最終話 イケメンという最強スキルに勝てるスキルは存在しない
あれから一週間
勇者が称えられるパレードが再び行われた。
街中で、盛大に行われた。
そして、そのパレードの中心にいるのはそう・・・
ダイナマイトビンゴ!!
勇者、ダイナマイトビンゴの盛大なパレードが行われていた。
そう、彼は世界を救ったのだ。
彼がいなければ、魔王シューラウドは破壊の限りを尽くし、
世界は廃墟と化しただろう。
しかも、シューラウドを自身に惚れさせ、争う事無く世界を平和にした。
イケメンは正義と言うが、その通りである。
多くの女性から、大歓声が飛ぶ。
それはもう、世界一のアイドルと言わんばかりの歓声だった。
「・・・いや、何!?上の解説は!?
あいつ世界救うどころか、滅ぼすキッカケ作った奴じゃん!!
何でヒーロー化してるの!?おかしいじゃん!!
ここまで俺達の苦労は何!?
ていうか、アスタロットンもルミーラも、ちゃっかりパレード参加して
クソ勇者に歓声飛ばしてるじゃん!!
何で!?あの2人、俺に恋に落ちるとかのフラグじゃないの!?
ていうか、あそこで歓声飛ばされてるのは、本来なら俺じゃないの!?
・・・
納得できるか~(怒)!!!!!」
結局、イケメンには勝てない。
非イケメンは、所詮ヒエラルキー下層の人間でしかないのだ。
「ハラユキ~、お前ずいぶんと荒れてるな!
ん!?イケメンに手柄を全て奪われて悔しいか?ん?悔しいか?」
ニヤニヤしながら、ハラユキにチクチクと刺さるような言葉を投げかけるオリビア。
とても、恍惚とした表情だった。
「・・・いいんだ。俺は、芸人だ。顔で勝負するんじゃない!
芸で勝負して勝つんだ!!」
ハラユキが、ちょっと主人公っぽい事を言った。
「や~い負け犬!!その顔の差で手柄取られてや~んの!!」
追撃をするオリビア。
ハラユキの目から、大粒の涙がこぼれおちた。
さらにパレードから1か月が経ち、
街は、ほぼ元通りになっていた。
先代の王は退位し、新たな王が誕生した。
その名も、ダイナマイトビンゴ王。
スーパーイケメン王として、後に教科書にも載るほど有名となった。
そして、その妃として迎えられたのは、シューラウド改め、シューラ姫。
クリスタルの力を完全封印し、人間の女性とほぼ同じ状態となった。
そして、城の家来は全て女性で固めた。
「女性の活躍出来る国を作らねばならない!これからは、女性が主役だ!!」
そして、若い美女を勢ぞろいさせ、王以外はすべて女性という、
他の国には無い体制を作った。
画期的な国として、これも歴史の教科書に残る事となった。
一方、主人公でありながら苦労が無駄になったあの芸人は、旅立つ準備をしていた。
「まあ、平和になったのは違いないし、
俺は劇場のある街へ移動して最高の芸人を目指そう。
そう、俺の真の目的はそれ!戦う事ではない!」
もともと、巻き込まれてクエストを続けていただけなので、
全てが解決した今、もうこの街に留まる必要は無い。
それに、ハラユキの事など皆忘れているので、
ギャグ魔法で街の一部を破壊してしまった罪は、事実上不問となった。
「さて、行くとするか」
クエストで稼いだ金もあるので、次の街へは馬車で行く事にした。
「次の街、クラントライムの大きな劇場で、俺の芸を発揮出来るかも知れない。
今度こそ、必ず芸人として大成功してみせる!」
「そうだな、悪あがきも良い事だ。まあ、あまり気張らずに、
変なギャグを撒き散らして注目集めれば良いんじゃないかな」
・・・!?
なぜか、横にオリビアが座っていた。
「いや、何でお前がいるんだよ!てか、いつの間に乗ったんだよ!?」
「お前が乗車して外をぼーっと眺めていたから、その隙に私もそーっと乗車したのだ」
実質、無賃乗車である。
「いや、魔王討伐クエストは終わったんだぞ?何で一緒に来るんだ?」
「あの街に飽きたのでな。どうせなら、何か面白い事でもしようかと思ったのだ。
だから、お前といれば予期せぬハプニングが発生し、きっと退屈しない日々になるだろうと思ってな。
だから、また頼むぞ!」
「い、いや、それはちょっと・・・」
オリビアは、剣に手をかけ
「ハラユキ、返事を誤らない方がいいぞ。選択肢は慎重に選ぶべきだぞ」
と、笑顔で言った。
ハラユキは、オリビアと共に行く事にした。
お笑い芸人として、大成しようと始めた旅。
しかし、想定外の事が続くハラユキの旅。
はたして、無事に大人気芸人になれるのか!?
ハラユキとオリビアの旅は、まだまだ続く。
不本意でチートギャグ魔法を手に入れた底辺お笑い芸人、超ドS美女剣士に開発されそうになりながらも世界を救う!! 霧島 翔 @ykstation
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