第4話 DIYの楽しさに目覚めてしまった

DIYで物を作るなんてバカァ!? 既製品を買った方がタイパ良いでょお?


家の中に転がっている、祖父が作っていた自作のテーブルたちを見る度に、「さてどう使おうか」といつも思案していた。タイパ云々はともかく、既製品を買った方がデザインも良いし、すぐに使えるだろってね。


ただある日、何となく思ったんだ。パームレストを作りてぇって。


少し遡ろう。僕は7年前から東プレのリアルフォースというキーボードを使っている。静電容量無接点方式を採用していて、おそろしくザックリ言うと、なんぼ打っても疲れないキーボードだ。こいつを1度でも使うと、メンブレンが一気にゴミになる。それくらいすんごいキーボードと覚えておいて欲しい。オススメ。


ただ、こいつには大きな欠点がある。キーボードに厚みがあるから、タイピングしていると指が疲れるのだ。ノートパソコンで採用されているパンタグラフ式と比べて、めちゃくちゃ厚いんだ、これが。どれだけ厚みを調整しようと、最低でも1cm以上はある。ちなみにパンタグラフは最低で6mm。桁が1つ違う。


そのため、リアルフォースを使うアンラパームレストは必須だった。パームレストで手首を浮かすことで、やっと疲れずに文字を打てるようになる、そんなキーボードなのだ。


逆にいえば、パームレストがないとリアルフォースは満足に使えない。東プレもそれをわかっているのか、リアルフォース用のパームレストを販売しているほどだ。


話を戻そう。そんなリアルフォースの相棒として、3年近く使っていたパームレストがあった。ケンジントンのジェルタイプのやつなんだけど、使い心地が良くて2つ目を買うくらい気に入っていた。


だが、それも限界が来た。そりゃそうだ。毎日何万文字も打ってたら、ガタが来る。合皮の椅子の表面がボロボロと崩れ落ちるのと同じように、経年劣化によって表面の膜が破れて、中身のジェルが出てくるようになった。


それがまた、言いようのないほど気持ち悪い感触だった。αゲルのグリップを採用しているシャーペンやボールペンを使った経験のある人なら、破れた感触がわかるんじゃないかと思う。Dr.グリップとか。


んで、あまりにも耐えきれなかったから新しいパームレストを買おうと思ったんだけど、既製品を買ってもなーと悩んでいたところ、ふと「自作でできるんじゃね?」と思い立ったわけ。


便利な世の中になったから、パームレストの自作方法なんてGoogle先生とYouTubeで検索すれば、アホみたいな数が出てくる。その中で参考になりそうなものをパクって、100均で道具を揃えた。買ったのは以下。


・杉板✕2枚

・紙やすり

・木工ボンド

・滑り止め

・ニス


総額770円なり。


安すぎぃ! 木製の既製品を買おうと思うと、これの5倍はするぞ!


目に見えてコストを削減できたら、モチベーションも上がろうというもの。ついでに、自分の手に合わせて少しずつ削って形を整えていると、愛着も湧いてきた。やっぱり時間をかけて作っていくと、どんな物でも愛おしくなるもんだね。


そうして2週間。隙間時間を使ってちまちまと作ったパームレストは、少し不格好な形をしていた。DIY素人だから当たり前なんだけどさ。


でも、愛着だけは凄まじくあった。完成したと確信したとき、思わず「うほっ」って声が出たもんね。喜びの声はゴリラだったよ。


現在、自作パームレストは自宅兼職場で活躍してくれている。めちゃくちゃ安かったけど、間違いなく2024年買ったもの(作ったもの)でNo.1だ。使っているうちに兼年変換もしてくるだろうから、ワクワクしながら使っている。


DIYは確かに面倒だし、既製品と比べて不格好になる。でも、それらが気にならなくなるくらいの魅力があると気付かされた。


今は、モニター台を作ろうと思って、どんなサイズにしようか考えているところだ。死ぬまで続く趣味になるかはまだわからないけど、しばらくは楽しもうと思う。


DIY、考えているほど悪くないよ。




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たまには日常を語ってもいいじゃない あさき れい @asakirei

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