第三章 水無月 〜大雨〜
ジメジメとした空気、蒸し暑い。そんな日々が続いていた6月。あの時君が私に話しかけてくれた後、
少しだけ言葉を交わした。
君「俺のことわかりますか」
私「うん、同い部活だからさすがにわかるよ」
こうは言ったものの、全くと言っていいほど名前を思い出せなかった。
それを悟られないように必死に隠した。
すると君は、
君「優太です。これからは名前で呼んでくださいね」
そう言って君は立ち去った。そこから私は君のことを優太くんと呼ぶことにした。
少し話してから、たびたび学校で見かけることがあった。
その度に笑顔で話しかけてくれた。少しだけ嬉しかった。
梅雨の時期が来て雨が降る日がとても増えたそんなある日。
私は傘を忘れてしまった。
そういう日に限って土砂降りの雨だった。走って帰るか、止むまで待つか
悩んできた時優太くんが私の横を横切った。
声をかけようとした時、私は言葉が詰まった。
優太くんは女の子を傘に入れ相合い傘で帰っていた。
その景色を見た時私は思わず雨に当たりたくなるくらい
心がキュッと締め付けられた。
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