第3話 スタート

待合室から出て長い廊下を歩いていくと目の前に眩い光が近付いてきた。今回レースが行われる会場であるジェットレースドーム《ビックバン》。グラウンドに出ると広大なフィールドが眼前に広がっていた。ドームの観客席はほぼ垂直に伸びており、高層ビルほどの高さのやぐらのようだった。15階席まである観客席は真下からでは目視できない程に高かった。フィールドも果てしない広さで四方が1kmほどもある。グラウンドに出ると1月の冷風が肺に入り込んだ。鬱々としていた消極的な出場者達も観客の多さと、眩いネオンと怒号のような観客たちの叫び声に当てられて、高揚しているようだった。


「さあさあ出場者達が登場して参りましたよぉ!今年も多いですねぇ。1000人ほどはいるでしょうか。ただ、年末には何人が残っているのやら。失敬失敬。レース前の出場者達の士気を下げるような発言は慎みますよ。それでは出場者の皆さん、自慢のマシンに乗車しちゃってくださいな!」


ドームの10階にある放送ブースで、DJチキがノリノリでマイクに向かって口上を述べた。音声はドーム内の特大スピーカーに乗り、反響したDJチキの言葉が会場に響き渡った。20万人ほどの群衆は高台から好奇の目線で出場者達を見下ろし、会場は無数の蝿が羽音を鳴らすような喧騒に満ち溢れていた。

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JET RACER. バケ。 @lonvake

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