キキイツパツ【危機一髪】
だら子
第1話
【キキイツパツ】
「これは暗号であり、ヒント。爆発を回避するために必要だ」
モニター越しの男は何故か笑いを噛み殺していた。
「この中にいる人間の衣服にマイクロチップを事前に埋め込んでいる。
おまえたちの誰かひとりが、何も知らずに爆弾を抱えてるってことだ。
5分後発火し、爆発する。
さあ、ここからはヒントだ。
この暗号は非常にコンプライアンス違反していると言ってもいい。
今のご時世アウト。俺の趣味だ。
さ、ヒントも与えたし、これで『わからなかったおまえたちが悪い』と思えば俺の罪悪感も少なくなるわ。まあ、解読不可能だろうが。ガハハハハハハ」
下品に笑った愉快犯。
僕たちを拘束して安全な場所に逃げ、こうしてモニターに映っている。
何のためにこんなこと。
銀行ごと吹き飛ばすつもりなんだろう。
「動くな」と銃で脅し、素早い動きで僕たちを軟禁状態にした。
過去の恨み!?
あの男の暗い過去が暗号の意味と繋がっているとはどうしても思えなかった。
観葉植物の裏に座る親子が泣き出している。
遺書を書く者もいた。
就職の内定をもらい、やっと友達と卒業旅行行くっていうのに…
死んでたまるか!!
【キキイツパツ】
この暗号をとけるか…誰か…。
危機一髪と読めばいいだろうか!?
危機一髪で回避できるのか!?
状況は絶望的だった。
「もうみんな裸になるしかない!」
プロ野球帽を被った老人が叫んだ。
みんながしぶしぶ服を脱ぎ始めたそのとき。
男性の前で脱ぐのを躊躇っていた、銀行の窓口の女性に目が奪われた。
キキイツパツ。
そして脳裏に浮かんだ!
並べ替えると【キツキツパイ】
犯人は俺の趣味…と言っていた…
あの子だ!!
制服から
僕は駆け寄った。
「いますぐブラジャーを脱いで!!」
「えっ?」
「すまん!!」
僕は銀行窓口の女性のブラジャーをむしりとり窓に向かって思い切り投げた。
大きな爆発音とともに、誰かが通報したのであろう、警察官が入ってきた。
助かった…。
人を救ったことはうれしかったが、
犯人と趣味が合うことについては、なんとも言えない気持ちになった。
女性は、手でおっぱいを隠している。
タワワなおっぱいが窮屈でキツキツなブラジャーから解放され、息している。
すまない。
これからよいブラジャーにめぐりあえますように。
僕は祈ることしかできないが。
【終】
キキイツパツ【危機一髪】 だら子 @darako
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