魔女さんと僕
「レニィ!お外で皆と遊ばないの?」
レニィと呼ばれた少年はベッドに腰掛け、本を読んでいた。
「うん…まだ調子が良くないから部屋にいるよ」
そう答えるとレニィを呼びに来た少女は「分かった!」と元気良く外へと駆けて行った。
窓から外を走り回る子ども達の様子がよく見える。
人数は15人程度。それがこの孤児院と呼ばれる建物に住む子どもの数だ。
王都からずっと南にあるこのトレンタという街の端に、此処はある。
と言ってもレニィはここへ来てまだ1週間と少ししか経っていない。
この街の事は全然分からないし、孤児院の皆の事もまだ名前さえちゃんとは知らない。
先程声を掛けに来たやたら元気そうな少女が確かアンナ、孤児院にいる大人のマテリアさんとルイスさんくらいしかまだ認識出来ていない。
後は――
「入って良いかな?」
ノックと共に、耳に心地よい女性にしては低めの部類に入るだろう声がする。
「もちろんです。魔女さん」
レニィは本を閉じて姿勢を正した。
扉が静かに開いて、黒いローブ姿、フードで頭をすっぽり覆った人物が部屋に入って来た。
魔女さん。
周りの人がそう呼んでいるみたいなので魔女さんとしか知らないし、魔女さんも特に名前を名乗ったりはしていない。
とにかく、この魔女さんはレニィの命の恩人で1番会いたい人だった。
魔女さんは祝福に呪われている 玉三 @gyokuso
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