第41話 おっさん、現状に驚く


 防衛作戦を終えて俺は街に戻ってきていた。


 女の子はいろいろ話があると言って俺とは別行動をすることになり俺は宿に戻ってきていた。


「おかえりータツヤ」


 宿に帰るとシルフが迎えてくれた。


「うん」


 それからヒナも。


「おかえりなさいませ、タツヤ様」


 2人の挨拶を受けながら俺はベッドに座った。


 それからヒナに聞いた。


「そういえば、依頼のグループ分けとかは終わったのか?」

「はい!ばっちりです!」


 机の上を指さしたヒナ。


 目を向けるとそこには大量の依頼が束になって置かれていた。


「おぉ、ありがとー2人とも」


 シルフもしっぽをフリフリしながら胸を張っていた。


「そうじゃろそうじゃろ。ところでタツヤ」


 シルフが俺の顔を見てきた。


「ん?」

「ご褒美とかはないのか?」

「ご褒美、かぁ」


 そうだな。


 2人とも頑張ってくれたことだし、


「今日はなにかいいものでも食べようか?」


 そう聞いてみるとシルフは口を開いた。


「ドラゴンは食べてみたいものがいろいろあるぞ!あれもこれも食べてみたい!」


 そう言っていろいろ食べたいものを口にしていくシルフ。


 俺はそんなシルフを見ながら今回の依頼の報酬などをまとめていた。


 ちなみに今回貰った報酬はだいたい一億ジェルくらいだった。


 俺にしてはとんでもない額を貰っていてしまったのだが……。


(これだけ貰えたらいろいろとかなり楽になるよなー)


 生活はもちろんの話だが武器の買い替えなんかももちろん楽になる。


 なんならしばらく働かなくていいくらいなのではないだろうか?


「とりあえず、そうだな。目先のこととしてご飯でも食べに行こうか」


 俺がそう言うと2人は顔を明るくさせていた。


 そのときヒナが俺に聞いてきた。


「ところで、そちらの方は?」


 俺の隣にいたマシロを指さしたヒナ。


 俺はマシロとの関係を話すことにした。


「えぇ?!そうだったんですか?」


 とんでもなく驚いてたけどヒナは祝ってくれた。


「おめでとうございます!」


 シルフはよく分かっていないようだった。


 たぶんだけどドラゴンだから文化が違うんだろうな。


「ま、とりあえずそんなわけでご飯でもいこうか」


 俺たちは宿を出て酒場に向かうことにした。


 そこではいつもよりも歓声が上がっていた。


「ふぅぅぅ!!お疲れ様!」

「いやぁ、疲れたなぁ作戦」

「でもこれで暫くは街の安全が保証されるんだぜ!」


 そんな会話が聞こえてくる。


 俺たちはそんな中隅の方の席に向かった。


 そこで4人で机を囲んで座る。


 色々と注文していくことにした。


「ドラゴンはこれが食べたい!あーそれも!」


 シルフは特に色々と注文していた。


 見るもの全部が初めてで、全部食べてみたいってレベルだったのだが。


「食べられる分だけにしておけよ?」

「無論だ。モグモグ」


 食べ物を口いっぱいに突っ込んでそんなことを言っている。


 そうやって食事をしていた時だった。


 酒場の扉が開いて中に誰かが入ってきた。


 そっちに目をやるとリッカが入ってきたところだった。


 俺と目が会うとこっちに走ってきた。


「お疲れ様ぁ。作戦終わったんだってね」

「うん」

「私も座っていい?ここは出すからさ」

「え、いいの?」

「もちろんだよ。この前もタツヤにはすごい世話になっちゃったんだしさ」


 そう言うとリッカは空いてる席に座ってた。


 それから酒とかいろいろ頼み始めた。


 俺はそうしながらあの日リダスと別れた時からのことを思い出してた。


 あの時は何も分からないただの中年のおっさんだったけど今ではいろいろと知ってしまった。


 そして変わったことがいろいろある。


 一番変わったのは俺に仲間が出来たことだろう。


 マシロ、ヒナ、それからシルフ。

 みんな信頼できるしいい仲間だ。


 リダスとは違う。


 全員良い奴だった。


 それから俺は財布を見た。


 後変わったことと言えばこれだ。


 金だ。


 俺が出た時は3000ジェルとかだった財布の中身は……【1億2000万ジェル】となっていた。


 何倍なんだろう?


 4万倍?


 俺の財布の中身がやばいことになってる。


 間違いなくあれから一番変わったのはこれだと思う。


(すっごいとこまで来てしまったなぁ)


 財布の中身を見てるとそう思わずにはいられない。


 リダスと別れて数週間しか経っていないのにここまで現実が変わってしまうなんて……。


 俺が一番驚いていた。


 そして、可愛い嫁まで出来てしまって。


 なんで早くフリーランスにならなかったのかを問いかけたいくらいだった。


 そのときリッカが話しかけてきた。


「あー、そういえばさタツヤ。ここに来るまでにもタツヤのこと話してる人いっぱい見たよ」

「俺の事?」

「そうそう。なんでも結構な人がタツヤのこと知ってて、依頼だすならタツヤさんだよねーってなってたよ!」

「そうなんだ。それは嬉しいなぁ」


 変わったことはもう一個あったか。


 俺への周りの視線である。


 いつも俺は馬鹿にされたような目で見られていたのに今ではそんな視線はひとつも感じなくなっていた。


 正直それだけで凄くいい気分になれていた。

 そのとき、俺たちの机にリッカが頼んだ料理も追加で出てきた。


 それからリッカは俺の前に酒をスライドした。


「一緒に飲もうよ、タツヤァ。タツヤの分まで注文したからさ」


 どうやら誘われているようだった。


 そういえばこの子年はこの中で一番上なんだっけ?


 見た目は他の子達と変わらないくらいに見えるけど。


 この中で飲めるのは俺とリッカくらいなもんだけど、俺は全員の顔を見た。


「とりあえずカンパイってやつでもしとく?」


 そう聞くとみんなグラスを手に持ってた。


 それから俺たちは目を合わせてから言った。


「「「「「カンパーイ」」」」」


 それが食事の挨拶だった。


 俺たちは運ばれてきた料理を食べていくことにした。


 いい気持ちの中で食べる料理がここまで美味しい物だとここまで来てやっと知った俺だった。


 でも気になったこともある。


 もっと金持ちになったり世界中に認められるような人間になった時、料理の味はどんなものになるんだろうなぁ?ってこと。


 次はもっと上を目指してみたいって思えるのだった。







【あとがき】


ここまで読んでくださりありがとうございます!

だいぶ駆け足になった箇所もあるかもしれませんが、物語はここで一区切りです。


少しでも『面白い』とか、『続きが気になる』と思っていただけたら★★★レビューやブックマークを付けることで応援していただけるとモチベーションになります。


なお、この後の展開はおっさんがのんびりいろいろやるだけのものになる予定です!






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底辺のおっさん冒険者、見下してくるパーティを思い切ってやめてフリーランスになったら待遇が3000倍になった~異世界でゆるゆるで楽しいフリーランス生活を送りたい! にこん @nicon

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