第四章 愛逢月 〜君の気持ち〜

蝉が鳴き始め、夏の訪れを実感する7月。

あの時から私は優太くんを無意識に避けるようになった。

部活動でも業務的な話しかせず、それ以外で会話することはなかった。

日はめぐり終業式の日になった。今日は午前中には学校は終わり午後から

部活動だった。私は憂鬱で仕方がない。

みんなはもう引退しているが私の部活は夏に大会があるため

まだしばらく続ける必要があった。

夏休みも毎日部活動がある。顔を合わせないといけない。私は変に意識していた。

その日の帰り道、片耳が壊れたイヤホンをつけ音楽を聴きながら

いつもの帰り道をゆっくり歩いていた。

すると後ろから足音が聞こえ肩を叩かれた。振り返ると優太くんの姿があった。

逃げようとすると

「待ってください!なんで最近僕を避けてるんですか。何か悪いことしましたか。」

私だってわからない。けどあの光景を見た時逃げたくなった。

辛かった。苦しかった。

「いや、相合い傘して前帰ってたでしょ?彼女いるなら先に言ってよ!彼女さん嫉妬させちゃうでしょ?」

この感情だけはバレちゃダメだ。隠すのに必死だった。

「あー、いや幼なじみです。あれ。恋愛感情なんて1ミリもないですよ。(笑)」

え?幼なじみ?彼女じゃない?安心で膝から力が抜けそうだった。

すると優太くんは

「僕、先輩のこと可愛いと思っててずっと見てました。狙っても良いですか。」

頭が真っ白になった。1匹の天道虫が黄金色の空に飛んでいった。

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純愛青春物語 雲母なれる @s2_nareru

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