第55話 ディラン様は素敵なパパ

「テラス」


「はい。ディラン様」


「トゥーラの様子はどうだ?」


「ふふふ、まだ眠っていますよ」


「そうか。では、テラスも眠ると良い」


「ディラン様も少しはお休みくださいね?」


「いや、愛するテラスが、出産なんていう命がけのことをしてくれたのだ。この程度で休む必要はないよ」


「5時間前もそう言って、私とトゥーラの様子を見にいらしてたではありませんか」


「そうだけども……」


「休むことも仕事のうちですよ」


「そうか……では、また必要になったらすぐに呼んでくれ」



 妻煩悩な地獄の神は、子煩悩でもあった。

 テラスの出産が無事に終わり、出産中のアシストはもちろん、癒やしの魔法で子であるトゥーラとテラスに力を送り続けた。産まれてからは、ひたすらテラスとトゥーラの面倒をみている。



「その、ディラン様もなにか役立とうと頑張っていらっしゃるんだと思うぞ?」


「わかってます、クロウ様」


 落ち込んだ様子で部屋から出たディランの様子から、クロウがフォローにきた。


「そういって、あの人3日も眠っていないではありませんか」


「あれくらいの神なら平気だと思うが……そうだな。眠って魔力の回復に努めてもらおう」


「はい。あ、ディラン様が作ってくださった食事を取っていただいてもいいですか?」


「もちろんだ! 魔王も手伝いにきているぞ?」


「わ、我がそんなか弱きものに近づいても大丈夫か?」


「あれは、地獄の神とテラス神の子だぞ? 強いに決まっている」


「そもそも、魔王さん自身に邪悪なものはありませんからね」


「か、かわいいのぅ」


 赤子のかわいさに、みんながめろめろになり、トゥーラは地獄の面々だけでなく、天界の面々にも溺愛されて育ったのであった。



「出産は、さすがに消滅するかと思いました」


「大丈夫だ、テラス。君を消滅させたりは絶対にしないよ」


「もちろんです、ディラン様。あなたとトゥーラを残してなんて、絶対に消滅いたしません」











最後までお読みいただき、ありがとうございました。

少しでも面白かったと思ってくださったら嬉しいです。


ちなみに、魔王の配下七魔族は、水、光、雷、嵐、岩、地面、雪の七魔族です。

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平凡な私が地獄の神に溺愛されています!ー大聖女に転生予定が、気まぐれに地獄へ堕とされたら、地獄の神の溺愛と断罪が待っていました。絶対消滅致しません! 碧桜 汐香 @aoi-oukai

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