カクヨム短編フェス2

淡雪

第1話危機一髪

今晩は。


 今からお話しするのは、泡やこの世とおさらばするかもしれなかった猫の物語です。


 昔家で飼っていたパンダ猫君。

 

 今は訳あって外で暮らしております。


 その猫が多分2歳ぐらいだった時のことでしょうか?


 夜ベランダで寛いでいた彼に、忍び寄る一つの黒い影が近づいてきました。


 相手はその当時まだ来たばかりの茶猫。


 後のHちゃんの親になるちょっと強い猫です。


 彼はいつか出されるであろうご飯を奪い取ろうと目論み、のんびり構えていたパンダ猫君の目の前に立ちハダカったのです。


 咄嗟に起きた事態に驚いた彼でしたが、直ぐに臨戦体勢に入りました。


 ですが、それは時すでに遅く、茶猫が隙をついて体当たりを仕掛けて来たのです。


 パンダ猫君は茶猫のタックルをもろに受け、そのままベランダから落下し、地面に叩きつけ……られませんでした。


 なんと、運がいいことに人間が張ってくれた黒く太い線に、両腕が上手く引っ掛かったのです(憶測)


 真顔のままの彼は、部屋の中で表情が固まる住人の視線など気にせず、体を揺らし反動をつけ、まるで何事も起きなかったように、再び這い上がって、ベランダに上りました。


 その線がなかったら、今頃パンダ猫君はこの世にいなかったことでしょう。


 嘘のような本当の話。


 これにて一件落着!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カクヨム短編フェス2 淡雪 @AwaYuKI193RY

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ