第4話
私が貴族であるグリード様との婚約を受け入れてしばらくしたころ、彼が私を一方的に放置して、自分の使用人であるルーフェにばかり気をかけているという話を耳にした。
「ルーフェ様のお話は僕も聞いていますが…まさか本当に?」
私は信頼できる側近であるノーリッジに、私が調べ上げた事の全てを明かした。彼は最初こそ戸惑いの表情を浮かべていたものの、私の言う事ならとそのすべてを信じてくれた。
「つまりまとめると…最近使用人として雇われたルーフェ様は、敵対貴族に属する裏切者である可能性があると…普通に考えれば彼女本人に正直に話してもらうのが妥当なものの、このまま彼女を好きにさせる方が、巡り巡って浮気をした彼に対するなによりの仕返しになると…そういうお考えなのですね?」
ノーリッジの言葉に対し、私は首を立てに振って答える。私の婚約者であるグリードは使用人に手を出し、その使用人は彼に敵対する貴族の部下であった。普段の彼ならばそんなことはすぐに見抜いただろうけど、すっかり彼女のとりこになっている今ではまるでそのことに気づいていない様子。それならば裏切りの代償は彼女をここから追放することではなく、このまま好きにさせて彼自身を後から破滅させる方が効果的であろう。私はそう考えたのであった。
「分かりました。僕もその方法に協力いたしましょう!」
心強い味方を得て、私はこの計画を実行に移すことを決心した。そしてこの考えは、あまり時間を経ずしてゴールを迎える。
――――
ルーフェは思ったよりも切れ者で、すぐに情報を彼女の指示者へと持ち帰った。その中には私たちが不利になる情報は渡していなかったため、結果的にグリードのみが追及されることとなり、彼の家はそれをきっかけに解散、私たちがその後をそのまま引き継いだ。
そして今では、私たち二人にこの家の今後が託されている。薬指に光る誓いの証に力をもらいながら、私は心を固めるのであった。
後から私の味方をしたいと言ってももう遅いですよ、旦那様? @Murakami9987
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