栄慈へのコモ

ゆまや

秀才


秀才と呼ばれる人間には才能がある。才能があるということだけでは、秀才とは言われない。秀才と呼ばれるからには大切なことがある。それは、センスをあるということだ。たまに才能とセンスは同じなのではないか、という人間がいるが、私はそうは思わない。才能があるだけだったら天才。センスがあるだけではただの上手いやつ、そう言われると思っている。なぜこんな話をしたのかだって?それは簡単だ。私はそいつらのことが嫌いだからだ。


遠い目をしている彼は初めて見た時から思っていた。この人は頭が良いのであろうと。私は勉強とは程遠い人間だと自負している。小学校の時も点数は半分程度だった。中学校に進学したため、テストもより難しくなり私は大好きな部活に行けなくなるかもしれないという状況になっていた。そして、あの頭が良さそうな人に勉強を教わりに行った時点で私は間違えだったのかもしれない。


南華中学校

 この中学校は各地域から教師が選んだ推薦人しか来れない特別な学校だ。文武にたけてるものもいれば、どちらかひとつに特化しているような人もいる。クラスは主に3クラス。

勉強特化型のルモテスクラス

部活特化型のアマテスクラス

そして両方のセントスクラス

この3クラスに分けられているのだが、この話は部活特化型エースのアホではあるがスポーツ万能の羽田志葉と

セントスクラスの秀才中塚栄慈の2人の物語である。


「ふう、今日はこんなものか」

そう言って俺は机の上に置いてあった教材をバックに直しに行った。今日の授業の復習を終わらせ、帰ろうと準備を始めた時、1人俺に声をかけてきた。

「栄慈!帰ろうぜー」

「お、石井。少し待て、まだ準備できていない」

「ったくしゃーねーなぁ30秒だけ待つから早く準備しろよ」

あいつは石井修斗俺と同じセントスクラスの生徒だ。

うちのセントスクラスは24名しかいないので俺の数少ない友人である。準備を終えた俺は軽快にバックを取り

石井の元へと行った。

「てかさ、栄慈さ俺の事下の名前で読んでくれても良くない?」

「なんでだよ」

「いやそれはさぁ、仲がいいからーとか友達だからーとかあるじゃん。」

「ふん、くだらんなこの学校は将来のための学校なのだぞ?友達付き合いが大切だとは俺な中々思わんな。」

「そうかあ?将来俺がめちゃくちゃ有名な社長さんになるかもしれんぞ?」

「ふん、お前のような軽薄は喋り方の人間が社長のような人になれるとは思っていない。」

「かぁー相変わらず厳しいことを言うねえ」

「当然だろう」

 石井、、、修斗はこのクラスにいるため、成績も運動もよくできる。まあ、俺ほどではないがな。

ともかく彼自身はとても良い人間なのだ。

「さっさと帰るぞ……修斗」

「えー!読んでくれんだー」

「うるさいなー」

「照れ隠しっすか?学年一の秀才さん?」

「お前殴ってやろうか?」

「にゃはは、冗談冗談。帰ろっかー」

「ちょっと待ちたまえ。」

「!?」

この声は聞いたことがあるがこんなところで聞くものでは無いと思っていた。そのため自然に体が強ばる。

後ろから聞こえてきた声に振り返ると、やはり想像していた人と同じ人がたっていた。

「どう、、されたんですか?」

あの普段ダラダラして軽薄は喋り方の修斗でさえ敬語をつかい、冷や汗を垂らしている。

「そう警戒しないで貰えると嬉しいね……」

そういった人物は少し困ったような顔をしてこちらを見つめてくる。

「で、僕らになにか御用が終わりで?学長」

「さすが物分りが早くて助かっているよ。」

「さっさと要件を言ってもらっていいですか?こっちとしても暇ではないんですけど。」

「お前、栄慈よくそんな態度取れるな?」

「取れるも何も俺らとこの人は同じ人間なのだから恐れることは無いだろう。それに立場が違うとはいえ、人に物を頼みに来る態度ぐらいはわかっているだろう。」

「わーお、めっちゃ強気」

「ふふ、 さすがだよ栄慈くん。その精神の強さが土壇場での高得点を生み出すのだろうね。」

「そんなことはどうでもいいでしょう……さっさと要件をー」

「そんなに早く帰りたいのかね?」

「……まあ」

「そんな君に朗報だね。君はこれからクラス替えさ。」

「え?」

「栄慈がクラス替え!?いや、ちょっと待ってください!クラス替えは基本学期の間と間だけ、それなのになぜ今なのですか?第一彼は常に成績1番運動もできる秀才じゃないですか。彼がクラス替えならばほかのクラスメイトも変わるべきです!」

「ふむ、確かにげんそくはそうなる。だがこうなる理由は彼が1番わかっているんじゃないだろうか?」

「そうなのか?栄慈!」

「…………ッ」

「おい!栄慈!なんとか言ってくれよ!!」

「それで、俺はどこのクラスに移動ですか?」

「そうだね中塚君はこれからアマテスクラスの第一教室へと言ってもらう」

「それはただの左遷のようなものですか?」

「そうだよ、君は君の親を探しているようだが、それは叶わないと思った方がいい。スポーツタイプからでは見つけることなどできるわけがないからね。」

「…………」

「では、またね」

カツカツカツ

「…………おい栄慈」

「………………なんだ?」

「お前、どういうことだよ!」

「俺が学長の気に触れたからじゃないか」

「そんな小さなことだけなわけないだろ」

「まあ、俺は俺で頑張るしかない。」

「俺も移動するぜ!お前を1人にさせねえよ」

「相変わらずアホだな。あの学長がそんなこと許すはずがないだろう」

「でも……」

「心配すんな、俺は上手くやれるさ。運動だってそこそこできるし、心配しすぎなんだよ。」

「……」

「それにあいつ、俺を1人にさせるためにこのクラス替えなんだから、お前がクラス変えようとしたら、退学にされるぞ」

「……そんな」

「だからもう、俺に関わらない方がいい」

「…………」

「じゃあな」

 そう言って俺はやっと帰宅路へとたった

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栄慈へのコモ ゆまや @alikan

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