ゲーム開始前に死ぬはずだったモブに転生した主人公。
ある日、池に落ちて生死の境をさまよったことで、腐女子OLだった前世を思い出します。
そして同時に、自分の今いる場所が、キャラたちがどんどん死亡する過酷な乙女ゲームの世界だったことも――
主人公は自分や推しキャラ、転生後の世界での家族が生き残り、幸せになれるよう行動を開始します!
死亡フラグだらけの乙女ゲームについては主人公の回想で語られるだけなので、
実際、読んでいる世界は基本的にほのぼのしています。
そして殺伐とした元のゲーム世界も、語り口が楽しいので笑えます。
病弱な幼児という立場で、主人公はどうやって次なる死亡フラグを回避していくのか?
目的がはっきりしているので、ドキドキハラハラしながら読み進められます!
また時々出てくる作者様自らが筆をとってお描きになった物語の小物(静物画)もイメージを広げてくれます!
激務に疲れた腐女子が乙女ゲームの世界に転生するなんて、設定だけで心を掴まれますが、この物語の真骨頂は細やかなキャラ描写と緊張感あふれる展開にあります。特に、6歳の貴族令嬢レーシアとして目覚めた主人公が、自分の推しキャラである従者カルティと対面するシーンは圧巻!前世の知識が蘇る中、彼を守りたいという決意が描かれる場面には胸が熱くなりました。ゲームの運命を知る彼女が、破滅フラグを回避しようと奮闘する姿は痛快そのもの。一方で、過酷な運命を背負ったキャラたちがどのように描かれるのか、物語の先が気になって止まりません。乙女ゲーム愛好家もそうでない人も、思わず「推し活」したくなる、この心温まる異世界転生ファンタジー、ぜひご一読を!