親から子へ引き継がれていく命のバトン。次はだれに引き継がれていくのだろうか。
この作品は、家族の因縁と創造の苦悩を、ホラーの深淵を通して見事に描き出している。母の果たせなかった野望と息子の葛藤は、まるで古典悲劇のように読者の心に突き刺さる。この物語において、創作とはただの表現行為ではなく、魂の放浪であり、祖先からのバトンを受け継ぐ行為であると言えるだろう。息子が母のアイデアを読み解きながら自らの小説を書く過程は、まるで死者との交信であり、読者にはその恐怖と同時に、創作の孤独な喜びをも感じさせる。家族の愛憎と創作の狂気が交錯する、実に優れたホラーである。
久しぶりにこの作者の小説を読んで、この作者はフィクションって言ってるけど、実際は本当にしてきたことをお話として書いてるんじゃないかと――ほんとにヒトを殺したことがあるんじゃないかと錯覚させられて、ああこの作者はやっぱり怖いな!というのを久々に思い出しました。そういう風に思わせてくる文章とお話を書けるのには素直に脱帽です。ちなみにいまだにフィクションという説明には半信半疑です笑あと短編は読みやすくていいね。また気が向いたら短編書いてほしいです。