コンカツ!珍妙な男達

響ぴあの

結婚相談所で出会った珍妙な男達

これはだいぶ前の実話だ。真面目に結婚を考え、早めに結婚したい私は、結婚相談所を利用していた。 就職をして2年目くらいに1社に登録してみた。月に2回、上旬と下旬に郵送で2人ほど紹介される。 たまにスタッフのおばちゃんが素敵な方がいると引き合わせてくれる事があるのだが、どこが素敵なのかわからなかった。 職業は安定していたが、セカンドバッグを持ち、シャツをズボンの中に入れた服装は当時あまり若い人に流行するものではなかった。


2つ目の相談所は26歳の時に数か月だけ登録した。そこは、すごい数の紹介があり、毎日のようにデータが郵送されてきた。パーティーもわりとたくさんあり、出会いの数はすごいのだが、最初に紹介された分、いずれ情報は尽きるらしく、長期戦で知り合うには他県や年齢制限を広くしないと厳しくなるらしい。 登録している男性は真面目でおしゃれに興味がない人、女性と話すことが苦手な人が多い。 だから、清潔感のある服装やカラーコーディネート講座などを男性向けに用意していたりすることがある。


その当時カルチャーセンターのカラーコーディネート講座を見学したことがあったのだが、今年の春の口紅の流行は○○社の何番。何色です。 服の色はこの色とこの形です。講師の教えに真剣にメモを取る社会人女性たち。


お相手の男性は、 私にはどれも同じ顔にしか見えなかった。私の目は腐ってしまったのかもしれない。とりあえず特徴を頭にとどめるために、イラストを描き留めた。 それは、あとで見るととてもおかしな絵で、ひどい絵だ。 眼鏡をかけている。目が細い。耳がでかい。ひげが濃い。思いつく特徴を書き留めた。 あとで見てから、違いは耳が大きいか小さいかくらいで、誰が見ても興味を持てない顔を描いていた。 絵を描いた私はとても正直な感性の持ち主のようだ。要するに興味がない。 紹介男性の魅力のかけらもなく、私には同じ人間であるという以上の存在ではなかったのだろう。 そのイラストはのちに結婚した夫の笑いのツボにはまり、その感性が気に入ったと言われた。 見る目がないだけで、本当はいい人がいたのだと思うのだが。


※いい人って非常に抽象的。あなたにとっての「いいひと」ではない「いいひと」はたくさんいると思う。


【ワケアリな医者】

私はもっと出会いが欲しいと思い、もうひとつの結婚相談所に登録することにした。 そこで知り合った女性はなんと、3つも結婚相談所に登録していた。 実際大学時代から登録して、結婚相手を見つけて大学を卒業して結婚した人もいるという話だ。 大きなパーティーに行った時に、医師は2人いた。その中の1人の医師と仲良くなり、一緒に話しながら帰宅した。 彼は背は高くないが、ファッション感覚も悪くない童顔でかわいらしい顔立ちだった。 プライドが高くなさそうで話しやすい印象だった。 「家が広すぎてさびしいんです」 彼は地方の田舎の方で勤務していたので、戸建てに住んでいるとのことだった。病院側が用意してくれた借家のようなものだろうか。 「学歴って大事でしょうかね?」 この意味を私は後で知ることになる。 帰り際、飲み物を飲みながら世間話をした。連絡先を交換して、たまにメールをする。 するとその月のクリスマスイブに電話がかかってきた。 「今、飲んでいるので一緒に飲みませんか?」 彼はわざわざ田舎町から私の住む町に来て、バーで飲んでいるらしい。なぜ、イブに一人で? とても疑問だ。 私を誘うならば、もっと前に誘ってもいいだろう。 「実は、僕、彼女と別れたんですが、彼女と泊まる予定だったホテルをキャンセルしていなくて、一人で飲んでいるんです」 なるほど、一人で住むには広い家……彼女と別れたから広く感じる。以前は一緒に住んでいたりしたのかもしれない。 女々しさを感じる。いっそのことキャンセルするとか、他の人と新しい恋をするべきじゃないだろうか。 「今日は行けませんが、明日、映画に行くならば可能です」 そう言ったら、彼はOKした。しかし、彼の心の中の大好きだった彼女は今も心にいる。 しかも、彼は近県だが県外だから、なかなか会えないだろう。交際が難しいということだ。 「実は、親に言われたんです。学歴が低い人と結婚はだめだと」 だから、学歴って大事でしょうかねなんて言ってきたんですかね。 多分彼女だった人は専門学校卒業の看護師で、親に大卒以上って言われて反対されたのかもしれない。 二度と連絡することはなかった。 彼にはもっと元彼女を忘れさせる恋が必要だろう。 医師という優良物件には登録する理由があるのだろう。


※優良物件には何か理由があることがある。その他、不良物件にも理由があることは大いにある。


【鼻毛と占い師】

お見合いの小さなパーティーに参加した時のことだ。話をした彼は、高専を卒業し、堅実な会社に就職したという人だった。 かなり自分の会社に自信を持っているらしく 「この会社に入るのは大変なんですよ」 なんて、言ってくる。かなり堂々と誇らしげだった。 でも、ひとつ、いや、ふたつ気になる点があった。 彼の鼻の穴から鼻毛が出ているのだ。そして、極めつけは毛の先に着いた鼻くそらしきものが見えた。 お見合いは、ゼロからのスタートで、好きになるかどうかの大切な瞬間だ。 だから、是非ともみなさんには気をつけてほしい。 出かける前には、特に出会いの場に行く人には鏡を見て鼻の中をチェックしてほしい。 鼻毛が出ていると好感度は下がるだろう。 毛の先に何者かがついていたらもっと好感度が下がるので要注意だ。 実はこれより少し前に仲のいい女友達とよく当たる占いに行った。そこは、完全予約制で地元では評判の占い師だった。 その占い師のおばさん(子供が成人しているくらい)の鼻穴にも同じような鼻くそがあったのだ。 それが気になってしまったが、おばさん曰く、3人の男性に言い寄られて、2歳上の男性と結婚するということを言われた。 実は、私のすぐ前にも私の友人も同じように結婚について占ってもらったのだが、何歳上というのだけが違うだけで、やはり3人の男性に言い寄られて、何歳上の人と結婚すると言われたそうだ。結婚占いではこのおばさんの定番となっている3人の男。これは、きっと他の客にも言っているのだろう。 そして、気になった鼻くそについて。私は友人に言うと、 「占いで自分の鼻の中、見えないのかな?」 と言っていた。占いでなくても、誰でも鼻の中くらい鏡で見ることは可能だと思うのだが。 ちなみに私たちの何歳上と結婚するという話は全く当たらなかった。 もちろん3人の男性から同時に結婚してと言い寄られるということも私も友人もなかった。 占いって当たったためしがないな、今となって思う。


※未来を占うよりもまずは自分の鼻の中をチェックしよう。そうすると、よい未来が開けるのかもしれない。



【女を不幸にする男】

郵送の紹介で出会った、近県の民間企業の会社員の男性。30歳半ばといったところだ。その人は、髪の毛は多少後退してきてはいるものの、お見合い男子には珍しく女性と話すことに慣れていて、盛り上がりを見せた。しかし、所々で、変な自慢が入る。 「大学の時付き合った女性が妊娠して、別れたら相手が精神を病んで自殺未遂をした」 これ、見合いで言う話でもないし、むしろ勲章でもなんでもないですから。


【学歴と職業】

高卒の真面目な男性がいた。その人は新聞社勤務だと言っており、パーティーでもある女性と親しくなり二人で別なお店に行ったという話をしていた。私は、ところが、その人は自分に決めて結婚相談所を脱会してほしいと言ってきた。まだ、付き合ってもいないし、好きでもないですが。その人は比較的すぐ好きになる人で一途なことが分かった。実際、その人は新聞社の記者ではなく、新聞配達の会社に勤務していた。 記者ではないことを知った女性がそれっきり会ってくれなくなったようだった。


【バツイチ男】

バツイチの男性だとは知らずにパーティーのときに連絡先を交換した。20代の若い男性で収入はそんなにないようだった。メールが来たのだが、突然のLOVESというメッセージ。実は俺、バツイチなんですよという話だった。元妻に養育費を払っており、市営住宅に住んでいるとかそういった話だった。 私は仕事を辞めて専業主婦になるために婚活していたので、お金がない男性は基本的にはNGだった。恋愛ならば、お金がなくても好きになることはいくらでもあるのだが、お見合いというのは好きになる前に会うので、私の条件に合わなければ難しい。バツイチというのは私のような嫉妬深い女性には難しい。なぜならば、前の奥さんのことが頭をよぎるから好きになると前の女性に嫉妬してしまう。若いからかもしれないが、それくらい私は愛が深い人間でもあった。


※世の中色々な人がいるけれど、自分に合った人を見つけるって宝くじが当たるよりも難しいような気がする。


【様々な公務員】


(地方公務員A) とても真面目そうな公務員A。 既にマンションを購入、ローンも終わり、ようやく婚活を始めた30代後半の男性だった。 無宗教、非喫煙、マニュアル通りの条件としてはよさそうな感じだった。しかし、彼は何年も活動しているようだった。 電話で話をしていて、私は「住宅ローンが返済終了よりも早くから婚活をしてもいいのでは? 相手がマンションよりも戸建てがいいという場合も想定しておくべきだと思う」と言った。 すると、「あなたに決めました。是非結婚してください」と電話で言われてしまった。 きっと私の言動は彼にとって物珍しかったのだろう。


(国家公務員B) いいひとと言われます。ドラマの主演をしている草〇君のようなタイプです。と自己紹介に書いているB。アイドルのいいひとになら会ってみたいと誰でも思ってしまうだろう。職業、学歴など紙面上は問題ない。ずっとしゃべり続けているので、そろそろ帰ろうという言うチャンスがない。ここまで話す男性ははじめてだ。そして、内容は自分の4年くらいにわたる婚活について。 ひとつ気になったのが、写真の頭髪と結構変わっているというところだ。なんと4年前の写真をそのまま使っているらしく、その人は20代後半にもかかわらず髪の毛がほとんどなかったのだ。ある意味写真詐欺じゃないか。 「1回はみんな会ってくれるけれど、2回会ってくれる人は数人だったらしい。3回会ってくれる人は4年の間2人しかいなかった」 たしかに、紙面上の条件はいいのでみんな会うだろう。しかし、このマシンガントークと内容では2回目になる前にみんな着信拒否になったり、メールが届かなくなったり、返信がないとのことだ。わかる、とてもわかるぞ。 3回目まで会ってくれた人はいたらしいのだが、家庭の事情や何かの事情で、結婚には至らなかったらしい。 なかなか4回目まで続かないというB。 なんとそのBは家がとても貧しく、結婚相談所のお金も滞っているそうなのだ。だから、休会を繰り返し、なんとか支払わずに継続する手を探し出したと自慢げに語る。年収は悪くなくても、奨学金の返済、親の生活支援などに消えるらしく、これは好条件ではないし、性格にもだいぶ問題を感じたので、この人はずっと独身かもしれないな。


※公務員にも色々いて、お金がない人もいるってことだよ。安定しているから安心とはいかないのが世の常。


【無収入の公務員&イケメン公務員】

(地方公務員C) 私が婚活で知り合った地方公務員の男性。年齢は20代だったのだが、なんと実質無収入だった。 というのも、大学院に行っているらしく、仕事は休職中だ。それで資格を取って転職しようと思っているのだろう。 資格と言ってもとても難しい国家資格で大学院に行っても取れるとは思えないものだった。 挙句の果てに、お父さんがやっている個人の塾を一緒にやってくださいとかそういった話だった。 そのCさんはとても緊張性らしく、ベンチに座っていると、自身のような揺れを感じる。地震か? と思うとなんとCさんの足が揺れている!! そんなに足が震える人間を私は間近で初めて見たと思う。


(地方公務員D)

イケメンな男性をパーティーで発見した。むしろスタッフなのかという距離感に立っており、参加者なのかどうか正直最初はわからなかった。 話を聞くと安定した職業の上に、おしゃれで顔立ちもスタイルもいい。むしろ、なぜ、登録したのかわからない感じだった。 職場に出会いがないのかと思い、公務員って地味な女性が多いですよね。みたいな話題をふると、男性はちょっと怒っているようだった。 あとになってわかったのだが、同僚の女性に失恋したDさんはやけになって、出会いを求めて登録したみたいだった。 だから、私なんて眼中にないし、まだその女性のことで頭がいっぱいだ。 以前書いた、医者と全く同じだった。 結局、職業もよい、容姿もいい男性が結婚相談所に登録するときは失恋という確率が高いように感じた。 もちろん、それ以外でも失恋して登録する。新たな出会いを求める人はたくさんいる。 高確率なのは、その相手のことを引きずっており、新しい恋に踏み出せない段階の人間が多いと感じたのだった。


※実質無収入で婚活する人もいるし、なかなか新しい恋を見つけられない人もいるってことだ。


人間はどこかしらにみんな個性を持っている。同じ人なんていないのだ。 いいように見えるか悪いように見えるのか、個人の主観だが、一般的にいい男、悪い男と思われる傾向にある人もいるだろう。 結婚は恋愛ではない。生活のために共同生活をする相手を求めるのだ。 それは甘い愛などよりもお金、精神的な安定、育児、家事、色々な要因を覚悟してお互いに譲歩しながら生活することが必要なのだ。 しかし、結婚という人生最大の賭け事に行く前には恋愛が必要だということが一番厄介なのだ。


実話は小説よりも奇なり。 人間観察、お見合い、出会い、たくさんの経験は人生を豊かにする。 そして面白おかしい思い出にもなるのだ。 黒歴史なんていうものじゃなくて、人生の糧となるのだ。

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