良はカバンから布団を取り出した。


「彼らは一体何しに学校に来たんだ…」

ある傍観者は和祁達のツッコミたいところを口から出した。

「その子可哀想。」

「トラウマ残らなければいいんですが…」

周りの人達からこういう声も聞こえる。



「それはスイカちゃんじゃん。」

「えっ、本当だ、まだ怒ってなくて奇跡っ!」

もちろん、スイカと和祁は冴えなくともSランク、同級生では彼女達を知っている生徒も少なくない。ここにいる彼たちは、心配しそうに祈っている。

うん、不良達のためにな。

でも彼達の期待に裏切るように、スイカはただ微笑みながら、和祁へ歩くだけ。

その笑顔が優しすぎるだけに、傍観者達に強がりと思われた。

和祁の傍に着いたら、スイカは微笑んだままに柔らかく彼の右手を引いた。



「スイカ?」

和祁は目の前の小柄の女の子を見下ろしながら、慎んだ口調で聞いた。

「うん。」

スイカは意味不明に答えてから、和祁の手を撫で続け スイカの動く指は繊細で綺麗で、すぐに和祁の目を奪ってきた。でもそれから伝う穏やかな暖かさは安心感を与える。


  こんなスイカはおかしいだが、蜜のような時間に浸っている和祁はすべての思考を止めた。


  今は二人だけの時間。

  だからーー

  生徒達の視線が見つめ合う二人に集まる時。

  彼女は笑顔が崩れてその男子(和祁)に飛び込んで泣き出す羽目になるーーと思われる時ーー

  変化があった。

 


  本番はここからだ。

 

  ぱっと、

  スイカは和祁と竜の繋いだ手を離れさせた。

  「八つあたりぃ!?」

  竜は思わずに突っ込んでから、見たことに対して、目をくりっと見開いた。。

  無理矢理に和祁の手を引っ張って、スイカは踵を返し一緒にベンチの前に戻っていく。

  途中で、不良達の一人はニヤと口元を上げ、手加減なく拳でスイカの顔面につめていく。いたずらな彼は元力を見せるつもりだけだったが、スイカの目を見て、つい本気を出した。

  彼の拳はすらっとスイカの顔から二十センチくらいのところまで辿り着いた時、スイカはまだ綻びたままにベンチしか見ていなさそうな顔をしていて、彼の攻撃さえ気づいていないみたいだ。

  みたいだけだった。

  スイカを遠くぶっ飛ばしてしまうと確信した彼は、スイカにそっと蹴られた。スイカを当てることはおろか、彼は体のバランスさえ保てずに転んでしまった。

  瞬間、傍観者達はほとんど笑い出すに禁じ得ない。

  「ふふっ」

  「転んじゃってさ、だせぇ!」

  「声小さくして、気づかれちゃうわ。」

  兄貴の隆は見てたまらなくて、皆に叱り声を上げた。

  「笑うんじゃねぇぞ!」

  「でもさ、油断しすぎたでしょ、まじかよ。」

  「ははは、お前コメディでもやってんのか、はははっ。」

  彼の仲間も笑わせられた。彼は黙って立ち上がり、退いた。

  他人から見ると、彼は自らつまずいたように見えた。そして、彼本人も状況をよく知らなくて、そう思っているらしい。唯一おかしいのは、すねから痛みが走ったこと。


  「お前ら!なぜ戻ったのかよ!?」

  隆は直に和祁達と話をするつもり。和祁より長い身長をした彼は二人を生意気に見下ろしている。彼に対して、スイカは幼女にしか見えない。

  「私は席を譲ると言ってないでしょ?」

  スイカも負けないほどの鋭い目付きでぎょろりと隆の目を見つめ返す。

  「なんだと!」

  「嬢ちゃんいい度胸だ!」

  「学年の第1日で逆らう生徒が二人出たとは。」

  隆が叱ったら、連中の二人も相槌を打った。


  スイカは不快に目を細める。

(こいつがリーダーみたいだね、ちょっと懲らしめてあげようか。)


  そう思って、スイカはスカートを抑えながら思い切り足を高く蹴りあげる。


  狙いはたかしの腰だ。リーダーを倒せば彼らは大人しくなるでしょと、スイカは考えた。


  しかし、彼女は計算にミスした。蹴りはたかしに見事に受け止められた。どうやら、たかしの力を舐めたようだ。手加減しすぎてしまった。


  蹴りを防がれた挙句、たかしはしっかりと彼女の足首を掴んで、足をもっと高く上げようとする。


「甘いよ、嬢ちゃん。」

  たかしは笑いだす。


「スカート抑えてるし、パンツ見られるのそんなに恥ずかしいのかい?」

「もっと堂々としないと上手く戦えないのよ!」

「それともノーパン~~はははぁ!」

「女子皆そうだ、戦術の本読んで偉そうになって、しかし実戦は全然だめだ。」


  スイカはただ頭を下げたままビクともしない。


  和祁だけが、彼女から凄いオーラを感じる。

(やばい!スイカはもう限界だ!爆発しそう!)



「背が低いのに、足が意外と長いじゃん。」

  不良の一人がそう言うと、彼は視線をスイカの蹴りあげた足に向ける。確かに長くて綺麗、脛も華奢で、そして黒ニーソ履いていて意外とエロい。


「貧相ブスだけど、俺に頼めば、哀れんで破瓜させてやるぜ!」

  もう一人はあえてスイカの脛を触ったり揉んだりし始める。


「身の程知らずめ。力を分からせてやる。」

  たかしはニヤリと笑いながら偉そうに宣言する。


(こっちのセリフですけど!)

  スイカは顔をさげたまま眉を顰める。怒りケージは溜まり続ける。


「この足で俺を蹴ろうとしたのか?」


「!?」


  思いがけず、たかしはスイカの足首を掴んだままいきなりローファーを脱がした。

  すると、スイカのニーソ足裏が不良たちの前に晒された。特にたかしの顔にはすごく近い。


  スイカは驚いて思わず足指を開いては曲げる。周りの皆から見ると、その足指の動きがはっきりと見えている。

  たかしの顔のすぐ前にあるから、足裏や足指の囁かなディテールまで全部見られてしまった。黒ニーソ履いているから、肌は見えないけど、踵の形とか、アーチの形とか、足指の形とか、指の付け根の形とか、足裏の皺とか、全て全部不良たちに見られて知られてしまったのだ。


  なんて屈辱。


  しかし、これだけで終わりではない。


「へぇー、靴が臭わないな。」

  たかしはスイカのローファーを顔に近づけてコメントした。


「まじ?」

「本当に、臭わないっすね。」

「足が香りしてるよ。」

「この子の足、レアだな。」


  そして、不良達はスイカに近づいてきて、彼女の足をいじり始める。


  足指を折ったり、こちょこちょと足裏を掻いたり、足裏の肉をぎゅっと捻ったり。好き勝手にスイカの足で遊ぶ。


「足裏掻かれても反応薄いな。」

「そういえば、ずっと足上げているって疲れないのか?体はちゃんと鍛えたんだ。」

「それとももう痺れかけてて心の中でもうやめて足下ろしてって泣き叫んでてただ強がってるのか?」


  (カツケにも触っていいって許したことないのに!!こいつら!)

  自分の足を冒涜されて、スイカはまず恥ずかしさを覚えた。そしてそれは怒りへと変わる。


 


  一方、スイカの足で遊んでいる不良達を見て、和祁は不意に自分がスイカの足をいじるのを想像する。


(僕も、そのふうにスイカの足を弄りたいな。いやいや、何考えてんだ、こんな時に!今はーーーー)


  「あ、いや、ゆずる、譲りますから、もうなにもしないで。」

  和祁はぞくぞくとして、スイカの前に移動して、守るように両手を大きく広げた。同時に、彼は片目を瞬きして、隆に合図を与えようとした。

  (そもそも席を取る意味もないし、安心に休めないだろし。そのためにさわぎを起こしちゃったらまずくない?)

  もうたくさんの傍観者達ができたけど、和祁はこれだけのことを騒ぎだと認めていない。

  「ふんっ。」

  隆は何も言わずにスイカの足を下ろしてベンチへ歩んでいく。

  「兄貴が許してるぞ。」

  「次はお前の女をちゃんと管理していろ!」

「靴はしばらく没収しておくぜ。来週返してやるから取ってこいよ。」

  最後でも、不良達は容赦なくスイカのことを侮辱した。

 

  (やばい!見なくても、スイカの怒りが感じられる!)

  和祁は後ろの怒りの炎にぞくぞくとして、必死に最後の言葉を残して退いた。

  「逃げるがいい、あなた達。」

「はぁ?許してやったのに、よくも挑発しやがって!」


 たかしは直ちに和祁に突進しようとしたが、その先にスイカが邪魔している。


 あんまり目立ちたくない、と思っていて、スイカは全力を出さないことにした。彼女は隆の殴ってきた腕を叩くと、彼は痛みを感じて動きを止めた。


 この子はただものじゃねぇ!


 と、不良達はやっと理解した。彼らは自ら一緒にスイカに手を出した。




 ここから隆以外の不良達に番号を付ける。さっきつまずいたのを2番にしよう。




 真っ先にかかってきた二番は後ろからスイカを抱きしめて拘束しようと考えているがーースイカは両手をあげたら、二番の両腕が彼女の腰を挟さむようになったが、接触もなくすれ違っている。それで、二番が挟んで抱きつこうと考えた時、彼はもう遠く蹴飛ばされた。


 そして残った二人と回復した隆はスイカと交戦し始める。


 彼らはいくら格闘技を使っても、スイカの魚のようにすらっとしたからだに触れられない、これさえできない。


(なんだと?!この子は!?)


 今、不良達はもうスイカの強さわ気づけたけど、今更負けを認めては無様だ。




「あの子すごいな。」


「まじかよ、そんな小さい子が?!」


「さすが白鷺さんですね!」


 傍観席は燃えている。




「俺、幻を見てんじゃねぇ?」


 一方、呆れた竜はあんぐりと口を開けたままに冷めたこえを漏らした。


 彼はなんて怖い子とふざけあっていたんだ!?


 悠長に戦況をコントロールしたスイカはまま三番からの一撃を避けると、突然後ろから大きな手に腰の上のところが掴まれたの、を気付けた。


(いつの間に近付いた!?しまった!終わった!相手が力を入れたら肋骨が壊れるような気がする!)


 スイカはぞくとして呆れた。心臓がドット激震したような感じもあった。しかも、その手の指先が彼女の胸ーーおっぱいと呼ばれる部分に嵌っている。恥ずかしさと恐れが同時に彼女の心を攻めてくる。


 これだけじゃなく、もっと重要なのは、今、彼女は隙ができている。流石に相手は四人の上級生男子で、このうちに倒されたら、本当に抗えなく痛い目に会う羽目になるかもしれない。


「スイカ!」


 敵より、和祁の慌てた声が先に届いてきた。


「てめぇ!邪魔するんじゃねぇよ!」


 隆の普通じゃなく、貫禄を感じれる叱り声が響いた。これと共に、スイカを掴んだても消えた。多分和祁が助けに来たら、隆はスイカを放っておいて、和祁を殴って言ったのだろーーと、スイカが判断する。


「カツケ?」


 スイカは慌てて振り向くと、確かに隆は和祁を殴ろうとするビジョンだった。


 スイカの心はまた震えた。今回はさっきよももっと感情の波動を感じれる。


(そんなの絶対いや!必ずカツケを守る!)


 彼女は迷わずに隆に突っ込んでいく。


『ぱっ』


 そばから四番が出てきてスイカにビンタを食らわせた。スイカは急ぎすぎたので、避けられなかった。


「やったぜ!」


 四番が楽しそうに祝う。




「…てめぇら…許さないんですから!!」


「えっ?」


 四番は驚き声を漏らし、打たれたスイカを見返す。スイカの頭は確かに衝撃を受けて傾げるようになったが、彼女の体はびくともしていない。


 四番が目を瞬きしたら、次の瞬間ではもう飛んでいる自由感と腕が骨折しそうな痛みに飲み込まれた。彼の驚いた顔は次々隆、二番、三番の目の前に現れて、ぶつかっていった。




 惨めで散らばるように屋上に倒れた四人の不良を見て、大きい歓呼の声があげられた。ちなみに、写真を撮る音もその中に混ざっているらしい。


「その子つえっ!」


「見たことないけど、まさか新入生!?」


「新入生なわけないでしょ、転校生でしょ?」


「ねぇねぇ、その子は私達一年の生徒だよ〜」




 完全なに休めない状況になっているせっかくのベンチなのに。




「ちっ。」


 スイカは倒れて気絶した隆の顔を踏んで軽蔑に舌打ちする。


 体重をかけてその顔を踏み付けると、足裏から柔らかい感触と熱が伝わってきて、スイカはニーソ足で隆を踏んでいることに気付く。




 彼女は慌ててローファーを拾い上げて履いた。




「行こう。」


 スイカは和祁に声をかける。


「はい」


 二人は一緒に、この屋上を立ち去った。








 2025/4/2(水)ーー15:27ーー星間学園ーーA校舎・3階


 もう放課後。


「流石スイカちゃんだな、私が奴らを相手にしても、ちょっと手間がかかるわ。」


 ある身長の高い女子がスイカの頭を撫でていて、彼女のことを褒める。


「えっ!?そんな熱い戦いだったか!?」


 黒ツインテールの女の子が驚きそうな声をだした。


 高い女の子は齋藤美琴、二年生である。ツインテールの子は佐久間さや、スイカの同級生で、隣のクラスの。彼女らは中学生時代スイカをいじめていたヤンキーだった。今はスイカの少ない友達の中の二人。ちなみに、以前美琴はストレート黒髪ロング、今はボブカット。


 美琴はスイカと雑談しに来た。そして、噂になった正午のあのことの話をしている。ちなみに、スイカの同級生のさやは逆にその噂を聞かなかった。なぜならば、隆達は新入生達によく知られいけど、上級生の中では知れ渡った危険人物。故に、スーパー新入生の噂は上級生、特に二年生のなかでより激しく広がる。




「騒ぎたかったが、あたしも連れてよ~」


 さやはそんな素晴らしい決闘を見逃したことについて、文句を言った。


「いや、騒ぎたくはなかったです!」


 スイカはさやの言い方を正す。


「えっ!?わざと大騒ぎを起こしたわけじゃなかったの?そんな酷い目に合わせたのに?」


「彼らが勝手に襲ってきたから、仕方ないでしょ。」


 スイカは何気なく否定した。




「でも、本気で騒ぎたくないなら、ほかの手段もあるじゃない?」


 美琴が言った。


「まぁ、彼らにしっかりと罰をあたえたいって、気持ちもありました。でも、喧嘩せずに済む手段もなかなかなさそうでしょ?」


 実際は彼らが和祁の休み時間を邪魔したから、と、スイカは言い出せない。


 大人しく逃げていれば、騒がずに済むけど、それはありえない。


「えっ?名乗ればいいのに?」


「どういうことです?」


「デイス家当主の娘として、奴らはお前に逆らわないだろ?」


「それは考えたけど、即却下しましたよ、そうしたら、私も彼らと同じになるじゃありませんか?氏族の力でもって乱行を働くなんて。私はさ、自分の力で強くなったりして、自ら尊敬を得りますの。」




 スイカはぼっとしてから、微笑んだままに答えた。


(ふざけるなよ!クズディス家の苗字で名乗るわけないじゃありませんか!)




「そうですか、てっきりディスが嫌いだから使わなかったと思ったら。スイカちゃんは成長したな。」




 真実が美琴に見破られて、スイカは頬を赤くした。でも幸い、美琴は本当に信じたようだ。


「スイカちゃん偉いですね!」


 さやも惚れたように褒める。




「ところで、その坊やは?」


 美琴は和祁のことを聞いている。


「先に行きましたけど、あっ。」


 スイカは思わずに答えてから、あることに気づいた。


「不良達は東雲さまを狙ったら大変ですよね。」


 さやも危険を意識した。ちなみに、その呼び方は和祁の中二病時期の産物である。




「まず連絡してみようか、スイカちゃん。」


15:36ーー星間学園の外

1年生なので、部活もまだないし、和祁は帰宅を選んだ。もちろん本当にの自宅じゃなく、スイカの屋敷なのだ。彼はもう1ヶ月くらいそこで暮らした。最初は慣れないかもと心配していたけれど、今はもう浸っている。流石立派な屋敷だ。

スイカは廊下で元ヤンキーの二人と楽しそうに会話していたから、和祁も彼女を待たずに先に帰ることにした。

スマホが鳴った。スイカからの電話。

「その不良達にあったか?」

すいかの落ち着いた声だった。

「会ってないけど、奴らに用がある?」

「はぁ?私が奴らに何の用があるか?」

「謝るとか、ほら、メンツを、潰しちゃっただろ。」

「ありえないよ。そうしないと見せ物になったのは私よ。心配よ、狙われるとか。」

「冗談冗談、わかってるーーあっ、はやくゲートの外まで来て。」

和祁は慌てて通信を切って、道に当たった四人の不良を見て、ぞくぞくとした。



15:39ーー星間・校舎A・3階廊下

「本当にあったらしいです、行きます。」

心が乱されたスイカは直ちに踵を返した。

「あたしも行きます。」

さやがたのしみにしたらしいで、ついていく。

「部活あるので、これで。」

美琴は別れをつげて、去っていく二人の姿を見送る。

「街で乱行しないだろ、流石に。」

そして彼女は言いそびれたことをつくやいた。


スイカは一刻も早く和祁の傍に辿り着きたいと思っている。弱い和祁が傷付くくらい、かのじょで受け止めた方がまし。

「いたいた!そこに!」

ゲートから飛び出したら、さやは不良達を発見し、迷ったスイカを導いた。

そして、向こうもすいかに気づいたらしい。彼らはあわてて体の向きをかえて、すべったように逃げていく。

「あの子来た!」

「やはり目が怖いな!」

「逃げろ!」


「あっ、スイカ?」

和祁はスイカに話をかけたが、スイカはそれを無視し、彼を走り過ぎて、不良達を追っていく。

「ちょっと、待ちなさい!」

と叱りながら、スイカは隆を狙い追い続ける。

今度は絶対に許さない。誰もが犯されると本気で怒る何かを持つ。スイカにとって、和祁こそそんなものであり、ドラゴンの逆鱗とも例えられる。

二人は会ってからずっと今まで頑張ってきて、いくらのこんなんをも乗り切ったから、昔の不遇を覆せた。今みたいな素晴らしい生活は、和祁があってのものである。大切な日々を与えてくれた、和祁もかけがえのなく大切な人。

だからーー

「許せません。」

スイカはやっと隆に追いつき、彼の袖を掴み取った。それで、逞しく見える男子が小さい女の子に振り回される{表現じゃない}ような受けるビジョンが大勢の通行人に見られた。すごくおかしく思われてしまう。


床にぶつかる痛みをこらえながら、倒れたままにしゃがんだスイカを見上げる

乱暴な彼は見下ろされることがほぼなくて、こんな屈辱もいつに味わった?

でも、今彼は怒りなどなく、頭はまるでスイカの悪魔のような気合いに支配されている。

一方、スイカはこれで何の罰を与えようかと迷っている。

「スイカちゃん早かったですね!」

さやは称賛しに来た。


「スイカ、やめろ。」

和祁はスイカを止めようとする。

「え~悪いヤツをたやすく見逃すわけにはないじゃん?」

さやが代わりにこたえた。

「いいえ、誤解だ。」

「えっ?」

「?」

さやは声を漏らした、スイカはただ振り向いて和祁を見るだけ。

「それはーー」

和祁が語り始める。


2分間くらい前

「何の用?」

和祁は時間を稼ごうと思っている。

(ここは街だし、流石に殴ってくれないだろ。)


「次俺らがやることは恥ずかしい事。あの子力を見せつけられて、俺らはただ受けてたまらないな。」

隆は代表として話す。


「まさか…」

和祁は自分だけが聞こえる声で囁いた

(やべぇ!スイカに敵わないから、弱い僕に仕返しするという恥ずかしいことをしでかすのかよ!?)

和祁達は落ち着いた風に見えるが、心ではもういたぶられる準備ができた、スイカはもうすぐに来るはずだから、多くとも平日くらいの痛みを味わうだけ。

「兄貴、本当にやるのか?」

四番が恐る恐るたずねる。


(多分警察が来るのが怖いのだろ。)

と、和祁は判断した。


「やるにきまてんだろか!それに、俺はもう兄貴じゃない、そんな目に会って…」

隆の言葉を聞いたら、和祁はびっくりした。

(その屈辱を返すまでに兄貴をやめるほどの覚悟出来てるのか?!やばい!しかも警察に連れていかれるおそれを押し切ってまで、僕を殴ろうとするなんて、きっと手柔らかくしてくれないな!)


相手が動き始める。

和祁はそれを察したけど、動いていない。もちろん勇敢なわけじゃなくて、ただ勝手に動くと余計な事故が起こるかもしれない。同時に、これのおかげで、なかなかわけわからないビジョンがが最初から最後まで全部和祁の目に、映ってしまった。

四人の不良がみな和祁の前で土下座して、叫んだ。

「俺たちの兄貴になってください!!」


「ええっ!?なぜ!?」

和祁は大きくない驚き声を漏らした。

「兄貴の実力は計り知れないほど強いと感じるから!」

大昔の和祁なら、きっと喜んで敬意を受けて、偉そうなことを言いながら彼らをひれ伏させるのだが。今の彼はもう中二卒業で、答えることさえ難しい。

「いや、僕は情報科で弱いし。しかも兄貴と呼ばないで、同意してないから。」


「強さの上に、情報科も上手なのか、流石兄貴!」

四番がそう煽てる


「いや、ただ弱いだけ。」

和祁は直ちに否定した。

(やべぇ!もう一つの意味で。しかも全然話聞いてねぇ。)


「ご謙遜なこと。本当は戦闘科天才ではないか。」

「ちっとも強くないから!」

「強くないなら、そんな怖い子を手に入れられないだろ?」

「えっ?」

「とにかく、ご是非おれたちを導いてください!」









15:42

「というわけで。」

和祁の解説が終わった。


「フハハハ、なるほど、東雲様はあいかわらすま嘘上手!」

さやはゲラゲラと笑って止まらない。

「ただ僕が誤解されただけだろ!そもそも嘘が上手になったことない。」


「ところで、怖い子を手に入れるって、私はアイテム人間かよ!」

と、スイカは倒れたままのたかしを叱った。一応、手を出していない。


「ごめんなさい!でももっと考えてもらいたい!あ、その、俺は日元財閥の長子だから、いろんな便利与えて挙げられるよ。」

隆は立ち上がって、もう一度交渉してみた。三歳の魂は百までというか、こいつ今までも氏族のちからを貸している。よくディス家当主の娘の前でこんなことを言えるな。


和祁は不自然なところに気付き、スイカを指さしながら聞いてみた。

「ところで、まだ知らないのか?彼女の身の上。」


「どういうこと?」


隆の反応からすると、スイカの情報を知っていなさそうだな。

でもよく考えればおかしくない。そもそも今の時代では、人々は他人のことをあんまりきにしない、こういう冷たい社会なんだ。そして、生徒、特に武装学園の生徒の情報を手に入れるのは、かなり手間がかかる。

故にすいかは噂になっていても、情報が流出したわけじゃない。

ちなみに流出したとしても、不良の四人に知らせるやつはいないかも。


「いや、別に。」

スイカはディス家と繋がるのが嫌いから、和祁も打ち明けない。さやも同じくスイカの気持ちを考えたから、このことを言い出していないのだろ。


「カツケを兄貴に、しよう、というのか。面白い。じゃ、同意した、」

スイカは目を細めて、微笑みながらそう言った。

「おい、スイカ、勝手に決めるな。」

と和祁に言われたら、スイカは彼の傍に来て耳打ちする。

「一旦同意してよ。時間をむだにしたくないでしょ?」

「はい…」


「では、僕は兄貴になってあげようか。」

「ありがとうございました!今すぐ兄弟達にも知らせるぞ!」

「流石東雲様!!入学第1日、集団の首領にれた!!」




16:16ーーある坂道


和祁とスイカは電車から降りて、スイカの家の近くに歩いている。もうすぐに辿り着ける。

「すいかは強いな。」

「なによ、急に…」

突然褒められて、スイカは頬が赤くなったり、歩みがみだれたり。でも、彼女は和祁の後ろに付いているので、和祁に見られる心配はない。

「でも、そんなに騒がなくても済むと思う。」

「ほぉ?兄貴になって、本気で庇うつもり?」

「そんなわけねぇよ。」

「とにかく、もっと罰を与えたいのにね。私にそんなことしたなんて、思い出すだにむかつくわ。」

スイカはまた胸が触られたことを思い出した。

「いや、楽に勝ったんじゃない?というより、蹂躙だったじゃないか?」


「そんな手軽じゃなかったよ、実際危なかったよ。捕まえられて、ビンタも食らったし。」

「えっ?」

(あの頃倒されたら本当に蹂躙になったんでしょ。)

と考えるとスイカはぞくと震えて、和祁の驚き声を聞き逃した。


そして彼女は和祁を褒める。

「和祁は助けてくれてよかった。でないとーー」

言葉が尽きる前に、和祁に断たれた。

「いや、助けることも、捕まえられることもなかったけど?」

和祁は迷った顔でスイカに振り向いた。


「ええっ!?」

「よく見てたよ、ビンタを食らった以外、彼らは一度もスイカに触れられなかったよ。本当にすごい歩法だったな。」

と言われて、スイカは自分の記憶を疑い始めた。確かに、彼女には、大きな手に掴まれた憶えがあるが、和祁はそのようなことを否定している。

(和祁が見逃したか?ありえない、助けてくれたもん。)

「ちょっと、助けてくれなかった?つまり、あの時、隆はあなたを捕まえて人質にしようとしたのか?」

「いいえ。」

「じゃ、カツケは何もしてなかったわけ?」

「それでもない、ほら、大騒ぎになる前にスイカをそししようって、おもって。失敗だったが。」

「私を阻止?つまり、私の体を触った?」

「えっ、確かに触れたけど。」

「つっ、つまりその手は…」

確かにあの時スイカは敵の気配を感じなかった。不良達ばかりに気を配ったとはいえ、和祁が気づかれなかったということは不思議。

ーー完全に和祁を信じたからだ。


スイカは混乱な表情を見せた。

彼女の胸を触ったのは、和祁だったかよ!

(私を半日モヤモヤさせやがって!バカカツケ!!!)

和祁だったと知れたとしても、半日モヤモヤしたはずーーということに気づかずにスイカは心の中で和祁を責める一方だ。

「手?」

「私を止める時、変な触感はなかった?」

スイカは冷静な振りをしている。

「変な触感って、まさか…」

これまで、鈍感な和祁でもそろそろ真実にたどり着いた。

「……」

「その…許して…ほら、平らかで、何の感じもっ、なかったから、触らなかったも同然…って。」

「本気でお許しをもとめてるのは知ってるが……嬉しくなれないよ。」

珍しく、スイカは怒らなかった。追及するつもりさえなさそうだ。


「でも……時には、強くなって、スイカを守ってみたいな。」

「話題そらし、明らか。」

「いや、本心だよ。」

「だったら、体をちゃんと鍛えてよ!」

「それは無理だぁ。」

「やはり安セリフ。」

「でも本当に守ってあげたい。」

「……」

スイカは惚れたように、言葉を失ってきた。




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小柄な子の足裏を掻いたりして弄んだら無様にぶっ倒されたヤンキー達 フチ @blackbean1234

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