後日談 弁当交換

「達也!弁当食おうぜ!」


ある日の昼休み。

優から昼食のお誘いを受ける。


「悪い。今日は綾香と二人で食べてもいいか?」

「分かった。じゃあ長谷川さんでも誘って食べてくるよ。達也は楽しんでこいよ〜!」


それだけ言い残し優は去っていった。

せっかく誘ってくれたのに断るのは申し訳ないが今日は綾香と前もって約束していたのだ。

早速待ち合わせていた中庭に向かう。

するとベンチに綾香が座って待っていた。


「ごめん。待たせちゃったよね」

「ううん。全然待ってないよ」


綾香は俺を見た途端笑顔になり答えてくれる。

男嫌いだなんて嘘のような可愛らしい笑顔だった。

俺は綾香の横に腰をかける。


「ちゃんと用意してきた?」

「ああ。ばっちりだ」


俺たちは弁当を取り出す。

俺は少し小さめのもので綾香は少し大きめの弁当箱だ。

これは別に綾香が大食いってわけじゃない。

そう、これは───


「それじゃあ早速交換しようか」

「うん!」


俺は持っていた弁当を綾香に手渡し綾香が持っていた弁当を受け取る。

今日はお互いがお互いの弁当を作る約束をしていたのだ。

俺は受け取った弁当をワクワクしながら開ける。

そこには唐揚げを始めとして男の人が満足できるであろうボリュームに仕上げられていた。


「美味しそう……!」

「達也くんが作ってくれた弁当もすごく美味しそうだね」


綾香は俺の作った弁当を見て目を輝かせていた。

嬉しそうにしてくれるとこちらも作った甲斐があるというものだ。

俺も早速一口いただく。


「美味しい!」

「よかった……」


俺は綾香が作ってくれた弁当を夢中で食べる。

作ってくれたのが綾香だからか料理が全て輝いてみえた。

しばらく食べていると綾香がある話題を口にした。


「そういえば最近仁美と服部くん付き合ったみたいだね」

「おっ!やっとか。見てた感じ時間の問題だったもんな」


二人は俺たちが付き合ったあと良い感じになっていた。

見るからに両思いだったのだがようやく付き合ったようだ。

友人の恋が実って俺としても嬉しいかぎりだ。


「ね、ねぇ……」

「ん?どうしたの?」


綾香は顔を赤くしながら何かを言おうとしている。

もう付き合って二ヶ月ほど経つがこういう反応は珍しくない。

だからいつも急かさず待つようにしているのだ。


「話は変わっちゃうんだけどさ……もっとイチャイチャしたいな」

「すぐにしよう」


めちゃくちゃ可愛いお願いだった。

イチャイチャしたいって言ってくるの可愛すぎだろ。

俺は綾香の願いを叶えるべく弁当から唐揚げを一つつまみ綾香の前に持っていく。


「はい、あーん」

「あ、あーん……」


綾香は恥ずかしそうにしながらも食べてくれた。

もぐもぐと咀嚼している姿は小動物のようで庇護欲をそそられる。

可愛い。


「お返しね。あーん」

「あーん」


傍から見ればバカップルのように仲のいい二人であった。

だが周りがなんと言おうと二人は幸せと笑顔に包まれていた。

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男嫌いなツンツン女を俺のことが大好きなデレデレガールに変えるまで 砂乃一希 @brioche

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