最終話 夕日の祝福
衣装コンテストも無事?終わり学園祭は終わりを迎え始めていた。
日は傾き始め生徒たちは既に片付けを開始している。
かくいう俺もその一人だ。
「ゴミ袋はたくさん用意してあるからどんどん捨ててくれ!借り物は壊さないよう慎重に!」
既に執事服から制服に着替え指示を飛ばす。
実行委員の仕事も片付けで最後だ。
俺も綾香も気を引き締めて臨んでいる。
先生からは五時前には一段落してくれと言われている。
一時間くらいしか時間は無いが順調に進んでいるので間に合いそうだ。
「溜まったゴミは手分けしてゴミ捨て場へ!最後まで頑張ろう!」
幸い準備期間で指示を出し続けたおかげでだいぶ慣れてきた。
あと五分くらいで終わるかな……?
「達也くん!こっちは終わったよ」
別の場所で指示を出していた綾香も終わったようで帰ってきた。
ここまでくればあと少し……!
人数も増えたおかげで無事片付けも終了した。
「お、終わった〜……」
みんなも仕事から開放され近くの友達と話したりしている人たちがほとんどだ。
普段なら俺もそうするんだろうが俺にはやることがある。
「綾香。ちょっといいか?」
「大丈夫だよ。どうしたの?」
「会長に鍵を借りたんだ。ちょっと屋上に行かないか?」
衣装コンクールの参加報酬としてしっかり鍵は受け取っていた。
よく許可が降りたものだ。
あの会長も本性はやばいが有能であることは間違いない。
俺たちは早速屋上に移動する。
今まで入ったことはないから少しワクワクする。
扉は少し錆びていたが問題なく開いた。
「わぁ……!いい眺めだね」
「ああ……そうだな」
そこからは色んなものが見通せた。
別に大自然でも大都会でもないが思い出の詰まった街だ。
少し見渡すだけで色んな感慨を感じる。
夕日もとても綺麗だ。
「屋上ってこんなにいいところだったんだね。一般開放してほしいな」
それも綾香が横にいてくれるからこそだろう。
この数ヶ月で大切な思い出がたくさんできた。
きっと人生の宝物になる。
「綾香」
「……?」
この発言は綾香を困らせてしまうかもしれない。
それでも伝えなかったらきっと後悔するから……!
「好きだよ」
「……っ!!」
今ここで伝えきるんだ……!
想いを全てぶつけるんだ……!
「負けず嫌いのところも、優しいところも、意外とノリがいいところも……全部」
「……」
フラれたら傷つくかもしれないけど恐れてばかりじゃ何も変わらないんだ。
俺だって成長したはずなんだ……!
「だから……俺と付き合って下さい」
「……!」
頭を下げて手を差し出す。
もっとスマートなやり方があったかもしれない。
でも見栄を張らずに等身大でいかなきゃいけないんだ……!
緊張の中、綾香の答えを待つ。
無限にも感じられた時間が過ぎ手が握られる。
反射的に頭を上げた。
「達也くん……こちらこそ、よろしくお願いします……!」
綾香が胸に飛び込んできた。
俺はその華奢な体を受け止める。
その体を抱きしめたら綾香も俺の背中に手を回し同じように応えてくれた。
夕日が二人を美しく照らす。
まるで二人を祝福するかのように……
俺と綾香は顔を見合わせて笑い合い唇を重ね合わせた───
────────────────
これでメインのストーリーは終了です。
あと数話そのまま後日談を投稿いたします。
そちらもぜひ読んでいただけると嬉しいです。
ここまで読んでいただいた方々、本当にありがとうございました!
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