第百一話 アルミナス、動く!

「アルミナス様、ようやくこの南極基地が完成致しましたぞ」


「バトゴア、褒めてつかわすぞえ」


「褒めに預かり光栄にございます」



 四天王の一人、トドという魔獣を用いた機械魔獣のバトゴアが、妾に基地の完成報告してきた。

 これでようやく、全銀河全滅団は攻勢に出られるというもの。

 恨みと因縁深い憎き絶対無敵ロボ アポロンカイザーを、今度こそ粉々に破壊してやるわ。

 この世界で蘇った妾は、心に闇を抱える下等生物を機械大人と機械魔獣にして多くの同朋を殺させ、その住処や生活に必要な施設やインフラを破壊させた。

 これにより大量の経験値を得て、妾はレベルアップして以前よりも大幅に強化されておいる。

 さらに……。


「ルース、妾の新しい体だが、とても気に入ったぞ」


「アルミナス様のためならば、この程度の苦労、苦労のうちに入りませんとも。過去に絶対無敵ロボ アポロンカイザーとセクシーレディーロボ ビューティフォーが戦った場所において、この二体に用いられている『超々銀河超合金アルファ』を微量ながら回収に成功し、サンプルの分析、試作、改良から、それ以上の強度を持つ『テラ銀河超合金アルファ』の開発に成功しました。大変に量産が難しい金属なので、アルミナス様のボディーを交換するのが限界でしたが」


「上出来だ。これで絶対無敵ロボ アポロンカイザーも終わりね。粉々にしてやる」


 この世界の絶対無敵ロボ アポロンカイザーに岩城正平は搭乗していないと思うけど、そんなことは関係ないわ。

 誰が乗っていようとバラバラに破壊すれば、これまで妾の僕たちを数多破壊してきた下等生物は死ぬのだから。


「妾ははっきりと覚えてる。絶対無敵ロボ アポロンカイザーの剣が、妾の美しいボディーを貫いた瞬間をだ!」


 妾は、全銀河を征服するに相応しい一番優れた単体生命体なのだ。

 数ばかり多く、環境を破壊して資源を無駄遣いし、挙句の果てに醜い内輪揉めを続ける下等生物など、妾が管理下いてこそ生き永らえることができるのだから。


「絶対無敵ロボ アポロンカイザーを破壊したら、即座にこの惑星を完全制服し、そのあとはこの世界の全銀河を支配するじゃ!」


「おおっ! 素晴らしいお考えだ!」


「それでこそ、俺様たちのアルミナス様」


「我らは全力でお助けしますとも」


 メリーはもったいないことをしたけど、まだルース、ゴルル、バトゴアがいるから問題ない。

 絶対無敵ロボ アポロンカイザーを倒したら、メリーの代わりの四天王作り出すことにしようではないか。

 ただその前に……。


「出撃する」


「 アルミナス様自らですか?」


「不満でもあるの? ゴルア」


「いえ……もしアルミナス様になにかがあればと思いまして……」


「パワーアップした妾が、絶対無敵ロボ アポロンカイザーに負けるとでも?」


「いえ、そんなことは……」


「ゴルル、あなたは戦いたいのでしょう?」


 四天王の一人で、地下神殿警備責任者にしてシロクマ型機械魔獣であるゴルルは自らが戦うことを好む。

 とはいえ、今のゴルルたちでは絶対無敵ロボ アポロンカイザーに歯が立たない。

 それに私は学習している。

 わざわざ弱い敵から戦わせて、絶対無敵ロボ アポロンカイザーに各個撃破され、向こうに経験値を献上する必要はない。


「妾のレベルが上がった以上、向こうはレベルが上がらないなどということはないはず。これがこの世界の一番の特徴なのだから。妾が出撃して一気に破壊する」


 絶対無敵ロボ アポロンカイザーさえ倒してしまえば、あとはすべて雑魚。

 この世界を征服することなど容易なことなのじゃから。


「お前たちは、この完成した南極基地を守っていればいい。早速出発じゃ! これまでずっと籠りきりで、ストレスが溜まっていたところよ。見つけた!」


 南極の基地を出発してすぐ、妾は下等生物の住処を発見した。


「未開の下等生物が、まるで蟻のように狭い場所に集まっておるわ。肩慣らしの標的としてはちょうどいい」


 どうせ下等生物など、あまり沢山いても環境を破壊するだけだだ。

 妾の理想の世界のために、少し数を減らしておこうかの。


「 ボディーがテラ銀河超合金アルファとなり、大幅にパワーアップした破砕絶風(はさいぜっぷう)の威力を確認する実験台にしてやろうではないか」


 せいぜいありがたく思うのじゃな。

 お主ら下等生物が苦しまぬよう、慈悲の心でその身をバラバラに引き千切ってやろうという妾の恩情なのじゃから。


「食らうがいいわ! 破砕絶風(はさいぜっぷう)!」


 久しぶりに全力で放った技じゃが、やはり新しいボディーは素晴らしい。

 下等生物たちが住む街が粉々になり、脆い下等生物たちも瞬時に切り刻まれ、血の霧となっていく。


「今までの妾ならば、破砕絶風(はさいぜっぷう)を二発撃たなければ全滅させられなかった街が、一発で全滅したわ。これならば……」


 確実に絶対無敵ロボ アポロンカイザーを倒せる。

 その自慢の超々銀河超合金アルファのボディーを粉々に砕いてやるわ。

 今から覚悟しておくがいい!

 絶対無敵ロボ アポロンカイザーを目指して北上を開始しようではないか。

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(仮題)異世界で死にかけた少年と入れ替わった独身アラフィフサラリーマン、スキルが『絶対無敵ロボ アポロンカイザー』だった Y.A @waiei

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