第10話 未希


「え???」

周囲を見渡すも…


「なんで…私…廃墟に居るの…?」

意味不明な現象に頭の処理が…理解が及ばずに立ち尽くすしかできない未希。


「幸太郎…コウタロウーーー!!!」

大声でパートナーの名前を呼ぶも反応がない…


「え…待ってよ…意味わかんない…私…自宅のベッドで寝たよね…」


改めて周囲を見渡すが、周囲は真っ暗で何も見えないのだ。


だが確かにYouTubeの生放送…ライブで訪れた一軒家の廃墟に居るのは、

なぜか理解できたのだ。


建物内は静寂に包まれていた。


外の騒音も聞こえない。


少しパニックを起こしかけた未希だったが、ふと頭に浮かんできたのだ…


「ああ、幸太郎…取れ高がゼロって言ってたわね…これドッキリだぁ!」


再び周囲を見渡す未希


「降参降参よ…私の負けよ!凄く驚いたわよ~どうやって私を廃墟まで運んだのよ?まさか睡眠薬を私に飲ませたの?」


周囲に聞こえるように大声で喋る未希だが


・・・・・・・・・・。


自身の息遣いと心臓の脈打つ音以外は…何も聞こえない…


「ちょっといい加減にしなさいよ!コウタロウーーー!!!」


・・・・・・・・・・。


「もういいわよ!!!」

キレた未希は暗闇を少しずつ歩いて行き廃墟から出ようとしたのだ。


歩くたびに廃墟の床に散乱している割れたガラスや不法侵入した者達が捨てていったゴミが散乱しており、裸足の未希は足の裏から伝わる激痛に涙を流していた。


「ふざけるなよ…いくら取れ高の為でも…これは酷いよ…」


未希の足の裏には割れたガラスの破片が多く突き刺さっていたのだ。


足の裏から血を流しながら無言で玄関を目指して歩く未希。


次第に暗闇に目が少しずつ慣れてきて、周囲の様子が少し見えるようになったのだ。


前方を見るとボロボロの玄関が見えたのだ。


「はぁはぁ…やっと出口だわ…幸太郎…これはもう…はぁはぁ…やり過ぎだわ…」


ゆっくりと進み玄関に到着した未希。


「こんな気持ち悪い廃墟…一刻も早く出ないとね!」


玄関に手を伸ばし開けようとした瞬間…


背後に得体の知れないモノが現れたと感じた未希…


「え!なに…」

全身に鳥肌が立つ…


体の震えが止まらずに床にへたり込んでしまったのだ。


未希の首筋には…なにか冷たいものが当たっている。


あまりの恐怖に動けず固まる未希の耳には、ハッキリと何者かの息遣いが聞こえるのだ。


自身の呼吸音も心臓の音も…何者かの息遣い以外の音は消え去った…


(後ろ…私の後ろに何か…ああ、多分多分ね…ドッキリねぇ…)


恐怖で体の震えが止まらないのに額から大粒の汗が滴り落ちる未希。


「もう…やめてよ幸太郎!私、怖くて少し漏らしたわよ!」


そう言いながら、無理やり体を動かして後ろを振り向いたのだ。


そこには…

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恨み晴らす課 毛根死滅丸 @akiaki0708

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