第21話 八王子の奇妙な噂

「アーッハッハッハッハ!!はぁ…おっかしー(笑)、リナちゃんまた迷子になってるのかよー」


リナは高尾まで来た経緯を舞華に話すと、2年前の夏に東京に来た時も迷子になった際に脱水状態で意識を失ってぐったりしてたところを偶然にも舞華に助けられたことがある。

その時の旅の目的も父の幼馴染でもある舞華に会うつもりで東京に来ていた為、本当に偶然の出来事だった。

極度の方向音痴でどうしようもないリナだが、ある意味強運の持ち主なのかもしれない。

話を聞いた舞華がリナに言った。


「茨城に行くのは明日なんでしょ?せっかく来たんだから東京観光でもする?アタシもさっき仕事が終わって暇になったし案内してあげるよ」


1人で行動してもまた迷子になるのはわかっていたので、せっかくだしお言葉に甘えてリナは案内してもらうことにした。

舞華のバイクや自転車を運ぶ仕事用のトラックの助手席に乗ると舞華が奇妙なことを言った。


「…そういえば八王子の若い子達の間で、ある占い師が噂になっててね」


「へー、占い師ですかー、有名な占い師なんですか?」


「なんていうか…その占い師は時間を操作できるらしいんだよね」


「え?時間を操作??…つまりタイムスリップ的な感じですか?」


にわかには信じ難い話だが、八王子の高校生が西八王子駅付近を歩いている時に偶然にもその占い師と出くわしたという。

占い師なので普通に占ってもらうことも当然できるが、その占い師には過去にタイムスリップできる能力があるようなのである。

ただ、街を歩いていてその占い師と出くわすのは本当に極稀のケースらしいのだが…

そして舞華は背筋が寒くなるようなことを言った。


「占ってもらった高校生は……そのまま行方不明となってしまったみたいなんだよね…」


「………えっ?」


「…リナちゃん?西八王子駅周辺に行ってみる?」


これも乗りかかった船、せっかくここまで来たからこのオカルト話について探ってみても悪くないと思ったリナは「行きましょう」とリナの誘いに乗ることにした。


舞華はトラックのエンジンを始動すると高尾駅前の信号を八王子方面に向かって走り出した。




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⚔時代錯誤⚔ 〜完結編〜 天王寺 楓乃 @hirokachan

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