くう・くう・くう

水奈川葵

くう・くう・くう 

あるとき庭のカエルに

ジョフリーという名前をつけた

カエルは嫌いだが

つけると不思議にかわいいと思えた

ある昼ジョフリーは外のさんぽに出かけたらしい

私も同じ道を散歩していたが

ジョフリーはミウローネに呑まれるトコロだった

ミウローネは私が前に名付けたヘビだ

ミウローネの細い舌がチラチラと見え

ジョフリーの足がミウローネの口からとび出て

なんだか生きているのか

ぴくぴく動いていた

次の日ショグンがミウローネを咥えていた

ショグンはときおり姿を見せるイタチだ

つやつやと光っていたミウローネの体は

なんだかコチコチで干からびて見えた

あくる日うるさい犬の声で目が覚めた

窓を開け怒鳴ると群れた野犬がサッと散った

まだ掘り起こされたばかりの

やわらかそうな土の上で

ショグンは剥製のように固まっていた

なめらかそうでフカフカしてそうだった毛皮が

今はゴワゴワに見える

私は押入れの奥にしまいこんだ

真っ黒なゴミ袋を出してきてショグンを入れた

役所が開いたら

燃してもらうのだ

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くう・くう・くう 水奈川葵 @AoiMinakawa729

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