第6話

「ふんふんふふふーん♪」


 ところ変わって放課後。俺はスキップしながら、とある場所へと向かっているところだった。


「よく考えたらこれからはいつでも寝取られることが出来るんだし、焦んなくてもいいよな!」


 レンタル彼女のことを知った直後は寝取られることだけで頭がいっぱいになっていたが、燐子と会話したことで今の俺は大分落ち着きを取り戻していた。

 その際、まず寝取られる前にやることがあることを思い出し、俺はこうしてひとり歩き続けているというわけだ。


「今期のアニメはブ〇イブバーンが間違いなく覇権だろうなっと、着いたな」


 寝取られとブ〇イブバーンの濃すぎるOPに想いを馳せていると、無事目的地に到着した。

 上を見上げると、そこに西洋風の建物と、その上にそびり立つように鎮座している大きな十字架があった。

 そう、ここは街はずれにあるとある教会。名を『ネトーレ・ユエーツ協会』という。俺の行きつけとなっている因縁深い場所でもある。


「たのもーう!」


 そして行きつけの教会なので、遠慮する必要など全くない。

 俺は叩くようにドアを押し開けると、大声と共に室内へと侵入した。


「シスターコトミ! ドスケベシスターコトミはいるだろうか! いるなら返事をしてくれ! 杉原学が重要な話があって推参したぞ!」


 更なる大声で俺は目的の人物の名前を叫ぶ。

 それなりに大きな協会だが、街はずれにあるため人気はない。だから誰かの気配があればすぐに気付く。俺の声に反応し、奥からパタパタと駆けてくる人の気配だって楽勝で分かるということだ。


「シスター! ドスケベシスターはいずこに……」


「もう! 恥ずかしいからその呼び方はやめなさいと言っているでしょう!」


 からかい半分で再度声を荒げると、その人物はようやく姿を見せた。

 黒い修道服に身を包み、ロザリオを首からかけた妙齢の美女。所謂シスターというやつだが、重要なのはそこではない。


 肝心なのは、そのシスターがあまりにドスケベだということだ。

 修道服は身体のラインに沿うようにピッチリしてるし、おっぱいがデカい。ものすごくデカい。とにかくデカい。

 顔はたれ目でどことなく柔和は雰囲気があるが、唇は厚ぼったく妙なエロスを醸し出している。

 見た目は大学生くらいにしか見えないが、これで俺と同い年の娘がいるのだから驚きである。

 汝姦淫することなかれというが、この人妻シスターの前でえっちな妄想をしない男子などいないだろう。

 ここに来た男はもれなく彼女の虜になること請け合いなし。まさにドスケベだ。ドスケベシスターという他ない。それがシスターコトミであった。

 

「だってドスケベなんだもん。仕方ないじゃん」


「ないじゃん。じゃないのです! ミスター葛原! 何度言えば分かるのですか! あるいはまだ悪魔が憑りついているのですか! 払いますよ!」


 ドスケベシスターはプンプン怒っていたが、ハッキリ言って迫力はない。

 基本的に優しい性格の人なので、怒ることには向いていないのだ。俺は彼女を見ながら、やれやれと首を振る。


「憑いてなんかないって。あの事件でさすがに俺も懲りたしさ。今ここにいるのは正真正銘寝取られ大好きアルティメット人間、杉原学その人だよ。シスターコトミ」


「その割に言動がおかしいんですが。いや、いつものこととはいえ、正直貴方をまともな人間であるとは思えませんよ、いろんな意味で」


 はぁっと大きくため息を漏らすシスターコトミ。

 その際大きなおっぱいがたぷんと揺れて、俺は思わずガン見する。

 だって男の子だもん、仕方ないよね。


「何見てるんです?」


「おっぱいを見てます。いやぁおっきい。マジでおっきいっすねこれ。これからチャラ男さんもきっと大満足ですよ。俺のために寝取られてくれません?」


「寝取られません。ていうか、やはり悪魔が憑いてますよね貴方。払いますよ?」


「憑いてません憑いてません。仮に憑いているとしても、それは寝取られという名の紳士ですよ」


「寝取られに紳士もなにもないと思うのですが……はぁ、まぁいいです。それより、何の用があってきたのですか? レンカなら、まだ帰ってきておりませんよ」


 呆れたように再度ため息をつくシスターコトミ。

 ふむ、レンカのやつはまだ帰ってないのか。それはちょっと残念だな。アイツもからかうといい反応してくれるのでお気に入りなのだが。


「そうですか。ふーむ、どうするかなぁ」


「帰ってくるまで待ちますか? 婚約者の貴方が出迎えてくれたなら、きっとあの子も喜ぶと思いますが」


「それもアリっすね……てか、その婚約者っていうの、どうにかなりません? 俺たち、別に付き合ってるわけでもなんでもないんですが」


 自然と出てきた婚約者というワードについツッコむ。

 このシスターは以前の事件以降、俺と娘であるレンカを事あるごとにくっつけてこようとする悪癖があるのだ。


「フフッ、照れることはないでしょう。あの子も貴方を嫌っているわけではないですし、貴方が我が家業を継いでくれたら安泰というものです」


「いや、家業と言われても」


「この世から悪魔をせん滅し、寝取られの輪を広げ愉悦する……それこそが我らが大望! 神の望みなのですから!!!」


 そう言いながら満面の笑みで笑いかけてくるシスターの目は、嗤っていなかった。

 ここは『ネトーレ・ユエーツ協会』。邪教と悪魔をせん滅し、世界に寝取られの輪を広げ愉悦することを教義としている、ガンギマリ狂信者の集いの場なのであった。

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NTRが大好きで寝取られたくてたまらない俺が、ある日運命≪レンタル彼女≫の存在を知り、無限NTRが出来ると喜び勇んで登録したら、何故か知り合いばかりとマッチングして全然寝取られない件 くろねこどらごん @dragon1250

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