最終章「安らかな眠り」
あの子供をあやめてしまった日と同じように、粉雪がヒラヒラと降り積もる寒い寒い朝。
女は、また、あの子供の亡霊を目にしました。子供は、天使の姿をしていました。その子に、自分がしてしまったことを謝らなければならないと思い、女は、必死に起き上がろうとしたのですが、もう、女には、起き上がる力も、言葉を発する力も残っていませんでした。骨と皮だけになり、「死」が間近に迫っていることは、誰の目から見ても明白でした。そんな女の姿を見て、子供の亡霊は、
「もう、苦しまなくていいんだよ」
と、にっこりと微笑んで消えていきました。自分の罪を赦してもらえたのだと悟った瞬間、女は、これまで感じたことのないような、とても、幸せな気持ちになりました。
そして、ゆっくりと眼を閉じて、そのまま、眼を覚ますことはありませんでした。
了
蒼い鳥 喜島 塔 @sadaharu1031
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