第二章 早苗月 〜玄関〜

澄み渡った青空が広がる5月、今日も私はいつものように部活へ向かう。

新入部員が入って1ヶ月。人数が少し増えただけで活動自体はあまり

変わらなかった。君との関わりもマネージャーと選手としての関わりだけで

学校生活で話すどころか見ることもなかった。

そんなある日私は靴箱の掃除当番だったため黙々と掃除をしていると

君がたまたまいたのだ。怖い印象を持っていた私はうつむきながら

掃除をしていた。そしたら急に視界が誰かの顔でいっぱいになった。

そう、君が覗き込んできたのだ。突然のことに私は思わず声が出た。

「俺のことわかりますか」

これが話すきっかけになったのだ。

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