あとがき
まずは、本作「サイリウムは女神様の為に」をお読みくださり、誠にありがとうございます。本作は、自身の小説としては二作目となるのですが、前作がおよそ六万文字弱の中編小説ということで、今回は是が非でも長編小説としての一つの基準となる十万文字を越える作品を執筆する、というのを第一目標として書き始めました。
前作は小説初執筆ということもあり、本当に行き当たりばったりで、登場人物たちの勝手な振る舞いに、「なにやってくれてんだよ!」「なんでそんなに怒ってるの?」「情緒不安定なの?」「もっとしっかり受験勉強して同じ学校行けよ、アホか!」などなど、自分でそんなシーンを書いておきながら、キャラに文句言いつつ、どーしよ、どーしよ……どーしよ×500くらいでした。
その反省から、今作は一応の大きな話の本筋を決めて、それぞれ前半ではこんな感じ、中盤、後半はこんな感じ、みたいなのを作って、それぞれの話数も箇条書きのストーリーの流れを書き出す感じで進めていったら、どーしよ×1000くらいになりました。めでたしめでたし。って増えとるやないかいっ! なのですが、書き出す前に、どーしよ、があって、書いてる最中はそんなにどーしよってならないので、気分的には楽になりました。
けど、ホントに創作してて感じるのは、キャラが勝手に動くという感覚です。一生懸命考えて決めたあらすじを、いとも簡単に逸脱しやがるんですよ。コイツらホンマにもー。これってプロットや登場人物の設定が固まってないってことだと思うんですけど、力量的に仕方ないとは思っています。それにしても、ホントに何回パソコンの前で「困りー」って言ったと思ってんのよ。「困りー」って。ボタン押したら「コマリー」って、そういうの、誰か作ってくれないかな?
あとがきの前置きはこれくらいにして、あとがきの本題にいきましょう。本作を書くきっかけからいきましょうか。
以前から天岩戸伝説は個人的に好きでして、その中でも、天鈿女命「アメノウズメノミコト」が特に好きなのです。なぜと言われると本気で長くなるので止めておきます。
天鈿女命をメインヒロインとした、アイドルを目指す少女の出現と、その消失の物語を書きたいと、ずっと思っていました。前作を書いてみて、ちょっとだけ自分は小説が書ける人なのかも……という勘違いができたので、もしかしたらいけるかもしれないと思い、見切り発車したというわけです。
これより先、書き終えた時点での覚書きになります。また、今後新作を執筆する気分になったときに、コレを自分で読み返して、書き終えた時点でのキモチを思い出せるように記しておきます。備忘録というやつです。では気の向くままに書いていきます。
登場人物の名前について、言及しておきましょう。
天野鶉娘
ヒロインはあまのうずめとして、漢字は
ウズラのムスメって、それカワウィーね! って感じです。書いてる最中は本気でヒロインに恋して書いていますので、初期設定の愛着要素には、非常に気を使っています。主人公より先に鶉娘を紹介するあたり、作者の変態っぷりがうかがえると思います。
三神照真
主人公は、「天岩戸」、本作でいうところの「玄関ドア」をはさんで登場するので、もちろん天照大神から。スサノオ、ツクヨミとあわせて三神なので、苗字は三神。照真は、鶉娘にショーマと呼ばせたいという、「鶉娘がショーマって呼ぶ萌え」精神に
佐竹智彦
アメノウズメの旦那さんであるサルタヒコから来ています。ショーマの恋のライバル的な存在の予定もあって、年齢的には25くらいとかも考えましたが、業界歴が長い方がいいかと思い30過ぎにしました。
大柄、背が高いは、サルタヒコ(天狗)からきています。鼻が大きいという描写や、赤いジャケットなども当初は考えましたが、それについてのエピソードも思い浮かばないので、無しにしました。
桜庭美玖
いかにもアイドルっぽい名前として、作りました。作者が鶉娘推しガチ勢なので、本編前半は、ショーマは美玖ファンという設定なのに、ショーマってそんなに美玖推し感が伝わってこないのがちょっと物足りないというのは本気の自己分析です。
本田チーフ
野村愛莉
職場の先輩や後輩がモデルとなっています。
なお、本気でヒマ……マジすることねぇし……やべぇ、人生終わってる? ってくらいに時間が余っていましたら、以下も長いですが、どうぞお付き合い下さい。
本作を創作するにあたって、ベースとなる物語といいますか、影響を受けた物語を挙げていきたいと思います。言ってみれば、パクった作品になります。ネタバレ祭りだわっしょいわっしょい!! では開催します。
天岩戸伝説などの神話系は完全なるベースなので、軽ーく。
「ひらけごま」も岩系だった気がするので、拝借です。チープ感というか、え? よりによってその言葉? てな感じが、悪くないと思います。もっと色々と調べて、別の言葉でもよかったかも。
本作に影響を与えた作品たちたち。
一作目はアニメ、『魔法の天使クリィミーマミ』です。普通の小学生の女の子が魔法を使って十六歳くらいのアイドルに変身するみたいなヤツですね。終盤、魔法が使えなくなる、正体がバレそうになる、とかとか。終盤は結構シリアスで、子供の頃に視聴したのですが、胸を打たれた覚えがあります。
アイドルものというコンセプト、骨格はこの辺からです。
余談ですが、ヒロインの森沢優は、作者の初恋のキャラです。トシオって呼ぶ声が最高に可愛いんですよ。トシゥオッて感じです。分かりますかね? トシWohです。ここ非常に大事なんですけど、呼び萌えの原体験は、コレだと思います。
二作目もアニメ、『KEY THE METAL IDOL』です。自分の事をロボットだと思っている少女が、人間に戻るために三万人の友達を作る。その手段として、アイドルを目指すという物語。
正直、なんじゃそりゃそりゃなストーリーなのですが、くしくもクリィミーマミを制作したスタジオぴえろというアニメ制作会社の作品となります。主人公のキィちゃんこと巳真兎季子は、神社の娘っ子なのですが、この神社が祭ってる神様が天鈿女命だったりします。正直視聴はお勧めしませんが、個人的には脳天カチ割られて、ゲルも抽出されちゃって、電線脳髄ビビビ的な、人生観すらぶっ壊されちゃうくらい、このアニメには影響を受けました。この作品のせい……ゴホン、おかげでこれ以降、ほとんどアニメを見なくなってしまったほどです。なんとなくお腹いっぱいになってしまった感じですね。刺さる人にはぶっ刺さる、刺さらない人には全く刺さらない作品だと思います。
アイドルを目指すというコンセプト、天鈿女命、プロダクション・ミノス、メガロドームでのクライマックスのコンサート、などなど。
三作目は、小説、『暗黒童話』大好きな乙一さんの作品。成績優秀、スポーツ万能、ピアノも上手な優等生、愛され女子高生が、片目と同時に記憶を失う物語。成績はガタ落ち、ピアノも弾けなくなり、ダメダメになってしまった少女が、眼球移植を受けたことから、狂気殺人の犯人を追い詰めることになるという、グロくて設定もぶっ飛んでるお話です。こちらもお勧めはしないのですが、このダメダメな女の子が、優秀な本当の自分との間で葛藤したり、移植された目のかつての持ち主だった少年の記憶と軌跡をたどりつつ恋をしたり、家族とは何かを真剣に考えたり。記憶が戻ると、このダメダメな女の子は物質的ではなく人格的にいなくなってしまうことになるのですが、その辺の、消失、別れ的なテイストを本作に取り入れたかったという思いが強いです。
四作目。ドラマ、『男女7人夏物語』『男女7人秋物語』です。これは外せません。夏物語については鎌田敏夫さんの小説も読むくらい好きなドラマです。夢に敗れた今井良介(明石家さんま)が神崎桃子(大竹しのぶ)のノンフィクションライターになるという夢を応援するというコンセプトをそのままパクってます。鶉娘のセリフの言い回しは桃子の影響がとても大きいです。「それみれ、それみれ」「あ~やし~い、あ〜やし~~い」は、桃子のセリフだった気がします。桃子が言ったのは「や〜らし〜い」だった気もしますが、記憶が曖昧です。
正直、桃子はいい女性とは言えない部分もあり、「めんどくさい女」「イヤな女」的なところもあるのですが、そういうダメな部分も含めて魅力的という想いもあり、作者的には好きであります。実際に付き合ったら、大変だとは思いますが……。
またまた余談ですが、秋物語の舞台、川崎フェリー乗り場を昔々に利用したことがあります。良介がクリームソーダを注文したレストランと、
桃子「どーしてあんなこと、言ったのよー!!」
良介「ややこしいやっちゃな……」
というシーンの、連絡通路に実際に行ったときは、感動しました。東京湾アクアラインの開通とともにフェリーが無くなってしまったのが残念です。
この秋物語六話「地球滅亡の日」のラストシーンは、視聴時、本気で号泣しました。体中の水分が抜けて干物になるんじゃないかと思うくらい泣きました。懐かしや。
この他にも細かいことを言えば、色々な作品が上がるのですが、インプットとして長いこと離れていたアニメをここ2〜3年で見まくったので、タイトルだけでも挙げてみます。
とある魔術の禁書目録、上条当麻◆ショーマです。インデックスが、とーま、とーま、と呼ぶのがちょっとイイなと思ってパクりました。
エヴァも小ネタとしてスパイス程度に入ってます。見知らぬ天井◆見知った天井、コスプレ店員◆綾波など
俺の妹がこんなに可愛いわけがない◆オタクとか秋葉原とかのアイデア、ショーマの口癖・言い回しは高坂京介から、兄妹の結婚アイデア他
となりのトトロ◆まっくろくろすけ出ておいで
魔女の宅急便◆魔法はお休み中
青春ブタ野郎シリーズ◆梓川咲太、かえで兄妹の関係性。人格としての消失
YAWARA!◆猪熊柔を応援する松田耕作、鶉娘のおじいちゃんは、無意識ですが滋悟郎さんの影響「ふぉっふぉっふぉ」などがあるかもしれません。
ああっ女神さまっ◆女神様が来るという意味では同じですが、そんなに影響は受けていません。鶉娘のビジュアルは、スクルドが最も近いかもしれませんね。たった今この文章を書くまで気付きませんでしたが、そんな気がしてきました。
その他
ラブライブ!サンシャイン!!◆作者の出身地が舞台ということでアニメを見ましたが、アニメというより現実のAqoursのライブ映像や、舞台裏、アイドルコンサートの雰囲気を資料として参考にしました。
全体を通して言えることですが、作者はラブコメ全盛期(八三年~九三年頃)の影響を大きく受けているので、どうしてもそんな作品になりがちです。
ドラマ◆あまえないでョ!(斉藤由貴と布川敏和のやつ)、男女七人、一〇一回目のプロポーズ、東京ラブストーリーなどなど。
マンガ◆めぞん一刻、みゆき、タッチ、奇面組(個人的にラブコメ枠)などなど。次回作があるとするならば、この辺から少し離れた物語に挑戦してみたい気もします。
という訳で、盛大にネタバレ祭りを開催してまいりましたが、こんな感じで本作が出来上がりましたという紹介でした。ライトノベル的といいますか、肩の力を抜いてゴロ寝しながら笑って読めるような作品になったと、本人的には思います。なにより、どうなってもいいから、とにかく十万文字だけは絶対に越えるというスタンスだったので、話の中身はスッカラカンでもいいやという思いも、無くはなかったです。
もし、次回作があるとしたら、また違ったコンセプトで書いてみたい気もします。
次回作があった場合には、また読んで頂けると幸いです。さすがにこの辺で、筆を置きたいと思います。ありがとうございました。
二〇二四年 一月吉日 椎野守
サイリウムは女神様の為に 椎野 守 @mamo_shii
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