第3話 偉大な父のもと
知らせを受け取ったのは大内義興が周防国で大友政親と戦いの最中であった。
「殿っ!」
「どうした?」
「居城より知らせあり!御内室様が。」
「なにっ!」
義興は内室の出産の報告を受け取った。
初めての子供を授かることもあり義興は興奮気味に
帰城した。
「おおっ!よくやったのぅお初!」
「義興様!合戦の最中に申し訳ございませぬ。」
「なにを言う。大事あるまい。ただ、即座にこの子の地位を家中並びに周辺諸国に明解にいたせ。」
「なぜでこざいますか?」
「でなければまた大内家の家督引き継ぎの際に内紛がおこってしまうからじゃ。二度とそうなってはならぬ。」
大内家が新しい家督者が当主の座に就く際、毎回約束事のように内紛がおこっていた。
義興自身もその経験があり今回のような対策に打って出たのである。
これで収まるとは限らないがやるだけやらなければならない。
「殿。この子にお名前を。」
「左様………。そうじゃ、そなたが決めてよいぞ。」
「えっ。本当ですか……。」
「もちろん。そなたの子でもあるからの。」
「ありがとうございます。それでは……。亀童丸……、というのはどうでしょうか。」
「そなたがそれでよいのなら。」
後に義隆となるこの子供は幼名、亀童丸と名乗ることになった。
義興は居城の大広間にて重臣、陶興房らを前に亀童丸の誕生と正式な家督継承者であることを明言した。
「もはや二度と内乱はあってはならぬ。亀童丸を正式な大内家の家督継承者とする。」
「ご迅速なご判断、お見事でござりまする。しかし一度内乱が起これば面倒でございますゆえ、我らは準備を整えまする。」
興房は流されてはならぬと強調する。
「わかっておる。くれぐれも頼んだぞ。」
「ははっ!」
西の将軍と愛の反逆 大内義隆 陶晴賢 @Radkaw66
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