人は多情、剣は無情

中国武術の使い手たちがその激しい技を披露する中で、人と人のかかわり、ままならない親子のつながりに翻弄される物語。

江湖。武侠小説で舞台となる武人たちの集う社会。主人公は父親に命じられ戦いの中に身を置く一人の「青年」です。
しかし「彼」が簫無唱という女性の剣客に敗れたことにより、運命が回り出すことに。
中国武術のお約束というか、醍醐味が次々と物語に登場します。
江湖一の達人を決める大会、龍虎比武杯。
三尺掃塵、九天一指といった外連味のある通り名。
富豪の開く武術大会。
普段は虚弱だけど、立ち上がると強い武術家。
多くのキャラクターが登場しますが、やはり主人公の父親の律峰戒が強く印象に残ります。
主人公に立ちはだかる大きな壁にして、剣に狂った妄執が描かれていて今後の決着がどうなるのかとても楽しみです。
そして主人公を鍛えた簫無唱は果たして剣を抜くのか。
人々の思いとは裏腹に、武に基づいた剣だけは平等に頓着なく振るわれることでしょう。
しかし、もしかしたら物語が完結した後、あるいはこう思うのかもしれません。
人は無情、剣は多情と。