第2話 住み込み
「ねぇ、なんで私達の家に男がいるの?」
「宮野さん、これはどういうことか説明していただけますか?」
帰ってきたウィークリアス姉妹は俺をゴミでも見るかのような冷たい視線で見つつ、宮野さんを問いただす。
まじか……まさかこの家の主人がウィークリアス姉妹だったなんて……というか宮野さん俺のこと説明してなかったのかよ!
「本日より、働いていただく葉月様です。お嬢様方と同じクラスの方です。」
「こんな男いたかしら?」
「いましたよお姉様。確か葉月修斗くんですね。あまり目立つ方ではないので覚えていなくても無理はありませんね。」
ウィークリアス姉妹の言葉がグサグサと心に刺さる。
確かに俺は教室では基本的に静かにしているが……ここまで言われる少し傷つくぞ……
「それで? なんで男なんか雇ったのよ。私達が大の男嫌いかつ、男性不審なのよく知ってるでしょ?」
え? そうなのか……だから学校でも男子にはとてつもなく冷酷だったのか……。
だが何故それを知ってるのに宮野さんはわざわざ俺を雇ったんだ?
俺が疑問に思っていると宮野さんの口元が一瞬先ほどと同じ邪悪な笑みを浮かべたのが見えた。
「もちろん存じております。ですがこれから社会に出れば男性と関わることは避けては通れません。お嬢様方には今のうちから克服して頂こうと今回の葉月様の雇用を決めたのです。」
「必要ありません。私達は男性とは一生関わらないと決めているので。」
「ミリアの言う通りよ。分かったらさっさとこの男をクビにして屋敷から摘み出しなさい。」
お、おいおい……この流れはもしかして俺クビにされちゃうのか? せっかくいい条件のバイトなのに……
「お嬢様方、我儘はいけません。これはもう決定したことなのです。」
「なら、主人命令よ。早くこの男をクビにして。」
「私の主人は旦那様であり、お嬢様方ではありません。申し訳ありませんが命令はお聞きできません。」
「宮野さん、もう少し説明を——」
「それでは私は仕事があるので失礼します。葉月様、お部屋はお嬢様方のお部屋と同じ階です。」
「ちょ、ちょっとお部屋ってどういうこと——」
「では失礼します」
それだけ言い残し宮野さんは何処かに言ってしまいその場に俺とウィークリアス姉妹の三人が取り残される。
いや、この状況で取り残さないでくれよ……どうすればいいんだよこの空気……
『お姉様どうしますか、これ。』
『縛って路上に捨てるのはどう?』
『それは名案ではありますが少し可哀想ですね。』
『それもそうね……それにしても最悪だわ。まさか男がこの家に住み着くなんて……考えただけでもゾッとする……』
『今からでもお父様に言ってクビにしてもらいますか?』
『無理でしょうね……お父様は忙しいもの……』
何やら英語で会話するウィークリアス姉妹。流石はイギリス人、ただ発音が良くて全然聞き取れない。
最も、聞き取れたとしても俺は英語が全くわからないので何を話しているのかさっぱりわからないのだが。
……まぁ、まずは自己紹介でもするか。
「あ、あの今日からここで働かせていただきます。葉月修斗です。よろしくお願いしま——」
「私達の半径5メートル以内に近づかないこと。私達に話しかけないこと。私達の視界に入らないこと良い?」
「わ、わかりました……」
「くれぐれも変な気は起こさないでくださいね。変な行動を見せたら即通報しますから」
「は、はい……」
俺は二人の圧力に負けただただ頷くしか無かった。
これから先大丈夫か……これ……
あとがき
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クラスの英国美人姉妹の家に住み込みで働くことになった ぷらぷら @1473690623
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