星よみの姫

なつきコイン

第1話 星よみ姫と森の魔女

 星よみ姫と森の魔女


 むかしむかし、ここではない世界に、ホレストという王国がありました。

 ホレスト王国は、森に囲まれた、いなかの小さな国でした。

 しかし、住んでいる人たちは、みんな幸せに暮らしていました。


 それというのも、ホレスト王国には、星よみ姫と呼ばれるお姫様がいたからです。

 星よみ姫は、星をつなぎ、星座をつくり、未来を占います。

 その占いのおかげで、いつも、森からたくさんの食べ物をとることができました。

 時には、占いで、嵐から身を守ることもできたのです。


 ちょっぴりヤンチャな星よみ姫は、お城の生活が退屈です。

 今日も、お城をぬけだし冒険に出ます。

 街に出れば、星よみ姫はみんなの人気者です。

 あちこちで、お菓子をもらって、最近、ちょっとポッチャリな星よみ姫でした。


 そんな星よみ姫は、お城を抜け出したのが王様にバレて叱られます。

「街は危険だから一人で行っては行けないぞ。それに、お菓子の食べすぎもよくないぞ」

 ですが、星よみ姫は、そんなことは気にしません。

「だって、街のみんなは優しいし、お菓子もおいしいんだもの」


 星よみ姫は、今日もお城を抜け出します。

 街に行くと、王様に見つかってしまうので、今日は森に行きます。

 森には、森の魔女が住んでいました。


 森の魔女は、星よみ姫が嫌いです。

 なぜなら、森の魔女も占いをするから。

 森の魔女の水晶占いもよく当たります。

 なのに、チヤホヤされるのは、星よみ姫ばかりです。

「スタイルだって私の方はスリムじゃない!」


 森で、星よみ姫と出会った森の魔女は、少し嫌がらせをすることにしました。

「姫さま。森の奥においしい木の実があるから、いっしょに、とりに行きませんか?」

「ほんと! 行く行く!」

 星よみ姫は、森の魔女をまったく疑わずについていきました。


「ほら、あの木の実ですよ」

「わーい!」

 星よみ姫は、木の実をとって食べ始めます。

「誰も来ない森の奥で、泣いていればいいわ」

 森の魔女は、夢中で木の実をほおばる星よみ姫をおいて帰ってしまいました。


 星よみ姫が、森の魔女がいないことに気がついたのは、木の実をとりつくして、おなかがいっぱいになってからでした。

「あれ? 森の魔女さんはどこに行ったのかしら?」

 周りを見渡しても、森の魔女の姿はどこにも見当たりません。

 一人で帰ろうにも、森の奥まで来てしまったため、どちらに行けばお城があるのかわかりません。


「困ったわね。でも、まあいいか。夜になるまで待ちましょう」

 星よみ姫は、慌てることなく、その場でお昼寝を始めてしまいました。



 やがて、お日様が沈み、青空は、夕焼け空になり、そして星空に変わります。

「さて、星がでてきたし、帰り道を占いましょう」

 星よみ姫は、星をつなぎ、星座をつくり、お城への帰り道を占います。

「こっちね」

 暗い森の中、星よみ姫は迷うことなくお城までたどり着きました。


 お城では、王様と王妃様が心配して待っていました。

「心配しなくても大丈夫、私には、星よみの力があるから」

 王様と王妃様が心配しているのに、星よみ姫はまったく気にしません。

「星よみ姫よ、力を過信してはなりません!」

 星よみ姫は王妃様から叱られてしまいました。


 それでも、星よみ姫はこりません。

 星よみ姫は、今日もお城を抜け出します。

 また、森に行って森の魔女と会いました

「森の魔女さん。今日もおいしい木の実のある所に連れて行って」

「おや、おや。食いしん坊のお姫様は、置き去りにしたくらいではダメなようね」

 森の魔女は、昨日の嫌がらせが効いていないことに腹を立てます。


「なら、もっと遠くに飛ばしてあげます」

「え? なにこれ?」


 星よみ姫があせったときには、すでにおそく、星よみ姫は森の魔女の魔法により、知らない国に飛ばされていました。




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