没法子
たかぱし かげる
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人生は矛盾に満ちている。寒いとおしっこ行きたくなるが、寒いとおしっこ行きたくない。
この閉塞した危機的状況における打開点はただひとつ。すなわち決壊限界点である。
もはや猶予は一刻一ミリリットルもない。
そうなる前にトイレ行けよ!!なんて戯言はよしていただきたい。だって没法子なんだから。
寂れた地方の無人駅にトイレは個室ひとつしかなかった。
しかもこれ、ほぼ屋外、絶対極寒のやつ。
想像しただけで𠄏がぶるりと震えるが、その寒気の作用は尿意を引っ込めるのと尿意を促すのと五分五分、結果プラマイゼロである。
あー。絶対寒いわー。しかもおしっこ出すと体温下がるしー。あー。とかなんとかまごついているうちに臨界なわけだから行くしかないのだが。
ここまでの思考は0.5秒。
扉を開けた後の0.5秒でいかに素早く用を足すか。もはやこれに尽きる。
よし、いくぞ!
勢いよく扉を開けたら胸に刃物の刺さった女子高生が座っていた。
は? え?
虚ろな目と目が合う。彼女の制服の胸をおびただしい血が濡らしていた。
絶体絶命(※絶対に絶命してるの略)だ。
驚きのあまり膀胱がきゅっと縮む。その作用は尿意を促すのと尿意を引っ込めるのと五分五分、結果プラマイゼロである。
絶体絶命(※もう出ちゃうって方の意味)だ。
なんで?? 死体??
通報? 無理。警察が来るまでなんておしっこ待てない。
どけて用を足す? やばい。さすがにやばいわ。
見なかったことにして他のトイレを探す?
はっきり言おう。一歩でも動いたら間違いなく決壊する。
誰だよ、トイレで殺人したやつ!!!
公共のトイレで不倫とか殺人とか、絶対しちゃダメだよ!!!
許すまじ犯人の思いが沸き上がってくる。
ただ、現状追い詰められているのは犯人ではない。間違いなく俺だ。
これさあ、もうしょうがないよね?
***
「それで仕方なく遺体を触って動かした、と?」
「はい、すみません」
「しかも現場だったトイレを使用して、水まで流してしまった、と」
「本当に……すみません」
「せめて先に通報するとか、ねぇ?」
「誠に申し訳ございません!」
「まあ、監視カメラに被害者も犯人もあなたもしっかり映ってたんで……疑わないけどねえ」
刑事にめちゃくちゃ冷たい目で見られて、またおしっこに行きたくなってきた。
どんなに寒くてもおしっこは早めに行こうな!
没法子 たかぱし かげる @takapashied
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