ヘルスメーターと健康診断

須賀マサキ

第1話 阿呆が招いた冤罪

 あれはもう八年くらい前のことです。ストレスが原因でぶくぶく太っていく自分がイヤで、おしゃれもままならないころでした。


 私同様ぽっちゃりタイプの上の子が就職する際、体重が原因で落ちるかもしれないというので、当時流行はやっていた「炭水化物ダイエット」なるものを始めました。

 その成果があったのか、体重は無事にクリア。まさに危機一髪です。


 ぽっちゃりを通り越した私はそれを見て、子供にならって炭水化物ダイエットを始めました。


 大好きなお米とパンは食べずに、食事はおかずだけにします。

 とは言え、ハンバーグやフライ、天ぷらはもとより、パン粉や小麦粉を使っている料理は多いので、完全にシャットアウトするのは無理な相談。

 ここで私が凝り性だったら成り立たない炭水化物ダイエットですが、幸にしてその辺りは結構いい加減なので、気にせずに進めることにしました。


  ☆  ☆  ☆


 スマホを使い始めてから、ほぼ毎日体重体脂肪を記録しています。

 今回エッセイを書くために当時の記録を確認してみたところ、半年で約十三キログラム落ちていました。


 妊娠出産前の体重まであと少し、というところで打ち止めになったのが残念でした。


 そのまま体重を維持できたら良かったのですが、お米やパンを食べるようになると、徐々に増えてきます。

 食べないダイエットは食べるとリバウンドが始まるという、考えれば当たり前の結果が待っていました。けれども一気に増えることはなく、少し増えたところで止まりました。


 体重も落ちたので、メタボ扱いされないだろうと思い、久しぶりに健康診断を申し込みました。

 ところが突然、ジリジリと増える体重。

 BMIが標準値を今にも超えそうです。


 めっちゃやばいやん!


 そんな不安を抱えつつまたダイエットをしますが、一度増加に向けて勢いがつくと、減量に向きを変えるのは難しいのです。

 この辺は物体の運動と一緒だわ。なんて、阿呆なことを考えながらヘルスメーターに乗ります。


 何度測っても、一度標準を超えたBMIは微妙に標準を超えたまま落ちてくれません。

 そして健康診断の日を迎えます。


 ああ、もう終わりだ!

 食事指導されるかな。かかりつけ医に行けと言われるかな。

 メタボで日にちをおいて再検査かな……。


 そんな思いを抱きながら健康診断の日を迎えました。


  ☆  ☆  ☆


 名前を呼ばれ、ドキドキしながら身長と体重を測定します。

 努力の成果は出ているか……と淡い期待を抱いたものの、体重は落ちていませんでした。


 メタボだああああ!


 目の前が真っ暗になった瞬間でした。

 ところがその後の簡単な面談では、メタボのことに一切触れることがありません。

 何が起きたのかと、記録された紙を見てみると……。


 思っていたより身長が高かったのです。


 家のヘルスメーターは160cmで登録しています。身長を滅多に測ることがなかったので、大体の数値を入れていました。

 ところが実際は161cmを数ミリ超えているのです。


 立ち止まって考えると、十代のときは160cmを少し切っていました。でも就職したときの健康診断で161cmを超えていたので、驚いたことを思い出しました。


 それをすっかり忘れて切りのいい数値を入力していたために、家で測定したときはBMIが標準値を超えていました。

 でも実際は1cmちょっと多かったので、なんとか標準値の範囲に収まったと言うわけです。


 まさに危機一髪でした。


  ☆  ☆  ☆


 その後のダイエットはどうなったかというと……。


 実は長年の不摂生が祟って、体調を壊してしまいました。

 投薬によって普通に生活をできるようになったのはいいのですが、薬の副作用で元に戻ってしまいました。


 体調を見て薬を増やすと体重も増え、薬を減らすと少しだけ体重も減ります。

 そんなふうになると、おしゃれする気力もなくなる上に、痩せていたときに買った服も着られません。それが影響してまた病気が進むという悪循環に入りました。


 当然のことながら、この状態では薬を減らすことはできません。なのでもう一度食事を工夫することにしました。


 栄養バランスを考えてカロリー低めのものを食べるようにしたところ、月に1kgくらいの割合で落ちてきました。

 ただ年末年始の不規則な食事で少し増えたのですが、最近になってまた減少傾向にあります。


 このまま上手く落ちてくれたら、来年の今ごろは標準体重に戻っているでしょう。

 でも実際はどうなることやら。


 我慢ばかりせず少し自分を甘やかして、ストレスを溜めずにダイエットを続けているところです。


 綺麗に痩せられるように、応援してくださいね。

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ヘルスメーターと健康診断 須賀マサキ @ryokuma00

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