あなたの桜が舞い散る日に...

@Donguri_Shimasaki

第1話 産業廃棄物人間処理場

これで何十回目だろうか...

私は今、父親と喧嘩中だ。

理由は私が家の金に手を付けたから。

「パパがなんで怒ってるのか分からないのか?」父親は怒りながらそういうが、私はちっとも悪いとは思わない。

だって、お金っていうのは汚い手を使ってでも"稼いだ者勝ち"だからだ。

「は?見えるところに置いてる方が悪いやん。」私はいつも通り反抗的な態度をとって抵抗する。

「そんなに取られたくないなら銀行に預けるとか出来るんじゃないの?少しは頭使えば?」続けて私は得意の毒舌で攻撃を仕掛ける。

「そうか、じゃあ、もういい。出てってくれ」父親が真面目な顔で、ポツリと言った。

「え?」私は心の底からその言葉が出てきた。

父親から予想外の言葉が出て驚いている私に賺さず父親は言った。「今まで詩織が取った金額を計算していた。334万円だ。」

「だから何?金額出せば引くと思ってんの?ガキかよ」私は悔しくなり急いで反撃した。

「それしか言えないんだな。ごめんなさいの一言が聞きたかったんだがな」父親が寂しそうな顔で言う。

「残念だけど、パパもママもこれ以上、詩織の面倒を見ることは出来ないの。」今までずっと黙っていた母親がそう言った。

「私の事が可愛くないの?なんで そんな事軽々しく言えるの?」私は溢れそうな涙を、こらえながら呟いた。

「今まで何回もチャンスはあげただろ?でも変わらなかったのは詩織じゃないか...」父親が強い口調で言い放った一言が私の心を、鋭い刃物で切り裂いた。

その瞬間、私は、私にもう勝ち目がないことを悟った。

『謝らなきゃ』心の中でそう思ったけど、謝り方が分からない。

今まで誰かに謝るという体験をしてこなかったから謝り方が分からなかった。

何も言えない私をみて父親がPC画面を開いて言った。

「この日本にはな、産業廃棄物人間処理場というものがあるんだ。このサービスは不必要になった未成年を国が代わりに処分してくれるサービスだ。」

「え?まさか...」私は思わず呟いた。

「そう、そのまさかだ。実は昨日、これに申し込んだ。だから詩織とは永遠にさようならだ」父親が言い放った。

「ちょっと待って、お願い!考え直して」私は、おもわずイスから立ち上がった。

「ねぇ、二度としないから。本当にお願い。」死に物狂いで土下座した。

父親がゆっくりイスから立ち上がってゆっくり近づいてくる。

私の目の前まで来て父親が言った。「ごめんな、無責任に産んでしまって。」そう言った父親の顔はすごく悲しそうだった。

「お願い、本当に考え直して!私、まだ死にたくないよ!」私は泣きながら必死にお願いした。

『あぁ、どこで道を間違えたんだろう...』14年間の人生の中で本気でそう思った瞬間だった。

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