第13話 次の行事は

 俺が目を覚ました時、自分の顔のすぐ目の前に愛莉の気持ち良さそうに眠る顔があって、心拍数が一気に上がった。


「愛莉!」

「ん……どうしたの悠くん。おはよ」

「おはよって、顔めっちゃ近いよ」


 愛莉は困惑したような表情を見せる。


「もう付き合ってるんだからいいじゃん」

「あ、そうか、確かにそうだね」


 そっか、俺は昨日愛莉に告白して付き合うことになったんだ。


「それじゃ、そろそろ起きて朝食を食べに行こうか」

「うん! すぐに準備するね!」

「朝食後にバスで学校に戻るらしいよ」

「そうだったね! 今日は早めに下校できそうだね。今日、悠くんの家行ってもいい?」

「いいよ、泊まる?」

「いいの?」

「うん、もちろん」

「じゃ、この前買ったパジャマ持っていくね!」


 俺と愛莉はお泊まりの約束をし、すぐに朝食を食べに向かう準備をした。



「準備できたよ〜」

「よし、それじゃ行こうか」


 準備を終えた俺たちは朝食の用意された部屋へと向かった。

 そこに着くと、大きな机がいくつか用意されており、その上に豪勢な料理がたくさん並べられていた。


 起きたばかりで食欲あるかなと心配だったけど、この料理を見てしまったらお腹が鳴ってしまいそうなくらいに食欲が出てきた。


 数分後には先生たちも到着した。


「えー、皆さん朝食を食べ終わり次第部屋に戻り、自分たちの荷物を取って外に止めてあるバスに乗り込んでください」


 先生が朝食後の流れを説明し終えると、俺たちは朝食をさらに盛り付け、食べ始めた。

 因みに、ここの朝食はホテルなどでよく見られるバイキング形式でだった。


 俺は自分の好きな肉の入った料理ばかりを取ったが、それを見ていた愛莉が俺の皿にサラダを入れてきた。


「ちゃんと野菜も食べないとダメでしょ」

「えー」

「だって、悠くんが体調崩したら私も悲しいし、野菜も食べて健康に保たなきゃ」

「う、うん、そうだね。食べるよ」


 愛莉は本当に思ったことをすぐに口にするから毎日のようにドキッとさせられてしまう。

 絶対に今、俺の顔真っ赤になっているだろうな。顔が暑くなっているのを感じるし。


 俺は愛莉に言われた通りに肉料理だけでなく、ちゃんとサラダも食した。


 言われた通りにサラダを食べた俺を見て、愛莉は満足そうにニコッと笑みを見せた。



 朝食を終えた俺たちは部屋から自分の荷物を取り、外に用意されたバスに乗り込んだ。


「宿泊研修、楽しかったね」

「そうだな。特に祭り」

「そうだけど、祭りは宿泊研修の内容じゃないけどね」

「研修を頑張ったからこそあの祭りを楽しめたよね。宿泊研修終わったし次の行事ってなんだっけ」

「本当に聞く?」

「え……?」


 愛莉は悪魔的な笑みを浮かべながら答えを言う。


「次の行事はね……中間テストだよ」

「聞かなければよかった」

「そんな落ち込まないで、中間テストのお陰で2人でテスト勉強をするイベントも発生するんだよ!」

「たしかにそのイベントだけは魅力的だ」

「でしょ? だから、一緒にがんばろうね」

「うん」


 生徒全員がバスに乗ったのを確認すると、バスは学校へ向かって走り出した。


 次の行事が中間テストだという最悪な事実を知ってしまったが、愛莉と一緒に乗り越えられるように頑張っていこうと心の中でそう誓い、俺と愛莉は肩をくっつけて学校に着くまでの間、眠りについた。


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普段クールな隣の席の美少女が俺に対しての好感度だけが異常に高い。 夜兎ましろ @rei_kimura

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