第8話

彼の笑顔を見た私は、嬉しさのあまり笑ってしまった!なぜか驚いた様子のオーガスタスさんだったが、そして見つめ合い微笑んだ後、お茶会の日時や場所などの詳細について打ち合わせをすることになった。

お茶会当日になり、私はオーガスタスさんと一緒に会場となる中庭へと向かっていた。すると途中で他の参加者の方々と合流することができたので一緒に向かうことにした。

中庭に到着すると、すでに準備が整っており、参加メンバーが席についていた。

「皆さん、お待たせいたしました!」と言って挨拶をしながら部屋に入り、参加者の方々に挨拶をした後、私は席についた。そしておもてなしの準備ができたので早速お茶会が始まったのである。

最初の話題は、やはりオーガスタスさんの恋の相談だった...........彼は昨日見たという、婚約者の噂について詳しく話してくれたのだ。

その話によれば彼女の家は古くから続く貴族の家系で家柄も良く資産もあるため、将来結婚する相手は引く手数多だという。オーガスタスさん自身も、彼女との婚約を望んでいるものの、婚約者がいるということが原因で、周囲から反対されることを恐れているのだという。

「なるほど、そういう事情があったんですね..........」と私が言うと、オーガスタスさんは頷きながら続けた──「うん、だから諦めるしかないと思っているんだ...........」

そんな彼の言葉を聞いた私は、思わず黙り込んでしまった。どうすれば、彼の力になれるのか考えていたのだ。しかし、答えを見つけることができないまま時間だけが流れていった、その時だったーーふと思いついたことがあったのでそれを試してみることに決めたのだ。

「オーガスタスさん、実はですね...........婚約者がいて彼女はその方が好きというのは、単なる噂にすぎないかもしれませんよ!」と、私は元気よく言ってみせた。

すると、彼は驚いた表情を浮かべながらも、興味深そうに耳を傾けていた。

そんな彼の様子を見た私は、話を続けることにした──「もし本当に婚約者がいたとしても、本人同士が望んでいない可能性もあるじゃないですか!だから諦めずにアプローチを続けてみるべきだと思います!」その言葉にオーガスタスさんは目を輝かせながら大きく頷いてくれた……そして決意に満ちた表情で立ち上がり、真っ直ぐに私を見つめてこう言ったのだ。

「ありがとう、リーゼロッテ!君の言葉が僕にとって大きな励みになったよ!」

そして彼は勢いよく部屋から出て行ったかと思うと、そのままどこかへ走り去って行った。その後ろ姿を見送った後、私は一人微笑んでいた。

ーーその後、オーガスタスさんは戻ってきたのだが、なんだか雰囲気が見違えっており、、自信に満ち溢れているように見えた。その姿を見た私は彼の気持ちが楽になったことを悟り、心から祝福してあげたいと思うのだった。

数日後、オーガスタスさんから相談を受けた私は喜んで協力することにした。今度のお茶会でどんなアプローチをするのか教えて欲しいと伝えたところ、彼は照れながらも教えてくれたのである。

「実は先日、婚約者がいると噂されていた女性に偶然街で出会ったんだ!でも、彼女はなんだか困っている様子だったから気になって声をかけたら、彼女は自分の家や身分に自信が持てなくて、悩んでいるという話を聞いたんだよ。だから僕は彼女に『君は、素晴らしい女性だよ』と元気づけたんだ。そうすると彼女は嬉しそうに笑ってくれてね...........その時から僕らは親密になっていったんだよ!」と、興奮気味に話してくれたのだ。私はその話を頷きながら聞き入っていた……そしてオーガスタスさんが上手くいくように心の中で祈っていたのである。


それから数日後、オーガスタスさんが再び相談を持ちかけてきた。なんでも、彼女からデートに誘われたのだという!どうやら、彼女も彼に対して好意を抱いてくれたようで、今回のお茶会をきっかけに距離が縮まったらしい。

それを聞いて私も自分のことのように嬉しかった。「おめでとう、オーガスタスさん!」と私はお祝いの言葉をかけることにしたが、彼は照れ臭そうに笑っていた。

そして、私に感謝の言葉を述べてくれたのである。

その後、お茶会の日が来たが、その日も順調で楽しい時間を過ごすことができた。しかし問題はその後に待っていた...........。

突然、一人の男性が部屋に入ってきてこう言ったのだ。「皆さん、聞いてください!実はこのお茶会にスパイが紛れ込んでいるという情報を入手しました!」と言って男性を紹介したのである...........それは、なんとオーガスタスさんの父親だった。彼は私の目の前で大げさに話し始め、すぐにお茶会は解散となってしまった……そして私は急いで家に戻ったのだが、そこで待っていたのは意外な真実であった……


それから数日後、私はオーガスタスさんの父親から呼び出しを受けたので急いで彼の屋敷へと向かった。

そこで待っていたのは、厳しい顔をした父親と意気消沈しているオーガスタスさんの姿でした..........。私は一体何が何だか分からずにいると、彼の父親がゆっくりと話し始めました。「リーゼロッテ君、君の話は聞いているよ。実は、君に言っておかなければならないことがあるんだ.........」

そこで聞かされた話はあまりにも残酷なものでした..........私が、今までしてきた努力は全て無駄だったことを知り、そして自分の愚かさを痛感させられた瞬間でもありました……

しかしそれ以上に辛かったのはオーガスタスさんのことだったのです……彼は私のせいで傷つき、苦しんでいる様子が手に取るように分かったからです……私は彼に謝罪の言葉をかけることしかできませんでした……。


ーーそれから数日が経ちましたが、私の心は未だ悲しみに満たされたままでした……そんな私に優しく声をかけてくれたのはオーガスタスさんでした。「君が謝る必要なんてないよ!僕は君のことを責めるつもりはないし、むしろ感謝しているくらいなんだ。君のおかげで自分の気持ちに正直になれて、好きな人と一緒に過ごすことができたんだからね!」と言ってくれました。その言葉に私は涙が止まらなくなり、彼に抱きしめられながら泣き崩れてしまいました……そして私たちは再び友達に戻ることができたのです。

-その後も私たちは交流を深めながら仲良く過ごすことができました。しかしそれと同時に、心の傷が癒えることはありませんでした.........私の過ちは決して消えることはありませんし、後悔の気持ちが消えることもないでしょう……しかしそれでも前を向いて進んでいかなければならないと思っています。


「リーゼロッテ、僕の好きな人を君に紹介したい」

ある日突然オーガスタスさんにそう言われ、、私は驚きつつも喜びを感じていました……。

-オーガスタスさんの案内でやってきたのは、街の広場にあるカフェでした。そこで待っていた女性を見た瞬間、私は胸が高鳴るような感覚に襲われました……それはオーガスタスさんが彼女を紹介したかった相手というのはこの人のことなんだということがすぐに分かったからです。彼女はとても優しそうで笑顔が素敵で、まさにオーガスタスさんが好きになるのも納得できる人だなと感じました。

その後私たちは一緒にスイーツを楽しんだりおしゃべりをしたりして楽しい時間を過ごしました。

彼女とは話も合ってとても気が合い、すぐに打ち解けることができました。

そして別れ際、私はオーガスタスさんから彼女と連絡先を交換するように勧められました。しかし私は少し迷っていました……なぜなら彼女のことを信用できるのか分からなかったからです。そんな私の気持ちを察してくれたのでしょうか……オーガスタスさんは私にこう言いました。「大丈夫だよ、リーゼロッテ!彼女ならきっと僕の支えになってくれるはずさ!」その言葉を聞いた瞬間、私の心は軽くなりました……そして私は勇気を振り絞って彼女と連絡先を交換することにしたのです……

その日から私と彼女は頻繁に連絡を取り合うようになり、お互いの日常や趣味について語り合ったり、時には悩み相談をしたりもしました……そして彼女と話していると自然と心が癒されていくような感覚を覚えました。私はいつしか彼女のことを信頼し始めていました……でもまだ完全に信じることはできなかったのです……それは私が過去に犯した過ちが私を苦しめるからです。

ある日のこと、いつものように彼女と楽しく会話をしていると突然彼女が黙り込んでしまいました……そしてしばらくしてから口を開きました。「実は好きな人に告白しようと考えてるの。でも、不安で仕方ないんだ..........もし断られたらどうしようって思うと...........」

私は彼女の告白に驚きつつも、応援してあげることにしました。「頑張って!きっと上手くいくよ!」そう伝えると、彼女は嬉しそうに微笑んでくれました。

---その後、数週間が経ちました。彼女は順調に交際を進めていき、ついにオーガスタスさんと恋人になったことを、報告してくれました。その話を聞いた私は自分のことのように喜んであげました……しかし心の底ではまだ少し複雑な気持ちを抱いていましたが、それでも彼女が幸せそうで良かったと思うことができました。

---そしてある日、彼女から会いたいと連絡がありました。指定された場所に行くとそこには彼女が一人で待っていました……「どうしたの?」と私が聞くと、彼女は微笑みながらこう言いました。「実はあなたに伝えたいことがあって来たの」

私はドキッとしてしまいましたが、平静を装って言葉の続きを待っていました。すると彼女はゆっくりと深呼吸をして息を整えた後、意を決したように口を開きました……そしてこう言ったのです。「あなたのことが好きだった!でも今はオーガスタスさんのことが好き!今更だけど、伝えておこうと思って..........」

突然告白されて、私は動揺してしまいましたが、それでも何とか返事をすることができました。

「ありがとう........あなたの気持ちは嬉しかったわ」

それを聞いた彼女は少し嬉しそうな表情を見せながら、笑顔を絶やすことはありませんでした……そして最後に「これからも友達でいてくれる?」と聞いてきたので私は迷わず頷きました。「もちろん!」そう言って、私たちは笑顔で別れました。


「リーゼロッテ様はモテモテですねぇ」

アリスさんが私のドレスを選びながら、突然そんなことを言ってきた……私は一瞬戸惑ったが、すぐに冷静になってこう答えた。

「何言ってるのよ、アリスさん!そんなの全然モテてないわ!それに私には好きな人がいるし……」と私が言うと、アリスさんはニヤッと笑って私を見つめてきた。

「へぇ〜そうだったんですかぁ〜」とわざとらしく言うので、思わず恥ずかしくなってしまった……するとアリスさんは私の耳元で囁いた。

「アルフォンス様もリーゼロッテ様のことを大切に思っていると思いますよ」と言いながらウインクした彼女を前に、私は恥ずかしくて何も言えなかった。


数日後、私はアルフォンスからデートのお誘いを受けた。もちろん断る理由など無いので喜んで承諾したのだが、内心緊張している自分がいた……というのも久しぶりのデートだったからである。

当日、私はドキドキしながら待ち合わせ場所に向かったのだが、既にアルフォンス様が待っていたため慌てて駆け寄った。「お待たせしました!すみません!」と謝る私に彼は微笑んでくれた。「気にしないでいいよ、僕も少し前に来たばかりだから」そう言って手を差し伸べてくれた彼の手を取りながら歩き出した瞬間だった……

突然、背後から声をかけられたのだ。それは見知らぬ女性だった。

「あの……アルフォンス様ですよね?」と聞く彼女に戸惑ったものの、隣にいるアルフォンスはとりあえず自己紹介をした。「はい、そうですが……」と答えると彼女は嬉しそうな表情を浮かべてこう言ったのだ。「私、ずっとあなたのことが好きでした!良かったらデートにお誘わせていただいてもよろしいでしょうか?」突然の誘いに困惑しつつも何も出来ずにいる私に、アルフォンスがきっぱりと言い放った。「大切な女性といるので、申し訳ありませんがお断りさせてください。」と。

しかしその後もしつこく迫ってくる女性に困り果てていると、突然私たちの間に割って入ってきた人物がいたのだ……

……それはなんとアルフォンス様の従者であり、私の友人でもあるロイだった。彼は私とアルフォンス様の間に立つと、笑顔で女性に話しかけていた。「すみませんが、ここは立ち入り禁止ですよ!他の場所をお探しください!」ときっぱりと告げながら、私たちをその場から連れ出してくれたのだ。その後私たちは無事に目的地に到着することができた……

その日はとても楽しい一日を過ごすことができ、しばらくの間はロイがずっと側にいてくれたので安心していたのだが、ある日突然彼が姿を消したのだ。不思議に思った私は彼を探し回ったのだが見つからず、途方に暮れるしかなかった……


そして数日後、彼が見つかったことを知った時、私は胸がほっとした。

しかし、そこにいたロイは以前とは全くの別人のように変わっていたのだ。彼はまるで別人のように冷たくなっていた……。

---それから数日後、私はアルフォンスから呼び出しを受けた。指定された場所に行くと既に彼が待っていたため慌てて駆け寄ったが、彼は私を拒絶するかのような鋭い目つきをしていた。そしてこう言われたのである。「リーゼロッテ……悪いが君との関係を解消したいと思っているんだ……」突然の言葉に頭が真っ白になってしまった……どうして?どうしてそんなこと言うの?と心の中で何度も問いかける私に、彼は続けて言った。「君のことが嫌いになったわけではない……ただ、家の問題で……」

ショックを受けながらも、何とか平静を装って尋ねた。「家の問題って何ですか?教えてください!」しかし彼は首を横に振るだけだった。「すまない……今はまだ言えないんだ」と言ったきり、彼は黙り込んでしまった。私は何も言えずに立ち尽くしていると、突然彼が私の頭を撫でてきた……その手つきはとても優しかったのだが、どこか悲しげな感じがした。

そして私の目の前に現れた人は、見覚えのある姿だった。フェルマースさんだ。

彼女は私が落ち込んでいるという噂を聞きつけ、わざわざ来てくれたという。

フェルマースさんは私の気持ちを理解し、励ましてくれた。

「実は..........」と私が切り出す前にフェルマースさんが言った。「アルフォンスさんとは少ししか会ってないけど、根は良い方だと思うよ?」「えっ!?どうして分かるんですか?まだ話してもないのに……」

不思議に思って尋ねると、彼女は微笑みながらこう言った。「だって君の目を見れば分かるもん」その言葉を聞いた瞬間、私は目から涙が溢れてきた……そんな彼女を見てフェルマースさんは優しく抱きしめてくれたのだ……---その後、私たちは共に過ごす時間が増え、いつしかたくさんのイベントを過ごしていった。そして、いつの間にかフェルマースさんのことが大好きになっていた。これからも大切な友人であることは変わりないし、心の底から幸せだと感じた。

そして彼女に勇気づけられた私は、アルフォンスに何度か話をしてみたのだった。

「アルフォンス……私、あなたのことが大好きです!お屋敷の問題が落ち着いたらでいいので、考えていただけませんか?」

勇気を振り絞った告白だったが、アルフォンスの返事は意外なものだった。「すまないが、君とは付き合えない」

それを聞いた瞬間、私は頭が真っ白になった……しかし次の瞬間にはもう立ち直っていた。きっと何か理由があるに違いないと思ったのだ。そう確信した私はその後も諦めずにアプローチを続けたのだが結局成功することはなかった。だがそれでもまだ希望を捨てなかった私は再び彼に告白しようと試みることに決めたのである。

---そして、数日後、私は再びアルフォンスに告白をした。「アルフォンス……私とお付き合いしてください!」そう言って頭を下げると彼は静かに口を開いた。「すまないが君の気持ちに応えることはできない」その言葉を聞き、私の目からは大粒の涙が溢れ出してきた……それでも私は諦めずに言葉を続けた。「どうしてダメなの?理由があるなら教えて!」すると彼はしばらく黙り込んだ後、ゆっくりと息を吐いた後こう答えたのだ。「...........実は、遠方に行くことになったんだ。ここからすごく離れているところだ。」

彼は静かに語り始めた。「だから君とはもう会えないかもしれない」という彼の言葉を聞いた瞬間、私の心は大きく揺れた……それでも私は諦めなかった。「だったら私が会いに行きます!いつか必ずあなたに会いに行きます!」私は大きな声で叫んだ。すると彼は少し困ったような表情を浮かべながら小さく頷いた。「ありがとう.........君をずっと待っているよ.........」そう言った彼の目にはうっすらと涙が浮かんでいるように見えたのだった---

そして、それから数年後のこと---

「リーゼロッテ様、準備はできていますか?」とアリスさんが聞いてきたので私は笑顔で答えた。

「もちろんよ!」

そう、今日は待ちに待った結婚式の日なのだ!この日のために準備をしてきたし、何より素敵な旦那様が待っていると思うと胸がドキドキしてくる……。

「早く行きましょう!旦那様のところへ!」私は思わず駆け出すようにして歩き出したのだった。

「アルフォンス……お待たせしました」と私が声をかけると、彼は微笑みながらこう言った。「待ちくたびれたよ、リーゼロッテ……」その言葉に胸が熱くなるのを感じながら私は彼の手を取った。すると彼もまた握り返してくれた……それだけで幸せな気持ちになれて思わず笑みがこぼれてしまうほどだった。

これから二人でたくさんの思い出を作っていけると思うと本当に幸せで仕方がなかった……私たちは手を取り合いながら新しい未来へ向かって歩き始めたのだった。

その日はたくさんの参列者がいたため、教会の中はとても賑わっていた。

「リーゼロッテ様、おめでとうございます!!」

まず最初に、アリスさんは涙ぐみながら祝福をしてくれた。

「ありがとう!アリスさんのおかげで素敵な日を迎えられたよ!」と笑顔で返す私。

次に、ロイが話しかけてきた。「おめでとうございます、リーゼロッテ様!ついに結婚ですね……本当に感慨深いです」と言ってくれたので嬉しくなった。

そしてお父様がやってきたのだが……泣いている様子だった。どうしたのか尋ねると「娘の成長を見ていると、嬉しくて涙が出るんだ」と言っていたので思わず笑ってしまった。しかし次の瞬間には真剣な表情になって言ったのだ。「...........リーゼロッテ、幸せになるんだぞ」その言葉に大きく頷いて答えることができた。

次に、フェルマースさんとオーガスタスさんが挨拶にやってきた。「おめでとう、リーゼロッテ!幸せにな」

「リーゼロッテとアルフォンスさんが結婚出来てよかった、神の祝福を!」と言って2人とも優しく微笑んでくれたので思わず涙が流れそうになった。「はい!ありがとうございます!」と答えた後もしばらく見つめ合っていたのだが、周りからは冷やかしの声が飛び交っていた。私は恥ずかしくて顔が真っ赤になってしまったが、それでも幸せな気持ちでいっぱいだった---


結婚式の後、私たちはハネムーン旅行に出かけたのだが……そこでも色々な出来事があったのだ。まず最初に驚いたのはアルフォンスがとても甘えん坊であることだ。

普段は凛々しい雰囲気を漂わせているが、二人きりになると甘えた声で「リーゼロッテ、愛しているよ」と言ってくるのだ。そのギャップにドキドキしながら見つめると、とても幸せそうな表情を見せてくれるものだから堪らない気持ちになってしまった。

リゾート地をたくさん観光し、ホテルでゆっくり過ごす間も、アルフォンスはずっと側にいてくれた。

ソファに座って肩を抱かれると安心感を覚えたし、手を握ってもらうだけで心が落ち着いた気がした……本当にこの人と結ばれて良かったと心から思ったのだ。

そんな幸せな日々を過ごしながら、私たちは新たな一歩を踏み出したのであった。


ある日のこと、私の住む街には有名な劇団が来ていることを知った私は、興味本位で劇場に足を運んでみることにしました。

その劇団の名は「フォレスト・ムーン」といい、知る人ぞ知る名劇団です。

私が劇場に到着すると既に大勢の観客で溢れ返っていました。

座席に座って開演を待つ間、私は期待と緊張で胸がいっぱいでした……一体どんな物語が待っているのかとわくわくしていました。

そんな私の気持ちとは裏腹に、幕は徐々に上がっていきます...........舞台上では一人の男性が踊りながら歌い始めました。彼の歌声はとても美しく透き通っていて聞き惚れてしまいましたが、、同時にどこか悲しげな雰囲気も感じさせるものでした。

舞台上の彼はまるで現実には存在しないような存在感を放っており、観客たちは彼の一挙手一投足に注目しているようでした。

「フォレスト・ムーン」の舞台はどんどんと進んでいき、役者たちはそれぞれの役柄を演じていきます。特に印象的だったのは主人公の女性の心情を表すかのようなダンスシーンでした。その踊りはまるで彼女が涙を流しているかのように美しく儚げなもので、見ているこちらまで胸が締め付けられるような思いに駆られました……

やがて物語はクライマックスを迎え、主人公と男性が心を通わせる場面へと入っていきます……二人はお互いに想いを伝え合い、抱きしめ合って喜びを分かち合うのです。その瞬間、客席からは盛大な拍手が沸き起こりました……私も感動で胸がいっぱいになり涙が流れてしまいました。

公演終了後も興奮冷めやらぬ様子で劇場を後にする私でしたが、家に帰ってからも「フォレスト・ムーン」の余韻に浸ってしまっていました……

特に、舞台上で美しい歌声を披露していた男性のことが頭から離れずその美しさは信じられないほどでした。

---その後も私は「フォレスト・ムーン」の公演が行われる度に必ず足を運ぶようにしました。舞台上で輝く役者たちの演技はどれも素晴らしいものばかりで、何度見ても感動を与えてくれます。その中でも特に印象的だったのはやはり主人公の女性役を演じていた男性のことでした。彼の歌声には本当に心を打たれましたし、ダンスや表情なども全てが美しくて目が離せませんでした..........。

毎回来る度に違う役を演じる彼ですが、どの役あっても本当に素晴らしくて、その度に新たな魅力を発見していきました。そしていつしか彼の存在が私の心を大きく占めるようになったのです。

しかしそれは役者としての好きであることを理解しており、ただひっそりと応援する立場に徹することにしておりました。

そんな私の想いが通じたのか、ある日「フォレスト・ムーン」の舞台上で彼と目が合いました……彼はこちらに微笑みかけてくれたのですが、その笑顔を見た瞬間に私の心は嬉しくなりました。

その時、私はずっと応援し続けたいという気持ちを再確認することができたのです。

それからというもの、「フォレスト・ムーン」の舞台を見るたびに彼の存在が心を満たしてくれるようになりました。


そんなある日のこと、劇場に行ってみるとある公演が目に止まりました……

その名は「月光のシンフォニー」といい、何とその役者はフォレスト・ムーンの主演男優だったのです。

「月光のシンフォニー」の内容は悲恋物であり、主人公と恋人が引き裂かれるシーンでした..........私は、胸を締め付けられるような思いで舞台を見つめていましたが、中でも彼の演技は本当に素晴らしかったです。

主人公が別れを決心する場面では涙を堪え切れず泣いてしまいましたが、彼が感情を込めて歌う場面にはとても感動させられました。

公演が終わった後もしばらく立ち上がれないほどでしたが、それでも幸せ感が私を包み込んでくれました..........。

公演が終わった後も私は「月光のシンフォニー」の感想を友人に語り続けました。もちろん相手の方も楽しんでくれていたのですが、一人だけものすごく興奮していた人物がいました。その名はトワイラントさんでした。

「月光のシンフォニー」が如何に素晴らしかったのかを必死に語ってくれる彼女に若干圧倒されつつも、私は聞き入っていましたが……彼女の熱量は凄まじいものでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

まさか乙女ちっくな従者に愛されるなんて! スカイ @sky_8u

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ