第48話 慶子ちゃんとのアレコレ

 慶子ちゃんや。どうしたんですか。ニマニマとして。

 日本の拠点に戻って来た俺は、元々病院の超高級個室である社長室で、高級ソファーに座り、これまた高級なお茶を飲んでいる。

「今日は、二人でゆっくりしましょうね」

 伯爵にしょう爵され、辺境伯相当になった俺だが、この忙しさどうにかならないかなと思っていたら、並行思考が64列になり、透明分身64体と言うスキルが生えた。これで伯爵邸の執務室では、俺が起きていようと寝ていようと書類にサインしまくる万年筆のしゃかしゃかする音がすると言う怪奇現象が見られることになった。異世界に日本のみならず、有名なメーカーの万年筆を持ち込んだ。ボールペンも良かったのだが、書類仕事には万年筆のほうが好みだ。

 そしてポーションに特性を付与しまくり、数十年分の在庫を作った。特性付与まで並列化している。

 おかげでなかなか行けなかったお墓参りができることになった。支援している南米のフェアトレードの子供たちとも会えたり、伯爵領の孤児院にプレゼントを持って行くことができた。

……。

「うーん、どうかな、加納さんたちとも連絡を取らなきゃだし」

 バタフライエフェクトと言うプロジェクトを立ち上げ、紛争介入やテロ対策のみならず、貧困対策にも力を入れている。さすがに透明分身よりは直接あったほうが良いだろう。しかし、透明分身は、色々な諸々を覗き放題じゃないだろうか。もちろん俺はそんなことはしないし、これからもする気はない。

「加納さんには私から連絡したので、3日位は鯨人さんはお休みです」

 慶子ちゃんがぴったりとくっついてくる。

「新婚旅行には何処に行こうかな」

「それはおいおいで」

 それこそ周りがお膳立てしてくれるだろう。

 社長室のスクリーンカーテンは下ろされ、間接照明が、穏やかな明かりを灯している。

 ん?さっき飲んだお茶に何か入っていたのかな。やたらムーディーな気分になってくる。状態異常耐性は、気配察知と仕事をして危険がなければちゃんと酔えたりできるようになっていた。いつもは、撫でられにくるフェザードラゴンのアモールもしばらく顔を見せない。

「お酒飲みますか」

「うんちょっとください」

 冷えたスパークリングワインで二人で乾杯する。

……。

「お風呂入りましょうか」

「う、うん」

「先に入っていてください」

「うん」

……。

 俺は10人くらい入れる大浴場にそそくさと向かうと、脱衣場で服をたたみ、がらがらとすりガラス風の開き戸を開き、浴場に入った。マナーにしたがって洗い場で身体を洗った。

 曇った鏡が、俺の青く光る髪をうつしている。4枚の羽も出してみる。ちょっとフワフワと飛んでみる。

 浴槽に浸かると「ああー」と自然に声が出た。

「おお、やっぱり大きなお風呂は良いなあ」湯船の縁は丸みのある枕がたでこのまま眠れそうだ。危ないから眠らないけどね。

 この頃領地の経営とか、結婚式とか色々忙しかった。もう俺も36歳か。結婚するとは思ってなかったな。両親は特に母親は、孫の顔を見たいと言っていた。

 と思っていると、すりガラス風の開き戸の向こうに肌色の人影が見えた。

 ガラリと音を立てて慶子ちゃんが入ってきた。

「お風呂ご一緒します」

 タオルで前を隠しているが、右手でタオルを垂らしているため、推定Fカップのツンと上を向いた左胸がポロリしてしまっている。

 大きいのに横に広がることもなく、健康的な下乳と色白の肌がまぶしい。バストトップは桜色で小さめの乳首が可愛らしく上を向いている。

 今年の誕生日で26になるはずだが、ハイティーンにしか見えない。

「お、おう。どうぞ」

 あまりにも綺麗なプロポーションのためだろうか、36のおじさんの頭と身体には劣情の欠片も訪れなかった。

 髪を上げてうなじを見せて、小さな黄色い洗面器で身体を流していたので、声をかけてみる。

「背中流そうか」

「良いんですか。じゃあお願いします」

 スポンジにピュルーとしっとり潤うボディーソープをのせてクシュクシュして泡立たせると、肩甲骨の辺りからコシコシしていく。

 女性らしく丸みがありながらも、しなやかな筋肉がついている。

 耳が赤くなって可愛いな。

「髪の毛すごい色ですね」

「うん、変だよね」鏡に写ったよね。

「全然変じゃないです。綺麗」

 シャワーでスベスベと泡を流して行く。

「お背中流しますよ」

「うん」

 俺も背中をコシコシされて、シャワーで流されていく。

「ここ、羽が出るとこですか」

「そ、そうみたい」感じやすいみたい。

「ふふ…感じますか」

 うう、そんなに触ったら……

……。

 慶子ちゃんを背中から抱くかたちでお湯に浸かる。手を繋いだり、頬を寄せたりしている。

 うなじからいい匂いがする。

 自然と首筋、おでこ、まぶたとキスしてしまっている。耳たぶにそっと触れると「あっ」と小さく声をあげる。

「何か元気になって来られたみたいですね」

 その通りだった。

 二人は静かに深い口づけをして、息づかいが 荒くなって行った。

「う……んッ」

「あ、上がろうか」

……。

 白いタオルで互いの身体を拭きあった。バストトップにかかると、苦しそうに白い歯を見せてこらえている。彼女は髪をほどいてまぶたを閉じ、髪止めを口に頭を振っていた。

……。

 カーテンから街の光が漏れて薄暗い寝室に、差し込んでいる。静かで心臓の音が聞こえそうでこわくなる。

 そっとベッドサイドに座り、何度も桜色の唇や滑らかな舌を狂おしく味わった。

「ん……ッ」

 出来るだけ優しく、慶子ちゃんの熱い身体をベッドに横たえた。

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異世界BB弾無双 @funya3

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