巨大な岩を危機一髪で避けたヒーロー

猫月九日

第1話

 僕の横を巨大な岩が通り過ぎていく。

 それを見て僕は思った。


「ああ……助かった……」


 窓の外には、落ちていく岩。

 それを危機一髪のところで避けることができた。


 後ろの方から歓声が上がったのがわかった。

 皆助かったことがわかったのだろう。

 安堵のため息、神への祈りなんかも聞こえる。


 きっとあの岩を避けたパイロットへの称賛も多々あるだろう。

 つまり、僕への称賛ということだ。


 本当に危機一髪だった。

 あの岩が上から降ってきた時、僕はもう死ぬかと思った。

 しかし、乗客を預かる身として、ただで諦めるわけにはいかなかった。


 レバーを操作して、全力で回避した。

 それが功を奏したのだろう。

 急な操作で機体は傾いたが、なんとか立て直すことができた。


「おっと、オートパイロットに戻さないと」


 避けたからと言って、まだ目的地に到着したわけではない。

 安心するのはまだ早い。


 そう、安心するのが早すぎた。

 巨大な隕石が機体の真下に落ちて、海が……爆発した。

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巨大な岩を危機一髪で避けたヒーロー 猫月九日 @CatFall68

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