第54話 タイトル回収が1番興奮すると聞いたもので。
「もっと来たまえ! 光秀!!」
「秀吉様、強い!!」
一夜城の屋上では、明智光秀と豊臣秀吉が戦いを繰り広げていた。
「まさか、魔法が使えないとはな、明智光秀。」
「そうですね、ですが私は剣術で押し通します!!」
目に見えない速さの戦いが繰り広げられる。
「儂の【ゴリラモード】に勝てると思うなよ!!」
豊臣秀吉の【ゴリラモード】とは、その名の通りゴリラのような姿になり、無尽蔵に暴れる魔法だ。
「こんなのに少しでも当たってしえば、一溜りもないですね。」
「よく分かっているな! 光秀!!」
かなりヒートアップしてきた戦い。
だが、その戦いを止めるように徳川家康が間に入ってきた。
「そこまでだ、秀吉。」
「なんでじゃ!」
「蒼月華が破壊された、織田信長にだ。」
「ぐぬぬ、それは不味いのじゃな。」
「逃げるぞ。」
「分かったのじゃ!」
そう言うと、屋根にものすごい衝撃が走った。
理由は簡単。誰かが、勢いよく飛び込んできたのだ。
「ナイスタイミングだ、本多忠勝!」
「うむ。」
「じゃあ、飛べ! 忠勝!!」
「御意!!」
明智光秀はそんな3人に叫ぶ。
「逃げるな卑怯者! 逃げるなァァァ!」
だが、その声を家康たちは無視した。
そして、本多忠勝は徳川家康と豊臣秀吉を抱えて飛んで行ってしまった。
去り際に家康は言った。
「このまま俺たちが帰るとは思わないことだよ。全員、生きて帰りたいなら早く下に行きな。」
明智光秀は、屋根から下の様子を見た。
そこには、大量のモンスターが出現していた。
「まずい! 信長様!!」
光秀は、屋根から飛び降りて信長の前に着地した。
「きゃ!」
と、結衣が叫ぶ。
「たしか、生徒会の人だっけ?」
と、ミラン先輩が言う。
「そうですが、今はそれどころではありません。」
分かってるよと、ミラン先輩は言う。
「だから、転移魔法で飛ん……でって、アレ。また、妨害されてる。」
その時だった。
「逃げるが良い、結衣、ミラン。」
と、信長が言った。
「え、信長は?」
と、結衣が言う。
「我に任せよ。」
と、信長は伝えた。
そして、信長はミラン先輩の顔を見ると、1度頷いた。
その後、ミラン先輩は結衣を抱えて逃げ出した。
「良いのですか? 信長様。」
「我は、新しい酒を飲んで気分が高揚しておるのだ。少し、身体を動かしたいと思っていたからな、好都合!」
「そうですか。それなら、いきますか!」
現れた大量のモンスターへ向けて、2人の武士が突っ込んだ。
1人は地獄のような炎を出し、もう1人は真っ直ぐに切り進みながら!!
「嫌なものだな! 明智光秀よ!!」
「何がですか? 信長様!!」
「仲間だった者たちに、次々と裏切られていく事にだ!」
「信長様は、気づいていたのですか?」
「家康はな、でも秀吉までとは思わなかった。こんな一夜城を作れるのは秀吉しかいないと思うからな。」
「さすがですね、信長様。」
更に辺りを【獄炎】が包み込んだ。
「信長様は、裏切らないでくださいよ。」
「我が裏切るわけがないだろ、我には戦うべき理由が出来たのだからな。」
「やはり、あの方たちですか?」
「あぁ、我の大事な仲間たちだ。そして、お主も大事な仲間たちだ。ついでに、裏切っていったあの者達もな。」
「信長様……。裏切り者を許すとは、だいぶ"うつけ"ですな。」
「そんな奴に背中を預けて戦っておるお主もだいぶ"うつけ"だぞ。」
「「ハハハハハハハハハ!!」」
その時、信長と光秀は背中を合わせて一夜城の入口に立っていた本多忠勝とそこに乗っかっている豊臣秀吉と徳川家康に刀を向けた。
「さぁ、始めようか!! この異世界の平和を乱そうとするお主たちのような者を!!」
信長が叫んだ。
「私たちのような"うつけ"が倒していく、この馬鹿げた乱舞……」
それに続けるように光秀が叫んだ。
そして、2人の息が重なった。
「「『戦国の異世界乱舞』を!!!」」
徳川家康は違和感に思い、一夜城の屋根を見た。
そこには、自分を召喚した魔術結社たちが立っていた。
全てを仕組んでいた奴らが。
「面白い。あの"うつけ"共は、俺たちだけじゃなく魔術結社にも宣戦布告をした訳か。」
徳川家康はそう言うと、本多忠勝に合図を出して今度こそ飛び出した。
そして、全ての様子を見ていた魔術結社も消えた。
「さ、信長様。帰りましょう。」
「どうやって?」
「こうやってです。」
すると、光秀は懐から大量の爆弾を取り出した。
「一夜城ごと消し飛ばします!!」
「は?」
「ミツヒデ いきまーす!!」
「おい、ちょっと待て!!」
凄まじい轟音が鳴り響いた。
信長が目をつぶった間に、ミラン先輩が信長と光秀を抱え、転移魔法を行った。
――――――――――
「ハハハハ! 傷だらけじゃん結衣ィ!」
「わ、笑うなよ!!」
イリスが眠っていた病室に結衣もいた。
そんな2人の前に、魔法陣が出現した。
「ただいまー!」
「あ! ミラン先輩! あと信長と光秀くん!!」
結衣は嬉しいそうに3人に近づく。
「信長、良かったよ無事で。」
「あの〜、結衣よ。1つ大事な事を言って良いか?」
「なに?」
「あの酒、強すぎ!! 吐きそう!!」
「は? え? ちょ、トイレ言ってきてよ!!」
「行ってきまァァァァス!!」
病室を飛び出した信長を見届けた4人は盛大に笑いあった。
「結局、変わらなかったね! 何もかも!!」
と、結衣は言う。
「そうだねェ。」
と、イリスは言う。
「信長くんらしくてボクは好きだよ。」
と、ミラン先輩が言う。
「それが信長様です。」
と、光秀が言った。
蒼月華によって暗くなった風紀委員だったが、信長によっていつも通りの風紀委員になったのだった。
ちなみに、信長は酒のせいで蒼月華と戦った記憶が無くなったらしい。
――――――――――
戦国の異世界乱舞~本能寺で死んだはずの織田信長が、異世界に召喚されたので学園生活を満喫します(?)~
『蒼月華』篇 〜完〜
戦国の異世界乱舞~本能寺で死んだはずの織田信長が、異世界に召喚されたので学園生活を満喫します(?)~ りょあくん @Ryoakun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。戦国の異世界乱舞~本能寺で死んだはずの織田信長が、異世界に召喚されたので学園生活を満喫します(?)~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます